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2005年度 修了生の声

大井 基弘   法学既修者コース修了

「人一倍勉強し、人一倍楽しんで下さい」

大井 基弘


 「死ぬほど勉強したけど、楽しかった。」第1期生として在学した感想です。
 現在は、故郷の長野県佐久市で弁護士をしています。扱ってきた事件は本当に多種多様で、常時50~70件の事件を抱えながら働いています。弁護士会の公益活動である委員会にも例年10程度所属しており、平成24年度には長野県弁護士会の副会長も務めました。また、地元の法科大学院でも指導をしています。さらに、長野地裁民事調停委員・長野家裁家事調停委員も務めています。とにかく激しく忙しい日々ですが、毎日本当に充実しています。故郷での開業は在学当初から切望していたもので、在学中には異例の佐久市でのエクスターンシップも叶えて頂きました。明治大学法科大学院には、望めば叶うという環境があります。各分野に素晴らしいスペシャリストの先生方がいます。超一流の先生方に気軽に質問ができ、納得いく回答がすぐに得られる環境がありました。また、目的意識の高い仲間達とハードな課外ゼミも多数組みました。正規授業の課題と課外ゼミの予習とで、毎晩朝方まで眠れないという生活でしたが、死ぬほど勉強した「から」こそ、同じ苦労を共にした仲間達との息抜きの時間
は一層楽しかったように思います。
 皆さんは、自ら司法試験を目指そうというのですから、勉強が嫌いという人はいないと思います。好きな勉強を思う存分させてもらえる環境に感謝して頑張って下さい。明治大学法科大学院には、人生をかけて思う存分勉強できるだけの素晴らしい環境が整っています。設備も人も。あとは皆さんが、人一倍勉強し、人一倍楽しんで下さい。

東 晃一   法学既修者コース修了

東 晃一

  明治大学法科大学院の既修1期を修了後、なんとか弁護士となりました。同期2名と共に独立し、一般民事や国選刑事を取り扱っていますが、特に力を入れているのは、医療問題弁護団(医弁)と犯罪被害者委員会での活動ということになるでしょうか。
元々医療事件に関心をもっていたこともあり、弁護士になるとすぐ医弁に入団しました。医弁の活動は色々と勉強になりますが、大きな仕事としては、例えば、銀座眼科被害対策弁護団の活動があります。
銀座眼科クリニックでレーシック手術を受けた患者さんたちの多くが眼の感染症を発症し、軽くても眼の激痛等に苦しみ、失明の危険にさらされた方もあったという事件が発生し、院長が記者会見で謝罪する姿が2009年春に報道されましたから、ご存じの方もあるのではないでしょうか。被害相談窓口には100件を超える相談があり、そのうち約50名の被害者の方について民事提訴を行うと共に、刑事告訴・告発と医師免許取消しの行政処分申立ても併せて行いました。
  また、一弁の犯罪被害者委員会では、新しくできた被害者参加・損害賠償命令制度の解説書の作成に、弁護士になってまだ1年目なのに携わる機会をいただきました。
  だいたい弁護士の仕事の多くは紛争や犯罪に関連するものですから、辛い思いをすることもありますが、仕事がうまくいけば依頼者と喜びを共にすることができます。また、自分たちの努力の結果が報道されて社会の耳目を集めることとなったり、作った書物が書店に並んだり、携わった事件が判例集に掲載されたりというように、社会的意義も感じられます。このように、弁護士という職業はやりがいのあるものです。
  いま新司法試験を目指して勉強している皆さんにアドバイスしたいことは沢山ありますが、字数に限りがありますので3つに絞ります。
  第1に、常に危機感を持ってください。成績を過信してはいけません。危機感のない人は必ず足下をすくわれます。
  第2に、何か志(夢)を持ってください。最後の踏ん張りをきかせるのはやはり心です。
  第3に、「浅い100件より深い10件」です。判例百選の事案をつぶすことも勉強にはなりますが、最高裁調査官解説を見ながら掘り下げた事案の方が、少なくてもよほど血肉となり応用力の源となります。要領良さを追求するのでなく、むしろ調査官解説に泥臭く立ち向かってみてください。
  皆さんのご健闘をお祈りいたします。
※2010年7月執筆 

