卒業生の声
国際日本学実践科目の履修生が東日本旅客鉄道株式会社本社を訪問しました
2026年01月15日
明治大学 国際日本学部
2025年度秋学期の「国際日本学実践科目D」では、日本の資本主義、企業経営の特徴を浮かび上がらせるプロジェクト型の学習を進めています。そのため東京都内に所在する企業本社を訪問しレクチャーを受ける学外実習を5回、設けることにしました。
履修生は事前に各社の経営戦略やその実現の方策などについて学習を重ね、様々な視点から質問を行えるようにしています。
その3回目は、東京渋谷区に本社を構える東日本旅客鉄道株式会社でした。11月25日の午前、同社の人財戦略部をお訪ねし、人材育成ユニットマネージャーの坂本泰さんらより、同社におけるキャリア形成を中心にお話を伺い質疑を行いました。
東日本旅客鉄道は1987年4月1日、日本国有鉄道の分割民営化に伴い発足した日本最大の旅客鉄道会社です。1990年には、中期ビジョン「FUTURE21」に基づいて、自主自立経営の確立と安定した経営の基盤づくりと21世紀を切り拓く鉄道を中心とした総合生活サービス企業の創造をめざすという目標を掲げ、1993年10月には早くも株式上場を果たしました。
現在では、鉄道をはじめとする運輸事業に加えて流通・サービス事業、不動産・ホテル事業、Suica・金融事業、さらには海外鉄道事業などその他事業の4本柱で業績を伸ばしています。現在の社員数は約4万4千人ですが、グループ連結では7万人が働いており、営業収益は2024年度、2兆9千億に迫り、31年度には4兆円、34年度には5兆円を目指すという巨大な企業です。
同社は、本年7月、グループ経営ビジョン「勇翔2034」の公表し、「主役であるグループ社員の新しいチャレンジにより、これまでの当たり前を超え、鉄道を中心としたモビリティと生活ソリューションの二軸で支える強靭な経営構造の構築」をめざしています。鉄道を中心としたモビリティと生活ソリューションのそれぞれを強化していくとともに、TAKANAWAGATEWAY CITY開発に象徴される、二軸を持つ強みをビジネス化するということです。
そのために重要なのがライフスタイル・ソリューション(LX)であり、その実現のためグループ全体で、「グループ社員の働きがいと成長の実感」「すべての人にとっての安心」「技術力の深化」「ヒト起点のマーケットイン」「「シナジー(融合と連携)」を掲げていますが、社員のやりがいを高めて、お客様の期待を超える事業を構想していることが窺われます。
当日はまず、人財育成ユニットの川上秀洋さんと関川雅文さん、JR東日本パーソナルサービス・ヒューマンリソース事業本部の荘司健悟さんから、様々なお話を伺いました。川上さんと荘司さんは明治大学の卒業生です。川上さんは20年前に経営学部を卒業後、水戸支社に勤務、駅員や車掌、運転士を経験したのち採用や人財戦略のお仕事に就かれました。また荘司さんは10年前に情報コミュニケーション学部を卒業し、現場では車掌を経験したのち営業部門で働き、現在、グループ会社に出向して、本社の採用などを担当しておられます。
お二人とも現場を経験した後にご自身の希望を踏まえた異動によりキャリアを築いてこられましたが、東日本旅客鉄道では社員の数だけキャリアパスがあるといわれるほど社員の意思が認められており、それが社員のモチベーションを高めているということでした。
具体的には、総合職のほか、地域総合職やジョブ型のキャリアの入口を用意し、キャリア形成は仕事を通じて自己実現をサポート、社員それぞれのキャリアデザインを尊重しているとのことであり、「自分の未来は自分で切り拓いていくことができるし、そのためにクリアでかつオープンなキャリア形成制度を用意されている」というお話が印象的でした。
そのあと、マネージャーの坂本さんが加わり、さらに質疑を進めていきました。坂本さんは国鉄改革から6年ほど経った1996年入社、上野駅員を皮切りに山手線の車掌、ビューカード関連業務、田畑駅の助役などを経験したのち、人事部門に落ち着き、20年以上、人事関連のお仕事をされている方です。
当日参加した履修生は8名でしたが、坂本さんにはエリア内での地域産業の支援(例:青森県のリンゴを用いたシードルつくり・販売、6次産業化の推進)、新幹線を使った特産物の輸送、Suica事業のルネッサンス(送金機能の付加など)、社員の心をまとめる野球チームの強化などを履修生からの質問に応えるかたちでお話いただきました。
坂本さんのお話で印象的だったのは、「自分が好きな仕事、やりたい仕事と適性は異なる。私の適性は人事だったが、人事は社員がお客さんであり、その人の人生を左右してしまいかねない怖さがある」「人事担当者にはコミュニケーション能力や人に対する愛情が必要であり、人間性と経験で取り組んでいくほかない」「20代〜30代はじめの経験がとても重要であって、様々な経験を通じ知見を積むことにより、その後にキャリアに活きてくる。その年代で面倒くさいことから逃げないようすることが大切である」などのお話でした。
今回参加した履修生の中には、将来企業において人事の仕事に就きたいと考えていた者もいましたが、まずは現場を経験しそこでの経験が責任の重い人事という仕事につながっていることが理解できたように思います。
兼任講師 井上 洋








