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Master of Public Policy, MPP
公共政策のプロフェッショナルを育成するガバナンス研究科
2022年1月19日掲載
フィリピンでは昨年11月、ワクチン接種の加速と感染状況が悪い国からの入国制限によって、感染者数の着実な減少を見ていました。11月末から12月初めにかけて政府は1千万回を1週間で接種する国家目標を立てました。
しかしながら一方で懸念材料もあります。12月はフィリピンでもクリスマスシーズンであり、多くの人々が集まり、祝う機会ですが、ちょうどその時期にオミクロン株が出現しました。先週(12月下旬)は陽性確認者が増加に転じ、国全体の陽性率も急上昇しました。新年最初の数週間は、新型コロナウィルス感染症が再び急拡大に転じるかどうかの瀬戸際だと思います。
2021年の第3四半期、フィリピン政府は経済の再開を目指した改訂版の検疫方針を導入しました。これはコロナ禍で継続したロックダウンによる企業活動や投資への影響からの復興を目指すものです。官民とわず在宅リモートから出勤への切り替えも可能となりました。公共交通機関の運行も増加しました。政府は国境での入国制限や検疫措置の定期的な見直しを行い、国内・国際双方の旅行者への要請内容を緩めています。また地方政府もそれぞれの実情に応じた検疫措置を導入しています。
私が2020年秋に留学を終えて帰国した時、国は厳格なロックダウンの最中にあり、多くの職場は在宅勤務になっていました。当初、仕事をすべてEメールやオンライン会議に依拠したやり方に馴染むのは難しかったです。センターにおける人材育成専門家としての私の仕事は、出張しながら顧客である中央・地方の行政機関等と協議する形でしたが、それが保留となり、いまはすべての人材育成活動がオンラインで行われています。コロナ禍以前には想像できなかったことです。さまざまな人と会って仕事をすることが、私にとって楽しみであったのが、殆ど出来なくなりました。日本から帰ったら以前とあまり変わらない環境で仕事につくことを期待していたのですが。 さらに、在宅勤務によって、プライベートとオフィシャルの境界が以前と異なる形になり、ワーク・ライフバランスの再構築が必要でした。以前、家は仕事の心配とは離れて、落ち着いて寛げる場でしたが、今は家が職場になり、仕事と家事とのバランスをとる必要があります。幸いなことに私の職場はより良い在宅勤務形態(例えば勤務時間外や週末はEメールやメッセージを送らない、水曜日は会議をしない等)をとってくれているので、在宅勤務中にワークライフバランスをとることが容易です。今後も継続する可能性がある感染症パンデミックへ対処するためにも、私たちはより柔軟な働き方を進めていくべきと思います。
日々の生活について、最も大変なのは移動が制限されることです。私は旅行が好きで、多くの時間を外で過ごしていましたが、ロックダウンが続き、屋内に留まることが求められました。政府のガイドラインによって、大きな集会や祝いの場を設けることができず、親類縁者や友だちとのイベントもキャンセルとなるか、オンラインに変更となりました。手洗い、ソーシャルディスタンス、マスク着用が日常の一部になりました。
新型コロナウイルス感染症は私たちの社会と政府にとって、保健医療制度の改善や様々なウィルス・感染症への初期対応・予防措置に必要な制度・措置のあり方を再考する大きなきっかけとなりました。コロナ禍でのフィリピン政府の対応からはさまざまな教訓が得られ、この2年間で私たちが経験した失敗は繰り返してはならないと思います。公衆衛生システムの改善や災害時に迅速に対応できるリーダーの選出に加えて、今後予想されるパンデミックで生き延びるために、私たち自身が感染を防ぎ健康を守る行動をとることも重要と考えます。日本のように、体調が優れない中で外出して人に会う必要がある時はマスクを着用する、という習慣はフィリピンでも必要でしょう。相手と適切な距離をとることや手洗いの励行も今後継続すべきと思います。
明治大学において、私は自らの課題である官民連携による都市鉄道輸送の研究に専念することができました。私の研究から得られた分析とその結果は職場の同僚たちとも共有し、他のセクターでの官民連携の促進にもつながっています。それだけでなく、政策の改善を提言したり行動したりする前に、適切な問いを立てることの重要性を指導をうけた先生から学び、それは今でも私の中に共鳴しています。先生によると、公務員は中心となる問題を見つける前に解決策に飛びつきがちであるといいます。これは私にとって大きな発見であり、いつも肝に銘じていることです。このことは、明治大学で学ぶ後輩たちにもぜひ意識してほしいです。
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