中澤 陽子   法学既修者コース修了

中澤 陽子

【自己紹介】
  私は教育学部出身で、昔から教師になりたいと思っていたのですが、大学卒業間近になったときに、ふとしたきっかけから子どもの人権に興味を持ち、ほぼ卒業と同時に勉強を始めました。その後、2006年3月に明治大学法科大学院(1期、既修コース)を修了し、司法修習(60期)を経て、現在神奈川県川崎市の惠崎総合法律事務所で働いております。
  弁護士になった現在ですが、やはり弁護士になれてよかったなと思うことが多いです。特に自由業であるゆえに、自分の好きなように働けるので、この仕事に就けたありがたさをいつも感じています。

【現在の仕事の内容】
  私の事務所は現在、弁護士6名、事務員4名で構成されています。事務所形態は、弁護士6名での共同経営なので、新人の私も経費も負担しています。
  川崎市の弁護士のほとんどは、一般民事や刑事の仕事を基本に行っております。また若いうちから自分で仕事を取ってきて、1人で仕事をする弁護士が多いのですが、私も基本的に1人で仕事をしています。ただ、まだ新人ですのでわからないことが多く、わからないことがあればその度に先輩弁護士に相談しながら仕事を進めています。
  比較的若い弁護士が多い事務所ですので、事務所の雰囲気は明るく、またいつでも質問ができる環境にいますので、不安もなく充実した毎日を送っています。

【明治大学法科大学院での勉強について】
  ソクラテスメソッドを実践している授業が多いというのが明治の特徴だと思います。合格して司法研修所に行ってから、他大学の法科大学出身の友達と話すと、彼らは大規模の教室での授業がほとんどだったと言っていました。
  その点、明治は20人規模の授業が多かったため、1人の学生が発言できる機会も多く、授業に積極的取り組めば取り組むほど、授業内容を吸収することができました。
  ただ、予習をして授業に出ないといつ当てられるかわからないという状況にあり、私はいつもヒヤヒヤしながら授業を聞いていました。
  入学当初は、恥ずかしい気持ちや間違ったこと言ったらどうしよう等という思いがあり、あまり発言することもなかったのですが、3年生の夏頃に、明治の授業の良さに気づいて(かなり遅いですが……)、1授業で1発言しようと目標を決めて発言するようになりました。そうすると、授業がどんどん自分の中に入ってくるのを感じ、法律を勉強するのが楽しくなりました。積極的に発言するようになってからは、もう少し早くから積極的に授業に取り組んでいればよかったと後悔さえしました。もし私が合格できなかったらこのことをすごく悔やんでいたと思います。皆さんは、明治に入学した後、授業では積極的に発言し、授業の中でできる限り吸収するつもりで挑んでください。

【明治大学法科大学院の特徴】
  明治の一番の売りは、先生の熱心さではないでしょうか。明治の先生は熱心で丁寧に教えてくださる先生方ばかりで、1人でも多くの学生を合格させたいと思って下さっているのを感じることができました。
  また、明治では活発に卒業生が後輩指導に当たっています。私も在学中に明治大学出身の若手の弁護士に答案講評をしてもらう機会を得ました。年齢が近い実務家からの指導は気楽に受けることができますし、実務家の視点というものを教えてもらうことができ、大変参考になりました。
  現在は、明治法科大学院出身の弁護士も後輩指導にあたっているので、入学した際には積極的にこの制度を利用してみて下さい。

【合格するために必要なこと】
  合格するためには、最低限の知識と法的センスが必要だと思います。前者は努力して一つ一つ覚えて理解していくことしかありません。後者は判例を読んだり、友達と議論したり、その論点につき深く考えることで養われると思います。明治での授業では判例を読んで検討する授業が多く、判例を読むことによって法的センスが養われていくのを感じました。
  また、常に合格を見据えて計画を立てることが大事だと思います。合格するために何が必要かということを常に考えてください。そして何が必要かを考える際に、多くの合格者から話を聞いて下さい。そのうえで合格するためのプランを考えて、それを実践していくことです。そしてもし、そのプランに不安を覚えたら、すぐに軌道修正をしてください。
  私は卒業後学生を指導する機会があるのですが、学生を見てよく感じるのは、一度計画を立てるとその通りに実行しなければならないと思い、途中で修正した方がいいのにも関わらずそのまま進んでしまう学生が多いということです。
  しかし、特に試験直前期は時間との戦いです。時間を有効に使うためにも、自分のプランに不安を覚えたら、もう一度立ち止まって計画を練り直して下さい。

