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国際日本学部

国際日本学部山脇ゼミと中野区の共催で、中野区長と外国人留学生の懇談会を開きました

2019年07月05日
明治大学

国際日本学部山脇ゼミ(多文化共生論)は2019年7月3日、中野区と共催で「中野区長と外国人留学生の懇談会」を中野キャンパスで開催。学生や区民ら100人を上回る参加がありました。

5回目となる今回のテーマは、「外国人も日本人も住みやすいまちを目指して」。外国人が住宅探しをする難しさや、近所付き合い、ゴミ出しといった生活マナーについて、酒井直人中野区長と韓国、ベトナム、台湾、中国、ミャンマー出身の外国人留学生と日本人学生の計10人(うち6人が中野区在住)が活発な討論を行いました。

外国人留学生は日本での住宅探しについて、「欧米系の人はよくてもアジア系はダメと言われた」「最初は中野駅の近くで探したが、気に入った物件が3軒立て続けに断られて、だんだん大学から遠くなり、今は沼袋駅から徒歩15分のところに住んでいる」「中野に住みたかったが、外国人OKの物件が見つからず、親戚の紹介で四谷に住んでいる」「同じ母国出身の知り合いや不動産の人に探してもらった」など、それぞれの実体験を披露。これに対し、酒井区長は「不動産会社が集まる区の会合などで、これらの意見を共有したい」と答えました。

近所付き合いについて、外国人留学生からは「日本の住宅は隣室との壁が薄く、隣人の声なども聞こえてきてしまうため、近所の人と気まずい感じがする」という意見が挙がりました。酒井区長から、「引っ越しの際に近所にあいさつ回りをしたことはあるか」という質問があると、あいさつ回りをしたことがある留学生はゼロであり、一人暮らしの日本人学生も「あいさつ回りはしなかった」と述べましたが、区長は「学生時代の時には自分もあいさつ回りはしなかった。」と述べ、会場の笑いを誘いました。

ゴミ出しについては、「粗大ごみをどのように出したらいいのかがわからない。どのようにお金を払い、何時ごろに出せばいいのかわからず困った」といった意見が出されました。中野区が開発した「多言語版ゴミ出しアプリ」を知っているかと山脇教授が尋ねると、知っている学生はわずか1人でした。実際にこのアプリを使っている留学生は「わかりやすくて便利」と感想を述べました。酒井区長は、アプリの認知度を高めていく必要性やゴミを減らしていくことの大切さについて意見を述べました。

最後に、「大地震が来たらどうするか」という質問が山脇教授から投げられると、「ずっと家にいて、地震が終わるのを待つ」「自分の通っている日本語学校か交番に行く」「歩いて30分かかってしまうが、大学へ行く。近くの小学校に一人だと不安で、知り合いがいる場所のほうが安心できるから」「考えたことがない、本当に大きい地震が来たら近くの公園へ行こうと思う」などの意見が挙がりました。酒井区長からは、「まず、部屋の中で落ちてきたり、倒れてきたりするものがないか、確認してください」「家の外に逃げる時は、できれば、ブレーカーを切ってください」「普段から、避難場所への逃げ方を確認してください」といったアドバイスがありました。

今回の懇談会ではリアルタイム投稿アプリを用い、観覧席からの質問や意見をリアルタイムで取り入れました。最後に会場から「日本人と外国人だけではなく、外国人同士の共生は可能か?」という質問が出されると、「できると思う。日本に住んでいる外国人ということで、仲間意識があり、実際にイベントなどで知り合い、仲良くなる機会が多い」「相手の母語をお互い話すことができないので、共通言語である日本語でコミュニケーションをとるが、良い勉強にもなるし、仲良くなれる」と留学生から意見が挙がりました。

総括として、酒井区長は「知らない国に来て、孤立して、助けてもらえない状況をつくらないようにすることが行政の役目」「地域に友だちをつくってもらい、いろいろなコミュニティに入れるような環境を整えていきたい」と述べました。最後に、山脇教授は「中野区は、今年4月に文化・国際交流課ができ、多文化共生の担当係長が配置された。山脇ゼミは、今後区との連携を深めて具体的なアクションを起こしていきたい」と締めくくり、閉会となりました。

懇談会参加学生は以下のとおりです。

・鄭 乃云 (台湾、イーストウエスト日本語学校)
・グエン ティ キム フォン(ベトナム、イーストウエスト日本語学校)
・ギュウ トウニ(中国、東洋大学大学院1年)
・ユヤエーアウン(ミャンマー、国際短期大学1年)
・チャン ティー ミー ユイン(ベトナム、国際短期大学1年)
・徐 アヨン(韓国、国際日本学部3年、岸ゼミ)
・イ スンジュ(韓国、国際日本学部3年、山脇ゼミ)
・コウ シンイ(台湾、国際日本学部4年)
・新井智大(日本、国際日本学部3年、小森ゼミ)
・清古 裕莉(日本、国際日本学部3年、山脇ゼミ)

懇談会の企画運営を担当したゼミ生(いずれも3年生)の感想は以下のとおりです。

「今回の懇談会で直接、区長や外国人留学生の皆様と話す貴重な機会をいただいた。中野区の魅力や留学生が生活の中で困ったことについて皆さんと共有しながら自分が気づかなかったところも学ぶことができた。お互いを尊重する『共生』の視点がいかに重要であるかについて改めて知ることができた。今後の中野区は外国人にも日本人にも住みやすい賑やかな街になると思う。」(イ スンジュ)

「直接、様々な国から来た留学生が中野や他の地域に住んでいて困っていることを聞くことができ、貴重な機会だった。生まれた時から両親と日本に住んでいる私たちには気付けない視点が多くあり、新しい発見ができたことを嬉しく思う。今後のゼミの活動に繋げていきたい。」(清古裕莉)

「日本人として日本に暮らしていては全く気づかないことが、留学生にとっては困難や負担になっていることに気づくことができ、良い機会になった。区長の“すぐに実践に乗り出します”というお声が印象的で、この懇談会が有意義であると実感できた。」(小路菜々実)

「留学生からの的をついた意見や考えに、日本人としてハッとさせられることが多かった。今回の活発な意見交換が、中野での多文化共生社会づくりに向けた新たな一歩になればと思う。」(五十嵐あき)

「留学生が日本で暮らす中で、どのような点において苦労をしているのか知ることができた。実際に当事者の声を聞くことで、日本人の視点からは考えつかなかったことにも気づき、ハッとさせられた。中野区では今、本格的に多文化共生に力を入れ始めたというお話も聞いたので、今回の懇談会を通して挙げられた問題点が改善されていけばと思う。」(太田絵里花)

(国際日本学部3年 五十嵐あき)