「知る」とは、誰かから知識を教えてもらうことだけなのでしょうか。
私たちが何を知り、何に気づくのかは、どこに身を置き、誰と出会い、何を介して出会い、どのように会話し、どのように関わるのかによって変わってきます。つまり、「知ること」は、あらかじめ存在する知識を受け取ることだけではなく、私たち自身が動き、他者や環境と関係をつくっていくなかで生まれてくるものでもあります。
今回の特別講義では、フィリピン大学オープンユニバーシティ学部長Roberto B. Figueroa Jr. 先生をお招きし、VRやメタバースを活用した教育実践を手がかりに、こうした関係論的な「知り方」について考えます。
特に注目するのは、メタバースを介した transnational exchange(国境を越えた交流) の可能性です。異なる場所や文化的背景をもつ人々が、同じ仮想空間に入り、移動し、何かを一緒に見たり、つくったり、話したりする。そのとき、単に「海外の人について知る」のではなく、実際に関わることを通して、相手や世界、そして自分自身についての理解が生成されていくのではないでしょうか。
メタバースは、距離を越えて人と人をつなぐための単なる技術ではありません。
誰と、どのように出会うのか。
何を一緒に経験するのか。
どのような関係をつくるのか。
そこから生まれる「知ること」のかたちを、一緒に考えてみたいと思います。