【最後に……明治の伝統と情熱】
  明治は法律家を育ててきたという伝統があります。そして将来において法曹を育てていこうという情熱があります。私が現在川崎市で働いていられるのも明治の先輩弁護士の口添えがあったからでした。明治の先輩は後輩を育てていこうという気持ちを持っていらっしゃる方が多く、明治の絆を実務に入ってからも感じることがあります。
  私自身、明治に入学できて本当に感謝しています。皆さんも是非明治に入学して法曹を目指して頑張って下さい。後輩指導で皆さんにお会いできる日を楽しみにしています。 

柴山 将一   法学既修者コース修了

「実務法曹を目指す方々へ」

柴山 将一


【現在の状況】
  私は、明治大学法科大学院を修了し、現在は都内の法律事務所で勤務しております。連日、膨大な案件の対応に追われ、立ち止まって顧みる暇もありませんが、事案の1件1件からとにかく何かを吸収出来るよう努めています。そんなまだまだ未熟な私ですが、今までの自分を少し振り返って見て、その中から、法曹の道を志そうとしている皆様にとって少しでも有益なメッセージを届けられればと思います。

【法曹を志すまで】
  私は、元々法曹という仕事を志していたのではなく、社会人になってから、弁護士も含めたいわゆる「士業」の方々と一緒に仕事をしていく中で、クライアントという立場から求める弁護士像と、現実の弁護士の姿に違いを覚え、自分が弁護士という立場になって、自分が求め描いた弁護士像を実現したいと強く思うようになったからです。現実に弁護士という立場になり、自分の描いた弁護士像がどれほど実現されているか甚だ不安ではありますが、クライアント目線という信念は決して忘れないように心に誓っています。

【明治大学法科大学院での私の履修態度】
  前述のとおり、私は元々法曹という仕事を志していたわけではないですし、勿論、法学部の出身でもありません。前職もまったく畑違いの職種でした。そこで、明治大学法科大学院に入学してからは、修了後の司法試験は念頭にあったものの、法律分野自体を初めて本格的に学ぶに等しく、必修科目以外は自分の興味の赴くままに履修科目を選択しました。その中には履修者が私1人(後、聴講生となった友人が1人)という履修科目もありました。その履修科目は、残念ながら司法試験の選択科目にならず、だから履修者が皆無に等しかったのかもしれませんが、ほぼマンツーマンで行われる授業で教授の個性を100%受け止め、緊張しつつも実に楽しく、得るものはとても大きかったです。ちなみにその教授は元司法試験委員であり、出される論文課題を解答することで自然と法律論文の書き方を身につけられるおまけ付きでもありました。
  また、いち早く実務を覗きたいと思った私は、法文書作成や模擬裁判、エクスターンシップといったような実務系の科目を多く履修しました。法文書作成や模擬裁判では、企業間の契約交渉に当たる会社社長や「鬼」検事役になるなどのロールプレイを通じて、契約交渉や刑事裁判手続の実際を肌身に感じながら学習することができました。エクスターンシップについては、2週間という短い期間であり、中途半端で余り有意義なものでないとの評価をする人もいますが、指導して頂いた弁護士の先生から多種多様な経験をさせて頂き、その経験は修習期間中のみならず、実務法曹となった今でも血肉となって日々役立っています。

