M-Navi提案型プロジェクト アネモネラウンジ開催報告
2023年12月21日
明治大学 学生支援事務室
2023年8月17日、夏も終盤とは思えないほどに暑い日でした。
ろう、難聴の小学生を招いて行われた「アネモネ夏祭り」を和泉キャンパスにて開催しました。夏休みの終盤に、大学に遊びに来てくれた小学生の様子を、1日の流れとともに紹介していきます!
ラーニングスクエアの1階で夏祭りの準備を整えたアネモネを運営する大学生が待つ中、夏祭りに参加する20人ほどの小学生が入ってきます。
ホワイトボードを囲んでみんなでまとまって座ると、アネモネのメンバーの明大生が手話を用いて、ゲストの小学生に向けて自己紹介をします。小学生のみなさんは、その様子をにこやかに見守っていました!
いよいよ始まったアネモネ夏祭り。モグラたたき、輪投げ、ヨーヨー釣り、射的など、沢山のゲームが並びます。
モグラたたきは、担当の明大生がお手製のモグラを手動で動かします。それを素早く叩くのが参加者の小学生です。ゲームに参加すると、後で使える「コイン」をもらうことができ、終わるころにはみんな手のひらいっぱいにコインを抱えていました。小学生も大学生もゲームを楽しみ、笑い声が溢れるゲーム大会となりました。
ゲーム大会のあとは、昼食の時間です。今日の参加者全員で集まって、ラーニングスクエア前のテラスで持参した昼食を取りました。昼食のあとは、屋台の始まりです。かき氷屋、フルーツポンチ屋、駄菓子屋が開かれます。小学生は、先ほどのゲーム大会でもらったコインを使って屋台を楽しみました。暑い日差しの中で、冷たくて甘いかき氷や駄菓子、フルーツポンチをおいしく食べました!
【12:45~15:00】
夏祭りの最後のイベントは、プロのマジシャンを招いてのマジックショーです。
楽しかった夏祭りも遂に終了し、最後に参加者全員で写真撮影をしました。その後、大学の教室で、夏休みの宿題をしていく参加者もいました。夏祭りに参加してくださった皆さま、ありがとうございました!
野中ももこさん(政治経済学部地域行政学科2年)
溝江陸郎さん(政治経済学部経済学科3年)
鈴木ゆりあさん(政治経済学部政治学科2年)
—本日、アネモネ夏祭りを主催していかがでしたか?感想をお聞かせください。
野中:とても楽しみながら活動できました。久しぶりに会う子どもがいることもとても楽しかったです。特に夏祭りのメインであるゲーム大会を子どもたちがワイワイと楽しんでいたので良かったと思います。
溝江:そうですね。ゲームの道具を手作りするのはとても大変で、ゲーム大会はとても忙しかったです。しかし、会話ができたということがとても良かったですし、大人も子どもも笑顔だったことが一番印象的でした。
—手作りのゲームセットには驚きました。作成にどれくらいかかりましたか。
溝江:モグラたたきのセットは7月中に4日間程かけて作りました。子どもたちに沢山遊んでもらった後に壊れてしまいましたけど。(笑)
—子どもたちはとても楽しんでいましたね。
野中:輪投げやボーリングは学校の施設が使えなかった期間は準備ができなかったため、最終的に前日の夜に徹夜するということになりました。でもその割には楽しめました。
溝江:忙しかったです。でも忙しいくらいがちょうどいいですね。
野中:ゲームの次に開催した屋台のイベントでは、一番心配だったフルーツポンチの屋台が結構盛り上がったんです。「わー泡でてる!」という感じでみんなで一緒にワイワイして、おかわりもたくさん出たので嬉しかったです。
溝江:作るのは大変でしたけど、かき氷も良かったです。
野中:保健所などにも衛生面について確認をする必要があり、手袋をしなければいけなかったり、水場の近くでやる必要がありました。
—ゲームや屋台のアイディアはみんなで考えたのでしょうか?
野中:そうですね。6月頃には原案を出してて、それを何度も修正してまた再提出して、といったことを繰り返して、事務局にも大変お世話になりました。
—鈴木さんはどうでしたか。
鈴木:イベントの時間が押してしまい、予定を変更した部分もありましたが、みんなに楽しんでもらって、自分たちが準備したことも生きたことが良かったです。
野中:とても楽しむことができました。大事なのは子どもたちの視点で考えることだと思っていて、特に「ろう」というのは、いわゆる一般的な考え方ではないかもしれないという可能性を踏まえた配慮っていうのが必要になるので、その部分でまだまだ改善していきたいです!
