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蔡 孟攸 (TSAI MENGYU)

 aoki

 
卒業年月
2015年 3月(4期生)
所属
株式会社タトル・モリ エイジェンシー
(東京都)
出身地
台湾

1 現在の仕事

 私は現在、著作権エージェント、株式会社タトル・モリ エイジェンシーに勤めており、日本の書籍を海外に輸出する仕事をしています。簡単に説明しますと、海外の出版社が日本の出版社から出た本を外国語で翻訳出版する際に、契約関係のサポートをする仕事です。例えば東野圭吾や湊かなえなど日本作家の文芸作品、柳井正や稲盛和夫など経営者のビジネス書籍、岸見一郎の『嫌われる勇気』のような自己啓発書等々、これらの作品の外国バージョンが生まれるよう、日本の出版社と海外の出版社の間に立って、糸をつなぎ、著作権の契約を交わす際の仲介人です。

 台湾出身の私が主に携わっているエリアは、台湾、中国、韓国への輸出業務です。普段は各国の出版社に日本の書籍を紹介し、現地の出版社がこの本を翻訳出版したい時、権利を持つ日本の出版社や著者と交渉します。また、海外各国で毎年開催されるブックフェアの時には、日本の出版社と共に現地へ行き、直接現地出版社に本の内容を売り込みます。

 翻訳出版することによって、一つの国の文化をもう一つの国に発信することになります。著作権エージェントは二つの国の文化交流を本の形で促進するお仕事です。


2 国際日本学部での学生生活

 国際日本学部に進学しようとしたきっかけは、以前日本で交換留学した時、交換先の学校で明治大学の学校紹介を聞き、自分が大好きな日本のポップカルチャーを重点的に勉強できることに惹かれ、既に受かって入学を保留していた台湾の大学を辞退し、日本へ進学することを決めました。入学後はすぐ必修の英語課程の洗礼を受けました。
 国際日本学部での厳しい必修英語のおかげで上達した英語は、今の仕事の礎にもなっています。また、大学だからこそできる自由な履修選択をフルで活用し、学びたい科目ばかり履修しました。マンガやアニメはもちろん、演劇、ファッション、歴史、哲学、宗教、国際情勢……一見関係がない分野のように見えますが、学んでみると実際には関わり合っていることに気付かされました。
 

 3年からは藤本ゼミに入り、本格的に大好きなアニメやマンガの文化を研究し始めました。日本のアニメやマンガは、子どもを楽しませるただの娯楽ではなく、その裏には大きな時代背景があり、社会状況をわかりやすく反映している鏡だと、文献を深く読んでいくうちに強く思いました。また、「台湾人である」という自分のベースの上から見れば、自分の国とも通じるものがあり、比較すればするほど面白いと感じました。現在の仕事では、日本のどのような書籍がこの国に合うかと考えている時、この経験もかなり活かしております。


3 学部生へのメッセージ

 私は幼い頃から日本が好きで、いつか日本と台湾の架け橋になりたいと、独学で日本語を勉強し始めました。気づけば私は今、まさにその架け橋になっているのではないかと、ようやく気づきました。当時、もし台湾の大学に戻ったら、もし国際日本学部に受からなかったら、もし交換留学先で明治大学の情報を知らなかったら、おそらく私は今ここにいないと思います。

 国際日本学部に入学したこと自体、必ず何かのきっかけになると、私は信じています。受身ではなく、積極的に取り組んでいれば必ず未来に繋がります。

「国際的な視点から日本を見つめ直し、日本の魅力を更に世界に発信する。」

国際日本学部という宝箱は、正直4年だけでは足りないです。ここで学んだことは一つも無駄がありません。ぜひ貪欲にたくさんの知識を吸収して下さい。そして、大学生活を楽しんでください!

(2017年8月掲載)