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国際日本学部

国際日本学実践科目の履修生が三菱電機株式会社を訪問しました

2023年11月07日
明治大学 国際日本学部

2023年度秋学期の「国際日本学実践科目D」では、日本の資本主義、企業経営の特徴を浮かび上がらせるプロジェクト型の学習を進めています。そのため首都圏に所在する企業本社、事業所を訪問し担当役員等よりレクチャーを受ける学外実習を4回、設けることにしました。
履修生は事前に各社の経営戦略やその実現状況について学習を重ね、それぞれの視点から質問を行えるようにしています。
その一回目は、東京丸の内に本社を構える三菱電機株式会社でした。10月13日の午後、同社の経済安全保障統括室を訪ね、同室長であり執行役員でもある伊藤隆さんから、「リスクマネジメントとしての経済安全保障」をテーマとしてお話しを伺い質疑を行いました。
伊藤さんは、半導体のマーケティングや営業を担当し、経団連事務局にも出向経験をお持ちの方です。その幅広い経験をもとに、グローバル企業にとって喫緊の課題である経済安全保障の統括にあたられています。
当日は、1921年創業という三菱電機の成り立ちから現在の事業分野、5兆円を超える連結売上げの内訳(国内49%、国外51%)、海外売上げの構成比(北米25%、欧州24%、中国23%など)などを踏まえて、同社が「米中2つのレジームを理解し経済安保リスクを最小化する対応を進めていること」をお教えいただきました。
具体的な課題としては、日米中を代表とする経済安全保障規制(輸出入の規制、政策制度等)への対応、人権をはじめとする社会的要請などサステナビリティ要請への対応、感染症・パンデミック発生時における供給網混乱への備え、そして地政学的リスクへの対応であるということでした。
また同社の供給網は、地産地消を基本として構築されているとのことであり、そのなかで、全製品分野の供給網の可視化により、上流側の間接調達や取引先株主支配などについても把握するよう努めるという、極めて幅広く、また綿密な情報収集と分析がなされていることが分かりました。
また当日の質疑は、履修生が主体的に進行しました。履修生からは、ロシアによるウクライナ侵攻など紛争によるリスクの発生や米中対立の影響、今後の日米、日中関係、世界各国の経済力の見通し、昨今、中国事業撤退を進める日本企業の思惑、中国の各種政策・制度に対する評価、近未来の中国の政治体制など多岐にわたる質問が出され、伊藤さんには懇切丁寧にご回答いただきました。
最後に伊藤さんから、社名に三菱を冠している企業として、「三綱領」(所期奉公:社会への貢献、処事公明:フェアプレー、立業貿易:グローバルな視点)を意識しつつ、自社の技術をより発展させ社会課題に向き合っていくという決意が示され、履修生には大いに刺激のあるお話を締めくくっていただきました。
 (兼任講師:井上洋)