Master of Public Policy, MPP

公共政策のプロフェッショナルを育成するガバナンス研究科

タラ・プラサッド・ジョシ(Tara Prasad Joshi)

2021年9月13日掲載



名前 タラ・プラサッド・ジョシ(Tara Prasad Joshi)
ネパール連邦民主共和国
現職 最高裁判所書記局次長(課長級)
ガバナンス研究科修了年月 2019年9月

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(1) 最近1か月間で、あなたの国の新型コロナウイルス感染症陽性者は増えていますか?減っていますか?

感染者は減ってきていますが、いまでも毎日1500~2000人が陽性確認されています。

(2) 最近数か月間で、あなたの国では人々の行動や移動を制限する措置がとられましたか?それはどのようなものでしたか?

ネパール政府は感染第2波をコントロールするため、4月最終週から全土にロックダウンを宣言しました。首都カトマンズでは8月末日まで様々な制限がありました。映画館、劇場、宴会場は開場を認められず、25人以上の集会も禁止でした。社会的・文化的な儀式等も、保健省のガイドラインに沿った形でのみ開催可能でした。学校や大学は今でも休校中で9月17日から再開予定です。ネパール政府はこのように、感染拡大防止に向けた様々な制限を導入してきました。状況は制御不能ではなく、ワクチン接種も進められています。日本政府によるワクチンの援助は大変助かっています。

(3) コロナ禍で、あなたの暮らしや仕事はどう変化しましたか?



新型コロナウィルス感染症の拡大は、私の日常生活と勤務先での働き方に変化をもたらしました。外出の時にはマスクと消毒液が必携です。食事は家で調理したもの以外摂りません。人が密集する場所は避けるようにしています。「ソーシャルディスタンス」に気をつけて、公共交通機関は極力使いません。(ヒンドゥー教徒にとって大事な)祭礼にも殆ど参加せず、カトマンズの外に住む家族と会う機会も減りました。

私はいま最高裁判所で働いています。感染急拡大により裁判所の業務も大きな影響を受けました。オンラインによる審理が開始されています。ITを使う在宅勤務が1か月以上続き、職場の中でも物理的な距離をとることが徹底されています。

(4) 今後予想される感染症のパンデミックに対処するために、あなたの国ではどんな準備が必要と思いますか?

私の国は感染症急拡大に対処する力が充分ではありません。新型コロナウィルス感染症のようなパンデミックに対する予防措置や、基礎的なインフラとしての医療サービスの充実が必要です。政府機関、地方自治体、民間セクター、市民社会による協力・協働が求められます。今回のパンデミックでは、医療機関と援助供与機関、政府諸機関との協力が不足していました。

ネパール社会のもっている人々の繋がりやソーシャルキャピタルは、このような危機に対して有益でした。災害時の心理的な回復において、地域コミュニティの関与は大切です。人々が「自分たちは孤立していない」と感じ、自信をもち、将来への希望を持つことが、今回のようなパンデミックの犠牲者の回復に役立つと考えます。

(5) ガバナンス研究科への留学はいまどのように活かされていますか?2年間を振り返ってどんな成長がありましたか?

明治大学での2年間は、私のキャリアだけでなく、日々の暮らしにも役立っています。日本社会からさまざまなことを学びました。危機にあって忍耐強くあることや、災害への適切な対処方法は、日本で学んだことです。

明治大学では防災について学び、実践に役立っています。またNGO/NPOに関する授業を通じて、社会福祉における地域コミュニティの関与や、国の開発において非政府組織がどのような役割を果たせるか、という実践的な知識も学びました。

明治大学ガバナンス研究科で公共政策を学び、帰国した後、ネパール政府人事院の試験に臨み、(国家公務員の)課長職に昇進することができました。これは私のこれまでのキャリアで大きな達成です。

ですから、ガバナンス研究科での2年間は、私にとって忘れ難いものであり、個人的にも、また国家公務員としても、大変恩義を感じています。「ガバナンスファミリー」と、(日本で学ぶ機会を提供してくれた)日本政府に深く感謝しています。