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先端数理科学研究科

【先端数理科学研究科・総合数理学部】先端メディアサイエンス専攻博士前期課程1年の彭雪儿さんらの「カカオの味を異なる産地の味に変えるデモ」がエンタテインメントコンピューティング2023でデモ優秀賞を受賞

2023年09月08日
明治大学 先端数理科学研究科

授賞式の様子授賞式の様子

デモ発表時の様子1デモ発表時の様子1

デモ発表時の様子2デモ発表時の様子2

デモ発表時の様子3デモ発表時の様子3

先端数理科学研究科先端メディアサイエンス専攻博士博士前期課程1年の彭雪儿さん(宮下芳明研究室)らの「カカオの味を異なる産地の味に変えるデモ」がエンタテインメントコンピューティング2023でデモ優秀賞を受賞しました。

2023年8月30日~9月2日に東京工科大学で開催された情報処理学会EC2023(第21回エンタテインメントコンピューティング)において、本学大学院先端数理科学研究科1年の彭雪儿(ほう ゆき)さんを筆頭著者とする宮下芳明研究室のグループが「産地の異なるカカオの味の違いを定量化し純物質で再現する手法」と題したデモ発表を行い、約100名の参加者による試飲がなされました。その結果、デモ優秀賞(一般参加者による投票賞)、およびデモ推薦認定(委員会による推薦賞)が表彰されました。宮下芳明研究室の他学内メンバーは、深池美玖さん,笠原暢仁さん,村上崇斗さん,吉本健義さん,湊祥輝さん(学部4年)、富張瑠斗さん(博士前期課程1年)です。

本研究は、宮下研究室と三井物産株式会社による共同研究です。三井物産株式会社は、デジタルトランスフォーメーション(DX)が成長の源泉になると考えており、「食」の分野でもデジタルの力で新しいビジネスモデルを創出することを目指しています。TTTVによる味覚の遠隔化・データ化を「食×デジタル」の一つのアプローチとして、将来的に商品開発のみならず、思いがけないような「食」の可能性を共に探究しています。

この研究では、一味に対して複数の溶液を用いることで風味を近づけることや、味覚修飾物質の活用、他の味によるマスキング効果を利用することで特定の味を抑制する「味の減算」などの方法により、コートジボワール産のカカオに味を噴霧して高級ペルー産カカオのドリンクを再現しています。カカオドリンクの製作と調味は、三井物産食料本部開発センターに所属するプロのパティシエの評価・監修のもとに行われていることもあり、デモ体験者からはその再現性に驚く声も聞かれました。論文及びポスターには、味センサによって再現性の達成度を測定したグラフも掲載されました。

論文題名:彭雪儿,深池美玖,笠原暢仁,村上崇斗,吉本健義,湊祥輝,富張瑠斗,宮下藏太,川田健晴,宮下芳明.産地の異なるカカオの味の違いを定量化し純物質で再現する手法,エンタテインメントコンピューティングシンポジウム論文集,Vol.2023, 2023.

概要:本稿では,チョコレートの味を異なる産地の味に変化させる手法について述べる.味センサで2 種の味の差を測定し,それに基づき味溶液を混合する手法で味を変化させる.また,1 つの味に対して複数の溶液を用いて風味を近づけ,味の加算とともに,マスキング効果による味の減算を行うことで,精細な表現を行えるようになった.本稿では安価なコートジボワール産カカオドリンクの味を,高価で希少なペルー産カカオによる味に変化させることに成功し,専門家からも高い評価を得た.


明治大学大学院