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教員紹介

石川 日出志(いしかわ ひでし)

文京区弥生町2丁目の記念碑にて

——簡単に自己紹介をお願いします

  新潟県内の農家で生まれ育ち,幼いころから米づくりを手伝い,山野を走り回る日々を送りました。そうした経験が今,考古学を学ぶ上でとても役立っています。現在は弥生時代が専門なので水田跡や河川跡の調査をよく見学しますが,すぐに当時の情景を思い描けるのです。
 東北・関東地方の弥生土器から研究を始めましたが,今は日本全国,さらに周辺世界の資料も探求しています。最近は「漢委奴國王」金印研究のため中国古代の印(ハンコ)と格闘しています。

——昔から考古学者になりたかったのですか?

 中学から高校へと進むとき,将来は兄と一緒に農業に従事したいと思いましたが,農地が広くないのでそれは叶わないとすぐに気づきました。生涯を土の上ですごせる仕事はないか? それが,高校2年生の10月に一日だけ発掘調査に参加し,冬に自ら発掘した土器を水洗いしてそれが東北地方の天王山式土器と知って,自分の道が決まりました。

——考古学の面白さって何でしょう?

 考古学は,土中から出土した資料やその発掘状況から過去人類の生活を復元します。ですから,大学生でも,出土資料やデータを何度も検討することで,大先生の学説や定説を修正することができます。私は,考古学の醍醐味はそこにあると思います。

——現在はどのような研究を進めていますか?

 弥生時代とはどのような時代と考えるべきなのか。弥生時代といっても九州と近畿,関東と各地で様子が違います。また九州でも,弥生時代の始め頃と中頃,終り頃とでは随分違いがあります。それを理解する枠組みを考えるのが現在の研究課題です。2010年秋から「漢委奴國王」金印に没頭し,銅鐸がどのように形成されたのかも検討中です。つねにたくさんの課題をもちながら,徹底してモノに即した研究を進めています。

——考古学者に必要なものって何でしょう?

 それは「好奇心・探求心」に尽きるでしょう。

——高校生のときにやっておくべきことってありますか?

 高校で学ぶ科目にしっかり取り組むことです。将来のあらゆる経験・学び・研究の大事な基礎です。その上で,遺物や遺跡に触れる機会をつくることではないでしょうか。

——受験生の皆さんにメッセージをお願いします

 どの分野でも,大学ごとに異なる特色があります。自分で調べて,大学どうしを比較検討しましょう。そして「一歩前へ!」(明治大学のキーワードです)。