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国際日本学部

『平和創造学への道案内 歴史と現場から未来を拓く』刊行のお知らせ

2021年05月12日
明治大学 国際日本学部

この度、明治大学教員を主な執筆陣に、平和学関連書『平和創造学への道案内 歴史と現場から未来を拓く』が法律文化社より刊行されました。編者は文学部の山田朗先生と国際日本学部の師井勇一です。

本書が構想されたきっかけは、2017年1月に本学が主要全国紙に掲載した全面広告「人権と平和を探求する明治大学」にさかのぼります。おりしも軍事的な研究が大学や研究機関に多額の予算とともに侵食しつつあるとき、明治大学は「軍事利用を目的とする研究・連携活動の禁止」を掲げ、そうした流れとは一線を画す宣言を行いました。本書はそれを受けて、軍事力に頼らない平和と安全保障の創造を提起しています。(出版社の情報はこちらから。)

「平和」をたんに祈ったり願ったりする対象ではなく、私たち市民がつくりだしていくもの、と捉え、身近な偏見や差別、抑圧などの構造的暴力の解消にむかう(本来の意味での)「積極的平和」を、本書は道しるべとしています。それは、人権と平和の組み合わせに留意しつつ、だれもが差別されず、抑圧されない社会状況と平和との関係性を考えることであり、それを歴史と現場から考え、行動していこうというのです。

大六野耕作学長からは「巻頭言」をいただき、また、元内閣総理大臣の村山富市氏からは1995年の「村山談話」から25年を振り返った「平和創造の原点としての『村山談話』」をご寄稿いただきました。本編には、文学部や政治経済学部など多くの教員の方がたにご執筆いただき、国際日本学部からは、山脇啓造先生とゼミ生による「多文化共生のまちづくり」、蟹瀬誠一先生の「メディアは平和創造に貢献できるか」、そして編者(師井)によるアメリカの良心的戦争拒否を扱った「抵抗と創造」を収めています。

「平和創造学」とは聞き慣れないことばですが、その内実を考えると、国際日本学部の性質になじむものです。平和創造学のもつ「国際性」、「学際性」、そして「実践への志向」はそのまま、この学部でも日々強調されていることですし、社会の偏見や差別、抑圧などの構造的暴力をなくしていく取り組みは、さまざまな科目でなされています。ここで本書が、いろいろな切り口でさまざまな人権・平和問題に取り組んでいく際の「道案内」として、また、平和創造に向けて学生と教員の想像力と創造力とを磨き、発揮し、発展させていく一助としてお役に立てれば幸いです。(文責 師井勇一)