【私の経歴】
私は、明治大学法学部を卒業後、2006年に本学の未修コースに入学し、2009年に卒業しました。そして、2010年に新司法試験に合格し、静岡での1年間の司法修習を経て、現在は熊本市内の法律事務所で勤務しています。事務所では、企業側・行政側の事件が比較的多く手掛けています。
【私が本学に入学した理由】
私が本学に入学した主な理由は、ロースクールでもそれまでの4年間に慣れ親しんだ環境で勉強を続けたかったことと施設や立地等の環境が恵まれていることでした。
まず、環境面で、学部のときにお世話になった多くの先生方からロースクール入学後も引き続き学ぶことができたため、ロースクールの授業や勉強方法にもスムーズに馴染むことができた、というのは後から振り返っても大きなメリットであったと思います。また、本学の自習室やローライブラリー等の施設は、とても充実しています。自習室の個人専用の机は十分に広いスペースを使うことができ、静かで落ち着いた雰囲気も保たれているため、一人での勉強に集中できる環境は整っていますし、友人とゼミを開いたり、議論をしたりするためのディスカッションルームも充実しています。私も、本学在学中はもちろんのこと、卒業後、司法試験に合格するまでの期間も、自習室に通いながら勉強を続けていました。
【印象に残っている授業】
私が特に印象に残っている授業は、青山善充教授の民事訴訟法演習です。
その授業は、ゼミ形式で、事前に提示された課題につき、各々の解答を提出し、問題点について青山教授を中心にクラス内で議論をする方法で進められました。私は、授業での議論に参加してより理解を深めるとともに後に疑問点を残さないために、毎回入念に予習をして授業に臨みました。この授業を通じ、基本書や判例等を調査・検索して「正解を見つける」のではなく、基本書や判例等を参考にしつつ、自分なりに「より良い答えを考える」という姿勢を学びました。実際、弁護士として業務を行う際にも、各々の事件の対応に「絶対的な正解」等というものは存在せず、先例や学説等を参考にしつつ、「最善の対応」を自分の頭で考えなければならないので、ゼミで学んだ姿勢は、日々の執務においても大いに役立っています。
また、別の演習クラスでは、事前に提示された課題についてクラスメートと共同で研究し、発表することが求められました。クラスメートと議論をしながら課題の準備をする中で、自分が理解できなかった問題点について身近な友人から教えて貰うことができましたし、お互いに一人では気付かなかった点につき議論を重ねていくことで、理解を深め、知識を定着させることができました。
私は、そのような本学での授業を通じ、心から尊敬・信頼できる友人たちに出会うことができました。
卒業後1回目の司法試験に落ちてからも、本学の同級生たちと自主ゼミを組んで定期的に論文を書き、お互いの答案について検討を重ねることでインプット・アウトプット双方の面で役立たせることができましたし、また、勉強のモチベーションを保ち、ペースの指針とすることもできました。このような場でクラスメートを持ち上げるのも気恥ずかしいですが、仮に、私が一人で司法試験の勉強をしていたとしたら、司法試験に合格することは決してなかったと本心から思います。現在でも、本学で出会った友人たちとは、法曹になった人、別の道を選んだ人の区別なく、定期的に連絡を取り合って交際しています。
【法曹を目指す皆さんに伝えたいこと】
私も、弁護士として働き始めてまだ約半年しか経っておらず、まだわからないことばかりで勉強を重ねる日々ですが(今後も法律家として仕事を続けていく以上、法律のみならず様々な分野について勉強をし、理解を深めていくことは避けては通れないことだと思います)、これから法曹を目指す皆さんに、先輩として伝えておきたいことがあります。
それは、「基礎と過程を大事にしてほしい」、「過程を楽しんでほしい」ということです。
前者については多くの方が言及していると思うので、この場では後者について述べておきます。法科大学院は、法律の基礎を学び、法曹となるための大切な過程となる場所です。もしかしたら、その「基礎」や「過程」は、地味で色気がないように目に映ることがあるかもしれません。しかし、どのような「過程」でも楽しんで取り組むことができれば、より目標に近づくことができると思いますし、将来仕事をしていく上でも一つの大きな強みになると思います。少なくとも、私は、本学に通うことが毎日楽しみでした。
本学は、入学を希望する皆さん一人一人の目標を達成するために必要な土台が十分揃っているところです。是非とも本学に入学し、それぞれの目標を達成するために邁進していただきたいと思います。
※2012年7月執筆