Go Forward

国際日本学部

国際日本学実践科目Cで、日本の近代化の歴史を学び今日の企業に対する理解を深めました

2023年08月01日
明治大学 国際日本学部

お話しいただいた公益財団法人三井文庫研究員 吉田ますみ氏、 及び株式会社三井物産戦略研究所産業情報部主席研究員 大木義徳氏お話しいただいた公益財団法人三井文庫研究員 吉田ますみ氏、 及び株式会社三井物産戦略研究所産業情報部主席研究員 大木義徳氏

2023年度の国際日本学実践科目C、及びDでは、学生が主体となって、日本の資本主義、企業経営の特徴を浮かび上がらせるプロジェクト型の学習を行っています。
春学期のCにおいては、明治時代以来、欧米の先進的な経営手法を導入し次々に事業を興した渋沢栄一や五代友厚らに加え、明治新政府への要請に応え、海運業ほか様々な産業を発展させた三菱の岩崎四代(彌太郎、彌之助、久彌、小彌太)、三井の多彩な番頭(三野村利左衛門、中上川彦次郎、益田孝、団琢磨)に加え、終戦後すぐに企業を興し、新たな製品分野を創出したソニーの盛田昭夫らの行動、思考を比較、考察しました。
そのため授業には、今日、企業グループとして多様な事業を展開している三井と三菱の関係者をお招きし、日本の近代化に両グループがどのようなかたちで貢献したのかについてお話しいただきました。
学生には、6月28日より三井記念美術館にて開催されている「三井高利と越後屋-三井家創業期の事業と文化−」の観覧や三菱史料館の訪問を推奨し、各自が実際に史料に触れるとともに、ウエブ上に置かれているデジタル・ミュージアムや評伝、自伝などを読み込むことで理解を深めてもらいました。
明治以降の日本の近代化は西洋化に等しいものであったといえますが、企業経営者は資本主義の確立に不可欠な証券や金融のシステムを構築し、また西欧の進んだ技術を積極的に導入してそれを使いこなし、工業生産力を高めました。その結果、農業主体の産業構造は急速に高度化していきましたが、20世紀前半の軍国主義化が、その産業化とともに進んだことを考慮する必要があります。
春学期最後の授業ではまとめとして、「企業人として社会的課題にどう向き合うか」をテーマに講師からお話を聞くとともにディスカッションを行いました。既に人口減少社会となっている日本では近年、外国人が学びに、また働きに来る傾向が強まっていますが、国連SDGs(ゴール10)や国際労働機関(ILO)第105号条約など日本企業が外国人材に選ばれるために必要な規範を会得し、働きやすい職場づくりをすること、人権重視の経営、サプライチェーンを構築すること、行政や大学など異なるセクターと特定の社会的課題の解決という共通のアジェンダに対してコミットすること(コレクティブ・インパクトという考え方)などについて理解を深めました。
なお秋学期のDでは、キャンパスを離れて企業訪問を複数社で行い、企業の多様な取り組みを実際に体験するプログラムとします。
国際日本学部兼任講師 井上洋