Go Forward

国際日本学部

国際交流基金が招聘した東南アジア大学院生と山脇ゼミの交流会が行われました

2025年07月28日
明治大学

国際日本学部山脇ゼミが、2025年7月10日に、国際交流基金が主催する「日本研究を志す東南アジアの若手研究者のためのサマープログラム」の一環として、明治大学中野キャンパスでのディスカッションおよび大久保でのまちあるきを実施しました。

午前中は、東南アジアから来日した大学院生20名を中野キャンパスに迎え、キャンパスツアーを行った後、山脇啓造教授による日本の移民政策の現状と課題に関する講義が行われました。続いて、山脇ゼミ生が「やさしい日本語」を軸としたゼミの活動を紹介した後、グループに分かれてディスカッションを行いました。日本における多文化共生社会の未来像や、東南アジアにおける多文化共生の考え方について意見を共有し、共に学びあう貴重な時間となりました。

午後は、多様な文化が共存する大久保地域に移動し、アジア各国の料理を楽しみながら交流を深めました。院生が自国の料理を紹介する場面もあり、食を通じて交流が進み、親睦が深まりました。

食事の後は、大久保通りを歩いて、新宿区立大久保図書館を訪問し、米田雅朗館長による館内ツアーに参加しました。大久保図書館では、38言語にわたる書籍が揃えられており、スタッフは英語・韓国語・中国語に対応できるほか、全員が「やさしい日本語」で話すことを心がけているということでした。館内では、多言語を活用したイベントも開催されており、例えば、外国人住民の母親が自国の絵本を子どもに読み聞かせる活動や、日本人と外国人が伝統衣装を通じて交流する様子など、多様な文化の交流をめざした取り組みが紹介されました。

館長からは、「多文化共生について、こうあるべきだと主張することも必要かもしれないが、実際にこうした交流が日常の中で行われている現場を知ってもらうことも大切だと思っている」とのお話がありました。本を通じて人と人がつながる機会を提供する大久保図書館の活動は、多文化共生を日常の中で体現しており、参加した学生たちの心に深く残るものとなりました。

最後に、当日の活動を振り返りながら、今後の多文化共生社会のあり方についてディスカッションを行い、プログラムを締めくくりました。参加した大学院生からは、「大久保は東京における多文化共生の一例として非常に興味深かった」との声が寄せられ、大久保図書館をはじめとする地域の取り組みを国内外に広く発信していきたいという意見も多く聞かれました。

山脇ゼミとしても、これまで「やさしい日本語」のワークショップを国内の自治体や企業、学校などで実施してきましたが、今回の交流を通じてその取り組みに強い関心を持ってもらえたこと、また、ディスカッションを通じて日本の多文化共生をより客観的に捉える視点を得られたことは、非常に有意義な学びとなりました。今後も、地域に根ざした活動を大切にしながら、多文化共生や異文化交流の輪を広げていく活動を。続けていきます。

以下は参加した学生の感想です。

「東南アジア出身の大学院生たちとたくさん交流が持てて、有意義な一日だった。私自身、東南アジアの方々とあまり交流を持つ機会がなかったため、ディスカッションを通じて純粋に他国の文化を知ることができて楽しかったのもある。また初めて大久保図書館を訪問し、その取り組みを学べたことも印象に残っている。しかし今日最も興味深かったのは昼食である。それまでの話し合いやキャンパスツアーの際、フランクに話してくれるグループメンバーもいたが、私の英語力のなさもあって話すことはできてもどことなく壁を感じてしまったメンバーがいた。だが昼食の際、メンバー同士出身国のメニューでおすすめを紹介しあい、それを共に囲むことで一気に心理的な距離が縮まったように感じた。ランチの後は打ち解けて話せるようになり、最後には握手をしてツーショットも撮った。今回、食卓を共に囲むことの効用の大きさを改めて実感できたように思う。大久保図書館の館長は「一緒に楽しく過ごしている姿を見せることで変えていけるものもある」というお話をしてくださった。やはり、直接交流を持つ場を設けることが大切なのであろう。異文化交流の本質は人と人との関わり合いであることを再認識した一日であった。」(4年 木村奏美)

