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教育理念と教育目標

教育理念

 今日の世界は、一国的にも地球的な規模でも、多種多様な問題を抱えている。そうした問題の多くは一国のみでは解決不可能であり、国際的な連関の中で解決されねばならない。言い換えれば、自由化・情報化・経済活動のグローバル化という経済的な条件や、一国的なあるいは国際的な政治秩序の絶えざる不安定化という政治的な条件の下で、私たちは様々な問題に取り組んでいかねばならないのである。
 私たちを取り囲む様々な問題の依って来たる原因を究明し、必要に応じて問題を解決するための政策的な提言をなし得るような能力や、実際に問題解決に向けて行動できるスキルを身につけることは、決して簡単ではない。しかしまさにそうした能力とスキルを身につけた人材の存在こそが、今日の世界が抱える問題を解決していく上での基礎である。
 政治経済学研究科はそのような人材を育成し、社会に送り出すことを使命としている。従来から本研究科は、政治学、経済学、社会・人類学という3分野において、現代社会の抱える諸問題に歴史、理論、現状分析という3方向から取り組むことの出来る研究者の養成に力を注いできた。しかし今日の社会が大学院に対して求めているのは、ただに研究者を養成することだけではなく、「現場で」的確に判断し、行動しうるような実務家でもあるだろう。本研究科はこうした要請に応え、高度に専門的な知識と技術を持った職業人となろうと考える人びとに対して、研究の場を積極的に提供することにも努めている。
 いうまでもなく、今日私たちが抱えている諸問題の解決に取り組む研究者や専門職業人を養成するには、従来の研究と教育の枠組みを絶えず見直すことも必要である。近年、都市や環境、国際関係やNGO等々についての新しい教育科目が次々と採り入れられていることは、そうした見直しの成果である。このように自己革新を行いながら人材育成をはかるところに本研究科の特色がある。 

教育目標

1)研究科の理念、使命を達成するために、本研究科の博士前期課程は研究 者養成コースと専修コースとに分かれている。前者の研究者養成コースで は、博士後期課程に進学して将来研究者となることを希望する者を受け入 れ、後期課程まで一貫した指導を行うようにしている。学生は前期課程修 了時に修士学位請求論文を提出しなければならない。
他方専修コースでは、2年の課程修了後に社会の諸分野で専門的な知識 を持ち、実際的な行動力をもった職業人として就職することを目標とする 学生を受け入れている。その目標達成を助けるため、政治経済学部とも連 携しながら、インターンシップ先の紹介、社会人講師による特別講座の開 催などを行い、研究者養成コースとは異なる学習の機会を提供している。 学生は課程修了時に研究報告書を提出しなければならない。
また、このコースでは多くの社会人学生の受け入れも行っており、その ことが本研究科の特色の一つをなしている。
2)博士後期課程については、自立した研究者として活躍できる人材を育成 することを目的に、出来る限り最短年限で課程博士論文を作成するよう学 生の指導を行っている。また研究成果を学内外に広く知らしめる目的で、 学生が論文発表や口頭報告を出来るような機会が研究科には設けられてい る。
3)本研究科は今日の世界が抱える問題に積極的に取り組むことで国際社会 に貢献しようとするものであるが、そうした意図に基づき、主に博士前期 課程に多くの外国人学生を受け入れている。彼らのために英語による講義 が多数開講されているが、それらには日本人学生も参加が可能である。 国際交流は単に外国人学生を受け入れるだけでなされるものではない。そ れ故本研究科では学生を海外の大学に送り出すよう、積極的な指導に努め ている。
4)なお、学部と博士前期課程の連携をこれまで以上に強化し、学部から前 期課程までを5年間で修了可能とする新しい制度を2007年4月から発足さ せる予定で、現在準備中である。 
明治大学大学院