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国際日本学部

分身型ロボットを用いた大阪の特別支援学校の英語交流学習

2017年05月09日
明治大学 明治大学中野教務事務室(国際日本学部)

国際日本学部の学生3名が、2016年9月から2017年3月までの半年間、大阪府の特別支援学校の英語の授業の学習支援を行いました。分身型ロボットOriHimeを活用し、肢体不自由の生徒たちにリアリティのある英語を経験できるように、支援学校の教員と議論を重ね支援方法について検討してきました。実践に参加したのは、久保槙祐野さん(4年生)、緒方日菜子さん(4年生)、佐藤瑛子さん(4年生)の3名で、彼女たちは2016年度(春)の国際日本学実践科目において分身型ロボットの教育活用について調査し、それを実際に行うために任意でプロジェクトを立ち上げ活動をしています。以下に、緒方日菜子さんによる実践報告と、大阪の支援学校の植田教諭および生徒の感想を紹介します。(文責:岸磨貴子)

<国際日本学部 4年 緒方 日菜子>
 国際日本学実践科目という授業の発展的な取り組みとして、OriHimeという遠隔型ロボットを活用し、ICTの可能性を模索し続けた半年間でした。私たち3名は、大阪の特別支援学校の植田詩織先生とその生徒さん5名に協力を仰ぎ、英語のクラスの時間をお借りして、簡単な英語を取り入れながら、渡航経験のある海外の国々についてのプレゼンテーションを数回に分けて行いました。最初はOriHimeを使うメリットを活かせず、一方的な投げかけが独り歩きする場面も多くありました。しかし、植田先生と反省を重ね、ロボットを介したコミュニケーションだからこそ生徒さんが緊張せず楽しめるように、より「対話」を意識しました。すると、徐々に生徒さんからの積極的な質問や反応が増え、「もらう」ことに偏りがちな支援学校での生活に、生徒さん主導で何かを「得る」機会を増やすことができたと感じています。私は、OriHimeを通じて生徒さんの視野を広げることに貢献したいという思いのもと、スウェーデンの社会福祉に関するプレゼンテーションを行いました。車いす生活の子ならではの視点があったり、予想とは異なる斬新な感想を聞くことが出来たり、私たちの方が発見の連続でした。最後のクラスを終えると、生徒さんたちからメッセージカードが届きました。彼らの楽しみや夢を広げることができたと実感できた瞬間でした。
今年4月からのプロジェクトでは、双方的なコミュニケーションの向上に加えて、「一緒」に何かを創ることを目的として、生徒さんの自主性を高めより達成感を感じながら活動できるように幅を広げていきます。

<大阪の特別支援学校の植田先生>
自分の分身として遠隔操作をすることができる分身ロボットOriHimeを使って、本校高等部の英語の授業において、明治大学の学生と英語交流を実践しました。特別支援学校の生徒は、日常において社会や人との関わりが限られてしまっていることもあり、人とコミュニケーションをとる機会がとても少ないです。そのため、初対面の人と会話をするときなどはとても緊張してしまったり、戸惑ったりして自分らしく話すことができないことがあります。この半年間、本校の生徒は、明治大学国際日本学部の学生たち3名と長期的に英語での交流をしました。そして、生徒達に明らかな変化を見ることができました。たとえば、ひとりの生徒は「顔が見えないため、緊張せずに話をすることができたわ。今度はいつ交流できるんかな?」と学生たちとの交流を毎回心待ちにしていました。また他の生徒は「今度は僕たちが大阪のこと紹介をしたいなぁ」と前向きに授業に取り組むようになりました。
例えば、学生と交流があるとわかった時は前もって自己紹介のフレーズを思い出し、正解かどうかを確認したり、その時に使う英語フレーズを繰り返し発音練習している姿がありました。
今年度は、国際日本学部の留学生も参加してくれることになり、国際理解をテーマに引き続き、高大連携の授業をする予定です。