—子供たちにはいつから案内を始めたんですか?
鈴木:ろうの子供たちのための学童のようなところがあって、社会を生きるための力を付ける塾のような役割もあるのですが、そこへボランティアスタッフとして参加し、その際に宣伝をしました。
—ボランティアに行かれたんですね。
野中:はい。一緒に遊んだり勉強したり、公園で鬼ごっこをしたりしました。きっかけは私が1年次に所属してた教養演習で、ろうの子たちが参加するキャンプにスタッフとして参加しないかというお声掛けいただいたことです。元々、ろうの方の存在は知っているというだけでしたが、実際に関わって友達になり、「ろうの人」ではなく「友達」へ認識の転換を体験して、他の人にも、ただ友達になってほしい。そういう気持ちで始めたプロジェクトです。今回の夏祭りにも、私が1年前に参加したキャンプに来てくれた子が参加してくれて、1年間以上続いていることがすごく嬉しいですね。
—繋がりがずっと続いてるんですね。野中さんが鈴木さんを誘ってプロジェクトを始めたのですか?
野中:いえ、言い出したのは鈴木さんです。
鈴木:最初はお互いろうの世界を何も知らなかったのですが、色々な人と仲良くなる中で、最近ようやく少し分かってきた感じがします。
—ろうの子どもたちと関わってみて、何か気づいたことはありますか?
鈴木:意外と皆フレンドリーです。手話だけで子ども同士スムーズに話せるのに、私と話すためにわざわざ声を出してくれたりします。そこまでして話したいと思ってくれていることが本当に嬉しいです。
—私たち記者も今日1日を通して同じように感じました。夏祭り中は手話を使って説明をしたり、子どもたちとコミュニケーションを取ったりしていましたが、どのように習得しましたか?
野中:まだ全然習得できていないです。手話ができるのではなく、「通じる」だけです。まだまだ勉強が必要だと思っています。
鈴木:私も少し手話を勉強していて、子どもたちが私の拙い手話も頑張って読み取ってくれて、お互いの歩み寄りで会話できてるんだなと思うと繋がりを強く感じます。
—今日の様子をみて、手話を勉強してみたいと思いました。
鈴木:たくさん手話をする人の中に身を置くと、結構疎外感を感じませんか?
—マイノリティ側に立つとこんなに大変なんだなと、はっとさせられました。
野中:それが、ろうのことを知らない方が参加する意義のようなところがあります。
—もっと多くの人に参加してほしいですね。明大には手話サークルもありますよね?
野中:そこから手伝いに来てくださったスタッフもいました。文化祭では手話サークルの「手話カフェ」とのコラボもあります。
—この企画のスタートは、準備全体でいつぐらいからだったのですか。
鈴木:開催を決めたのは去年の11月で、企画書が大学に通り、M-Naviプロジェクトに採択されたのが1月末でした。先生たちのサポートがなかったら絶対できてないと思ってます。
ー普段、健聴者の友達同士で手話で会話するときと、ろうの子供たちと手話で会話するときで違いはありますか。
野中:他のスタッフと手話で話すときよりも、子どもと話すときの方が言いたいことを分かってくれているように感じます。
鈴木:私は子どもと話すときは、本当にこれで大丈夫かなと思うこともあります。
ーこれからの展望や野望はありますか。
鈴木:野望は世界中の人と友達になることです。理想論ではありますが、理想は追わないと、近づけないと思っています。
野中:いろいろ考えた末にやっぱりそこに行き着くという話し合いを何度もしています。
鈴木:お互いの枠を取り除くとか、「この人は~の人」のように分けるのも大事だけど、枠を超えて仲良くなれる人もいるはずなので、私たちの活動がそのきっかけになればいいなと思っています。
ーまた次の夏祭りにも呼んでください。本当にありがとうございました。
私たち【M-Navi記者】は、今後さまざまな学生団体を取材し、記事を書きます。
お楽しみに!
山本・吉田・寺坂 (M-Navi記者3年)