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国際日本学部

国際日本学実践科目の授業で難民問題に取り組む東京都の高校にて開発した教材を用いて実践を行いました。

2018年04月03日
明治大学 中野教務事務室

国際日本学実践科目(E)では、学生たちが各領域やゼミなどで習得した知識や技術を活用し、それらを何らかの形で社会に発信していく実践活動も行っています。2017年度秋学期は、グローバルイシューと教育をテーマとした実践を行いました。授業では、4つのプロジェクトが立ち上がり、そのうちのひとつが、ここでご紹介する「演劇手法を用いた難民問題を理解するための教材開発」です。この教材を使って何度か学内で教材を試行し、完成させました。そして、難民問題に取り組む東京都の高校にて開発した教材を用いて実践を行いました。以下、プロジェクト代表の鈴木さんからの報告です。

                             担当:国際日本学部 岸磨貴子

報告:鈴木慶樹(国際日本学部2年 )
 私たちは、国際日本学実践科目で、4人の受講生(4年の藤本侑佳・佐藤瑛子、3年の豊津啓哉、2年の鈴木慶樹)と一緒に「もしもThinkingプロジェクト」を立ち上げました。このプロジェクトは難民を理解するための教材開発を目的としたものです。授業の中で難民問題を扱った時は、複雑で理解が難しく、また、遠い世界での出来事のように感じてしまいがちでした。そんな時、ゲスト講師としていらっしゃった早稲田大学の飛田勘文先生の「演劇手法」に魅了され、「相手の立場に立って考える」ことをテーマにしたワークショップを企画・実施しました。具体的には、ロールプレイの手法を使い、“もしも自分が〇〇だったら?”という視点から日本の難民問題を考えるというものです。
 岸先生のご紹介から、武蔵野女子学院で私たちが開発した教材を使ってワークショップをすることになりました。中高生に向けたワークショップを考えるということで、緊張感と責任感が高まりました。教材開発やワークショップのデザインの仕方、ファシリテーションの仕方など、授業を通して多くのノウハウを学びました。特に意識したのが「ワークショップを受ける側の立場から学びを捉える」ということです。こちら側に伝えたいことがあっても、相手が理解してくれなければ意味がありません。どのようにすれば相手に伝えることができるだろうかとチームメンバーと議論を重ね、教材やワークショップの流れを見直しました。 
 そんな思いを持って、2月19日に武蔵野女子学院でワークショップを実施しました。4ヶ月間準備してきたことを、たった90分間に詰めこんだので、不安も大きく、当日はひどく緊張しましたが、生徒たちの協力的な姿勢と、真っ直ぐに私たちの話を聞いてくれる眼差しに助けられながら、すばらしい活動を一緒に作り上げることができました。後日顧問の杉浦先生からいただいたワークショップの振り返りシートにも、びっしり振り返りを書いてくれる子が多く、やってよかったと心から思うことができました。
 <生徒からの感想(一部抜粋)>
・不安や不快に思わせないためには、相手の言葉や気持ちを知り親身になることが大切だと思いました。ロールプレイを通して相手の気持ちを知ろうと努力することの大切さを理解できました。
・私が演じたのはシリア難民の役でした。この役を演じて、現地の言葉がわからないことが、生活にどのくらい影響して大変か、身をもって感じました。
・私は難民A(ヤナ)役でした。ヤナはどういう気持ちなのか、どういうことを支援団体や市の職員、近隣の住民に求めているのかを深く考えていくと、自分の中で問題の解決策のアイディアがまとまり、ロールプレイの中で話しやすくなったと思います。常に相手の立場に立てるということの大切さが今までより実感できました。
 中学校でも高校でも大学でも、先生が教え、生徒が教わるという形態の授業が多い中、今回のワークショップでは「みんなが共に学び成長していく」という経験をしました。プロジェクトの活動においても、メンバーの4人のうち1人でも欠けていたら成し得ることができませんでした。それぞれのメンバーがそれぞれの個性を生かし、それを高めながら、各自の役割を責任感と信頼関係をもってやり遂げたからこそ成功したのだと思います。学年もそれぞれ違うなかでここまでやりきったことを、私は本当に誇りに思います。誰もが、自分に何ができるのか、本当に目標を達成することができるのか、不安を抱えていました。しかし、足りないところをお互いが少しずつ補い合うことで、ひとりではできないこともできるようになってきました。そういった姿勢がみんなにありました。そして、岸先生や尊敬する先輩方の支えを借りて困難を乗り越えることができました。
 「相手の立場から考える」とよく耳にしますが、実際、それはとても難しいことです。しかし、そんな時は「もしもThinking」で「その人になりきって」イメージして欲しいと思います。「もし自分が〇〇だったら‥」という視点で考えると、問題の見え方や解決の糸口が見つかるかもしれません。この考えと方法を広めたい一心に準備してきた4ヶ月間はとても大変でしたが、大変有意義な充実した時間でした。