【これから明治大学法科大学院で学ぶ人に求めたいこと】
  実務法曹になるために司法試験は避けては通れぬ道です。ですので、法科大学院に入学しようと思っている方の中には、法科大学院での2年ないし3年の期間は、とにかく司法試験に関係することだけしか学ばず、関係のないことには手を触れないと考えている方も多くいらっしゃると思いますし、私の同期にも現にいました。
  しかし、そもそも何が司法試験に関係し、何が関係しないのか、それが分かるのでしょうか。むしろ、私は全てが関係してくるものだと思っています。
  実務法曹として、一つの事案に取り組んでいくためには様々な視点が必要になります。司法試験の基幹科目になっているような法律分野のみならず、特別法や国際法、経済、社会、政治、沿革(歴史)も問題になります。事案に対する多角的多面的なアプローチをできることにより、数多の解が想定される中で、より適切な解を導くことができるのです。これは、実務だけの話ではありません。新制度になってから司法試験はある意味実務を映す鏡になっています。合格発表後に公開される出題の趣旨等の試験委員の生のコメントを読んでいても、多角的多面的な見方をするプロセスとそこから導かれるその人なりの解を欲しているのではないかと感じることができます。そのためには一定の方向に偏することなく、法科大学院が用意する多様なカリキュラムに参加し、自分の思考の素になるべきものを身に付けていくことが必要なのだと思います。
  このような観点から、明治大学法科大学院のカリキュラムを改めて見直すと、今の私からすれば実に羨ましい数々の履修科目が用意されています。私が在籍していたときに比べてさらに豊富でブラッシュアップされた科目群があり、許されるならばふらっと聴講させてもらいたい位です。
  実務がつながる世界は無限です。単なる相続の問題と思いきや国際法が絡んできたり、契約書一つとっても様々な関連法を検討していかなければなりません。勿論、その場その時にできる限りのリサーチは行いますが、誰かが教えてくれるのでもなく、どっしりと腰を据えて学習するというわけにもいきません。しかし、法科大学院で学ぶ2年ないし3年の期間は、わがままに自分の学びたいことを自分の好きなだけ学び、考えることのできる時間です。勿論、司法試験という大きな壁はそびえていますが、その存在のみに制限されることなく、自由に自分の学びたい科目を履修して、楽しんでください。そうすることによって身につく多角的多面的な物事の見方が必ず将来に活きてくるはずです。

【明治大学法科大学院での生活】
  堅苦しい勉強の話だけでなく、法科大学院における生活についても一言触れておきたいと思います。法科大学院は大学と比べるかなり少人数になりますので、私の持ったイメージは中学や高校といった感じでした。しかし、その中身は均一的、均質的なものではなく、多種多様なバックグラウンドを持った人に溢れています。この中で築かれる人間関係は、実務法曹という狭い世界にそのままパラレルに移行していくのであり、ある意味とても怖いですが、とても頼もしいつながりです。
  また、魅力的な多くの教員、特に法科大学院の特徴は実務家教員の先生方がいることが挙げられます。このような先生方との交流も、これまた実務法曹という世界の中にそのままパラレルに移行していくのであり、法廷では敵味方!なんてこともあるかもしれませんが、いつまでも心強い頼もしい存在であり、私にとっては目標となる弁護士像を新たに形作ってくれた存在でもあります。
  どの世界で生きて行くにしても、人と人とのネットワークというのは重要なものですが、実務法曹になっていく中で、法科大学院でのネットワークは特に重要なものになるはずです。是非、頭の中でシナプス間のネットワークを構築していくことだけでなく、人と人とのネットワークを作っていくことにも果敢にチャレンジしていって下さい。

【最後に】
  言いたいことばかりを言って、とりとめのない形になってしまいましたが、明治大学法科大学院に入学されるからには、何かを与えられるのを待つのではなく、自分で何をしたいのか、そのためには何をすべきなのかを常に考えて行動して下さい。自分で問題を発見し、解決していくプロセスを大事にして下さい。
  その上で、明治大学法科大学院にしかない出逢いを大切にして下さい。勉強をすることによって新たな出逢いがあると思います。新しい学友との出逢いもあると思います。まだ見ぬ未知の実務との出逢いもあると思います。そして、必ず新しい自分との出逢いもあると思います。実務法曹になる修練期間として、司法試験という難関を常に眼前にし、辛く苦しいことばかりかもしれませんが、それ以上に楽しいこと喜ばしいことが必ずあるはずです。明治大学法科大学院が皆様にとってそういう場になっていくことを心から祈念しております。 

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