憲法は入りやすく卒業しがたい、といわれることがよくあります。さまざまな具体的事象のなかに含まれる憲法問題を掴み出し、それについて理にかなった憲法論を展開するようになるには、ある程度の困難が伴うというわけです。こういった教育課題に対応するため法科大学院では、憲法(人権)、憲法(統治)、基礎演習、憲法演習、公法系総合指導、憲法展開演習、というように、基礎から展開へとステップを踏んで理解が深まるようカリキュラムが組み立てられています。
概略の位置づけをお話しておきましょう。まず、憲法(人権)、憲法(統治)、および基礎演習では憲法学の基本を学びます。学説や判例の基礎を扱うことで、学習の基盤形成をなすことを目的としています。そして二年次になると憲法演習がはじまります。憲法の基本判例の理解、その応用を扱いますが、ここで憲法学理解のベースが固まることになるでしょう。しかしこれだけではなく、さらに公法系総合指導、憲法展開演習と授業を重ねることによって、展開的思考力が育まれるように配慮がなされています。
憲法(人権)、憲法(統治)以外は、基本的にゼミ形式で授業が展開されます。綿密な予習のもとに積極的に授業に取り組むことが要求されます。教員・学生間のディスカッションのなかで憲法学の理解が深まり、論理的説得能力も育成される、そういったあり方が法科
大学院の授業なのです。