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国際日本学部

山脇ゼミが中学校でやさしい日本語をテーマにした授業を担当しました

2025年11月11日
明治大学

 国際日本学部山脇ゼミは2025年9月2日に、横浜市立大綱中学校の3年生(全8クラス・生徒数約300名)を対象に、道徳の時間にやさしい日本語の授業を担当しました。山脇ゼミからは3・4年合わせて9名のゼミ生が参加し、司会やファシリテーションを行いました。3時間目から6時間目まで、二つのクラスで同時に同じ授業を行い、4回繰り返しました。

どの授業も、前半は「やさしい日本語」についての短い解説を行い、後半はクイズアプリ「Kahoot!」を利用し、やさしい日本語に関するクイズを行いました。

ゼミ生による講義の中では、まずやさしい日本語の意義について話し、やさしい日本語を扱う上で大切な「はさみの法則」(※「はっきり」「さいごまで」「みじかく」を意識した話し方・書き方)について解説すると同時に、2021年に山脇ゼミがやさしい日本語ツーリズム研究会と制作したやさしい日本語ラップ「やさしいせかい」を見てもらい、やさしい日本語の基礎を学んでもらいました。

後半のクイズでは、ゼミ生がオリジナルで作成したやさしい日本語の書き換え問題に、生徒の皆さんにグループ対抗戦のスタイルで挑戦してもらいました。クイズ形式の学習プラットフォームであるKahoot!上で、やさしい日本語の具体的な使い方や表現のポイントの体験的な理解を促しました。

3、4人でグループを作り、タブレットに表示される4択問題に挑戦する過程で、やさしい日本語の書き換え力を競ってもらいました。日本語の問題文に対し、4つの選択肢の中から「最もやさしく(優しく・易しく)書き換えられた日本語」の表現を一つ選んでもらいました。素早く正解するほど高得点が得られますが、誤答した場合は、ポイントを獲得できません。各問の終了後には上位5グループのランキングが随時発表されるため、一問ごとに変動する順位に一喜一憂しながら、次第に盛り上がりを見せていく生徒たちの姿が印象的でした。

これまで山脇ゼミが行ってきたやさしい日本語ワークショップは、スライドとプリントを使った講義とグループワークを中心としたものでした。対象が中学3年生であること、一人一台タブレットが支給され、ICTを活用した協働的な学習方法が導入されていることに着目し、今回初めて取り入れたゲーム形式のやさしい日本語の授業は、荒削りながらも大成功を収めたと言える盛り上がりを見せました。

授業の後のアンケートでは、回答者の84%が「満足」、13%が「どちらかといえば満足」と答え、満足度がとても高かったと言えます。以下は、やさしい日本語教室に参加した大綱中学校の生徒の感想を一部抜粋したものです。

「やさしい言葉の意味を初めてしっかり学ぶことができて良かった。ゲームをして楽しみながら理解しあえてとてもいい時間になった」「大学生の授業ということもあり難しい内容だと思っていたのですが、明るく、私達にもわかりやすい説明をしてくれ、内容を理解しやすかった。」「今話している日本語だけを気をつけるだけでなく看板などの標識の日本語にも気をつけて、これからを過ごしたいと感じた。最初は難しい内容かと思ったけれど、意外と簡単だった。」「楽しみながらやさしい日本語について学ぶことができて、とてもいい経験になりました。これから、必要なときはやさしい日本語を積極的に使って会話をしていきたいです。」「私の友達にはドイツから来た友達がいてたまに日本語の表現で困っているので次にあったときはこのやさしい日本語を活用して話して見たいと思います!」「やさしいという言葉をわざとひらがなにして最初はどうしてだろうなと思ってたんですが理由を聞いてなるほどなーと思いました!」「生徒さんたちが優しく教えてくれたりほめたりしてくれて嬉しかったです!優しいせかいのラップも三回YouTubeでみました!」「明るくて、内容も面白かったです。いつも日本にいても外国人には英語で話したほうがいいと思っていたので、優しい日本語を使うというのは今回初めて知れました。」「大学生はもっと怖いものだと思っていましたが、とてもわかりやすくん門的用語をあまり使わずに教えてくれたので、とても楽しかったです。」「やさしい日本語ってなんだろうと思っていたらどんな人にも伝わる日本語ということを学んだ。外国人や老人と関わる機会があれば授業で学んだやさしい日本語を思い出したいと思う」

以下は、ゼミ生の感想です。

「今回初めてkahootを使ったグループワークを行いましたが、生徒の皆さんがグループ内で話し合いながら楽しそうにやさしい日本語について理解を深めてくれていることが印象に残りました。これからもゲーム形式でやさしい日本語に触れてもらうことができるように、今回の反省点を生かしてさらによいワークショップをつくっていきたいです。」(3年 清水ななか)

「中学生向けの「やさしい日本語」ワークショップは初めてでしたが、クイズゲームの Kahoot を取り入れることで、楽しみながら日本語に触れてもらうことができました。クイズに挑戦する中で、間違えても前半の講義で学んだ内容を思い出し、理解を深めていく生徒の姿が見られ、ワークショップの意義を改めて実感しました。最後には、生徒の皆さんから「とても楽しいワークショップをありがとうございました」と言っていただき、大きな励みとなりました。今後も、世代や国籍を問わず「やさしい日本語」を知ってもらえるよう、活動を続けていきたいと思います。」(4年 田路さくら)

1日で約300名にやさしい日本語ワークショップを開催することは山脇ゼミ史上最大規模であり、非常に挑戦的なイベントでした。これまでに行ってきたワークショップは、どんなに多くても1回につき1クラス、かつ一つのグループにゼミ生が1名ファシリテーターとして付く形式でした。しかし今回は、担当ゼミ生を二分し、2クラス同時進行で4回行うため、ファシリテーターの数が足りず、新たにKahoot!を取り入れた形式へと大きく舵を切りました。生徒の皆さんからいただいたフィードバックから、改善点はまだまだあると痛感したものの、司会として黒板の前に立ちながら教室全体の様子を見ていた立場としては、ゲームに熱中して取り組んでくれる様子に、達成感を感じずにはいられませんでした。後輩たちにはぜひ、今回使用した問題をブラッシュアップしていきながら、より多くの人にやさしい日本語を知っていただくために活躍してほしいと思います。
(4年 木内彬乃)