「自分にとって非常に学びの多い時間だった。特に印象に残っているのは、自国民ファーストの考え方について話した際、どの国にでも外国人に対する考え方に世代間で違いがあったこと。ある留学生が「日本の統治下にあった歴史があるから日本人のことを良く思わない世代の人もいるが、若い世代はポップカルチャーの影響で日本が旅行先人気No.1だよと教えてくれた。日本人が海外で外国人としてどのように捉えられているのか、いつもとは逆の視点で物事を捉えることができて興味深かった。この話から、多文化共生のためにはお互いの国がどのような歴史を歩み、関わってきたのかを学ぶことが大切だと実感したと同時に、この世代間の溝をどのようになくしていけるのかが一つの難しい課題であると改めて思った。留学生の方にとっても、思い出に残る時間になっていたらとても嬉しい。今後もこのような交流があるとよいと思った。」(4年 藤田千颯)

「前半部分のみの参加だったが、東南アジア出身の大学院生と交流することができ、貴重な時間だった。キャンパスツアーでは、明治大学や授業の仕組みなどに興味をもってくれて、東南アジアと日本の大学生活の違いを知ることができた。ディスカッションでは、やさしい日本語について話し合った。外国人向けのやさしい日本語の取り組みや、外国人を対象とした、日常で使えるフレーズを集めた本などはあるのか聞かれた。ゼミでは、日本人を対象に多文化共生に関する活動を行うことが多かったため、外国人を対象にした活動は外国人ならではの視点で興味深かった。また、大学で学ぶ日本語は実際の会話では不自然なものが多いと東南アジアの学生が話していて、日常生活で使えるような日本語学習が求められていることが分かった。今回の交流会を通して、新たな視点を得ることができ、学びの多い時間だった。」(4年 大西佐和)

東南アジアの大学院生と交流して、日本の多文化共生の取り組みと、東南アジアにおける多文化共生の考え方の違いを学べる機会でした。日本の社会、文化、歴史について研究している院生から、日本のことについて広く学ぶことができました。ディスカッションでは、院生から日本人は外国人についてどう思うのか尋ねられ、世代や地域によって異なることを説明しました。また、私自身がタイにルーツを持っているため、来日後大変だったことや、海外にルーツを持つことで困ったこと、差別にあったかどうかということも話しました。また、院生から母国語を教えてもらい、こちらからは日本語を教え、お互いの言葉を学べる機会になりました。後半の大久保図書館の取り組みで、地域に住む外国人ママが自分の子どもに、自国の絵本を読み聞かせる会を行っていることを聞き、日本人も参加することで、異文化理解や外国人と日本人が交流する機会になっているところが印象的でした。今回の交流会を通して、館長のお言葉にもあった「楽しく交流しているところをアピールする」ためには、異文化に慣れていない日本人に参加してもらうことが重要なことだと感じました。」(3年 山崎一空)

「東南アジアの大学院生と多文化共生について、共に考え、ディスカッションをし、有意義な交流会だった。午前の部では、キャンパスツアーや講義、ゼミ活動紹介の後、フリートークがあった。自分たちのグループでは、やさしい日本語や参政党の日本人ファーストについて意見交換をした。海外から見たやさしい日本語や日本の多文化共生についての貴重な意見を聞くことができた。午後の部では、昼食の際に、お互いの国の文化について教え合い、楽しい時間だった。また、図書館内ツアーでは、大久保図書館は単なる図書館ではなく、多様な住民に寄り添い多文化共生に取り組んでいるところが印象的だった。この交流会を通して、改めて多文化共生の重要性を再認識した。来年もこの交流会に参加したいと思う。」(3年 竹蓋愛香)
(4年 田路さくら)