卒業生の声
国際日本学実践科目の履修生がJX金属株式会社本社を訪問しました
2025年12月11日
明治大学 国際日本学部
2025年度秋学期の「国際日本学実践科目D」では、日本の資本主義、企業経営の特徴を浮かび上がらせるプロジェクト型の学習を進めています。そのため東京都内に所在する企業本社を訪問しレクチャーを受ける学外実習を5回、設けることにしました。
履修生は事前に各社の経営戦略やその実現の方策などについて学習を重ね、様々な視点から質問を行えるようにしています。
その2回目は、東京虎ノ門に本社を構えるJX金属株式会社でした。11月11日の午前、同社のコーポレートコミュニケーション部を訪ね、サステナビリティ推進室サステナビリティ推進担当課長の白井孝一さんよりお話を伺い質疑を行いました。
JX金属は1905年創業で、銅鉱山開発を始めた茨城県日立市が創業の地となる総合非鉄メーカーです。高い導電性により電子機器等に欠かせない銅を中心として、資源開発・製錬から先端素材の生産、リサイクルなど川上から川下まで多様な事業を営んでおり、近年、競争力の高い半導体材料・情報通信材料等の分野にシフトし、設備投資、R&Dを加速させています。
当日、参加した履修生は1年生から4年生までの8名で、同社のショールームであるSQUARE LABの見学、仮想現実(VR)を用いた佐賀関製錬所の操業現場の疑似体験などを通して、銅を中心とした非鉄金属素材がどのようなプロセスを経て社会に提供されているかについて理解することができました。
同社は世界の名だたるIT関連企業と取引関係を築いていますが、「高度な工業製品ほど係わる企業は多くなり、内外の様々な企業からの要求に応える必要がある」とのことでした。そのため今日、企業のサステナビリティを考える視点は、環境だけにとどまらず、人権や労働、政治リスクまで幅広いものとなっており、白井さんからは「地政学的なリスクの観点から資源大国からの原料調達には注意しつつ、また環境対応について最終メーカーからカーボンフリーを要求され気候変動や生物多様性にも配意している」という現状をご説明いただきました。
また人権という視点からは、「各国の現場における労働環境、とりわけ強制労働や児童労働、あるいは武装勢力との関係といった面で問題がないことを証明する必要があり、従業員も高い人権意識が必要になっている」「そうした取り組みにはコストも伴うため、シェアの高い製品分野であってもそれを製品価格に転嫁できるかという問題に直面する。しかし責任ある調達は当社にとって最重要の課題であり、特に稀少金属の調達に当たっては各種の外部監査を受けGood Deliveryとしての登録されるように取り組んでいる」というご説明をいただきました。
参加した履修生からは、「最終的に完成した製品の良し悪しや、公表されている情報のみならず、その製品の背後にある生産方法や携わってきた人々の労働環境などにも目を向けていきたい」「クライアントとしっかりと信頼関係を築き事業を展開するとともに、新しい時代に対応して改革する姿勢が100年以上続く企業である所以なのではないかと感じた」「調達プロセスの管理や情報開示を強化しているのは単なるCSR活動ではなく、事業の持続性と内外の社会の安定性を同時に高めるための必然的な取り組みであると理解できた」「サステナビリティに対する要求水準が高まる中で、コストや人材確保の問題と向き合いながら達成していくことは容易ではないと感じた」「半導体や電子デバイスに不可欠な材料を扱う企業として、高い品質基準を保つため現場の設備や作業工程が徹底的に管理されていることを実感できた」などの感想が示されました。
私自身、印象に残ったのは、「もし、サステナビリティにおける種々の取り組みを行わないまま事業を拡げていくと、突然、取引先企業から求められる条件をクリアできず、最悪の場合、取引停止となるリスクもある」という白井さんのお言葉でした。最先端技術を駆使しIoTやAI社会に貢献する企業が、多様な取引先と協業するうえで主体的に取り組みを進めることにより、サステナビリティを実現していることに履修生も刺激を受けたと感じています。
履修生は事前に各社の経営戦略やその実現の方策などについて学習を重ね、様々な視点から質問を行えるようにしています。
その2回目は、東京虎ノ門に本社を構えるJX金属株式会社でした。11月11日の午前、同社のコーポレートコミュニケーション部を訪ね、サステナビリティ推進室サステナビリティ推進担当課長の白井孝一さんよりお話を伺い質疑を行いました。
JX金属は1905年創業で、銅鉱山開発を始めた茨城県日立市が創業の地となる総合非鉄メーカーです。高い導電性により電子機器等に欠かせない銅を中心として、資源開発・製錬から先端素材の生産、リサイクルなど川上から川下まで多様な事業を営んでおり、近年、競争力の高い半導体材料・情報通信材料等の分野にシフトし、設備投資、R&Dを加速させています。
当日、参加した履修生は1年生から4年生までの8名で、同社のショールームであるSQUARE LABの見学、仮想現実(VR)を用いた佐賀関製錬所の操業現場の疑似体験などを通して、銅を中心とした非鉄金属素材がどのようなプロセスを経て社会に提供されているかについて理解することができました。
同社は世界の名だたるIT関連企業と取引関係を築いていますが、「高度な工業製品ほど係わる企業は多くなり、内外の様々な企業からの要求に応える必要がある」とのことでした。そのため今日、企業のサステナビリティを考える視点は、環境だけにとどまらず、人権や労働、政治リスクまで幅広いものとなっており、白井さんからは「地政学的なリスクの観点から資源大国からの原料調達には注意しつつ、また環境対応について最終メーカーからカーボンフリーを要求され気候変動や生物多様性にも配意している」という現状をご説明いただきました。
また人権という視点からは、「各国の現場における労働環境、とりわけ強制労働や児童労働、あるいは武装勢力との関係といった面で問題がないことを証明する必要があり、従業員も高い人権意識が必要になっている」「そうした取り組みにはコストも伴うため、シェアの高い製品分野であってもそれを製品価格に転嫁できるかという問題に直面する。しかし責任ある調達は当社にとって最重要の課題であり、特に稀少金属の調達に当たっては各種の外部監査を受けGood Deliveryとしての登録されるように取り組んでいる」というご説明をいただきました。
参加した履修生からは、「最終的に完成した製品の良し悪しや、公表されている情報のみならず、その製品の背後にある生産方法や携わってきた人々の労働環境などにも目を向けていきたい」「クライアントとしっかりと信頼関係を築き事業を展開するとともに、新しい時代に対応して改革する姿勢が100年以上続く企業である所以なのではないかと感じた」「調達プロセスの管理や情報開示を強化しているのは単なるCSR活動ではなく、事業の持続性と内外の社会の安定性を同時に高めるための必然的な取り組みであると理解できた」「サステナビリティに対する要求水準が高まる中で、コストや人材確保の問題と向き合いながら達成していくことは容易ではないと感じた」「半導体や電子デバイスに不可欠な材料を扱う企業として、高い品質基準を保つため現場の設備や作業工程が徹底的に管理されていることを実感できた」などの感想が示されました。
私自身、印象に残ったのは、「もし、サステナビリティにおける種々の取り組みを行わないまま事業を拡げていくと、突然、取引先企業から求められる条件をクリアできず、最悪の場合、取引停止となるリスクもある」という白井さんのお言葉でした。最先端技術を駆使しIoTやAI社会に貢献する企業が、多様な取引先と協業するうえで主体的に取り組みを進めることにより、サステナビリティを実現していることに履修生も刺激を受けたと感じています。
兼任講師 井上 洋








