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数理のチカラ vol.5

人間と一緒に成長する「知能ロボット」を創る?!

明治大学 総合数理学部 ネットワークデザイン学科 森岡 一幸



今、私たちは、検索サイトやスマートフォンのカメラ、GPSなど、ネットワークを通じてたくさんの情報を得ることができます。これらを視覚や聴覚などの五感がわりに使えば、外部の環境や人の行動から学んで成長していく知能ロボットを創ることも夢ではありません。情報技術と数理の力が、ロボットのいる未来を実現します。



人間は、ほかの人やモノ、環境と関わりながら成長していきます。人と会話したり学校で学んだり、知らない場所へ行ったり、そうした関わりの中で新しい情報を得て次の行動につなげていくのです。こうした要素を組み入れたら、人間と同じように外部の出来事から学んで成長していくロボットができるのではないか。そんな発想から誕生したのが、ネットワークにつながった、たくさんのカメラ、GPSなどのセンサから情報を得て、自分なりに考え、行動につなげていける「知能ロボット」です。このようなロボットこそが、あらかじめプログラムされた行動だけではなく、人や環境とのつながりの中で成長し、さまざまなことが起こりうる複雑な人間社会に、よりスマートに対応することができるようになるのかもしれません。



しかし、物事に臨機応変に対応できるロボットを創るためには、膨大な情報量を内部に蓄積すると同時に、得た情報をすばやく処理して行動につなげるための工夫が必要です。ここで活躍するのが、膨大な情報量を扱うことを得意とする「数理」と「情報技術」の力。一見簡単そうな行動、たとえば部屋の中で自分がどこにいるのかを認識したり、人間について歩いたりするだけでも、その裏には最先端の情報処理技術が隠されているのです。



自分で創ったモノが動いたら面白いだろうな。そんな子どものような思いから始めたロボット研究ですが、ネットワークが発達した今は、同じ「動く」でも「人間のように賢く動く」ようにすることが可能になりました。ネットワークから得られるたくさんの情報を、ただ放っておくのはもったいないことです。人間の生活をより便利に、豊かにするためには、この情報をどう使い、何につなげていけばよいのか。今後、私たちは「そもそもロボットは必要か?」という問いも含めて、ネットワークの新しい活用方法を模索していかなければなりません。情報技術や数理の知識に裏打ちされたネットワーク研究は、今後ますます重要になっていくでしょう。学び、そして答えを探しながら、一緒に成長していきましょう。
(了)

数理のチカラ : ネットワークデザイン学科

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