卒業生の声
山脇ゼミが都立鷺宮高校の生徒を対象に「マイアグワークショップ」を実施
2025年08月05日
明治大学
国際日本学部の山脇ゼミの学生6名が、2025年7月17日に、東京都立鷺宮高校を訪問し、合計27名の生徒を対象に、「マイクロアグレッション」をテーマとしたワークショップを行いました。
「マイクロアグレッション」とは、特定の属性を持つ人に対して、日常生活の中で無意識に発せられる否定的な言動を指します。たとえば、「ハーフなら英語をしゃべってみて」や「女性なのに部長になってすごいね」といった言葉がその例にあたります。今回のワークショップの目的は、こうした日常に潜むマイクロアグレッションについての理解を深め、その捉え方を見直すきっかけをつくることでした。
前半では、「マイクロアグレッション」の概要について解説し、より身近に感じてもらえるよう「マイアグ」と略して紹介しました。後半は、生徒とゼミ生がグループに分かれ、山脇ゼミのオリジナルかるたを使ったゲーム形式で、マイクロアグレッションの具体例を取り上げながら、それに関する体験談や気づきについて意見を交わしました。
その後、マイクロアグレッション以外の無意識の思い込みや決めつけの例として、「第三者返答」について紹介しました。「第三者返答」とは、話しかけてきた人の外見的な印象などから、その人との意思疎通に問題がないにもかかわらず、問題があると思い込み、その人の隣にいる別の人に返答してしまう行為を指します。例えば、レストランで外国人客が日本語で注文しているのに対し、店員が隣の日本人の友人に向かって返事をするような場面が典型的な例です。
グループでの話し合いでは、自分も気づかないうちにこうした行動をとっていたことに驚いたという声もありました。特に、目線や態度といった言葉に現れにくい部分でも、相手の立場に立って考えることの重要性を改めて認識したそうです。一方で、マイクロアグレッションを意識しすぎて会話が萎縮してしまうのではなく、相手に寄り添いながら自然に接する姿勢が大切だということを再確認し、ワークショップを締めくくりました。
ワークショップ後に実施したアンケートでは、ワークショップの満足度について、93%の生徒が「大変満足」、7%が「満足」と回答しました。また、「マイクロアグレッションについて理解できたか」という問いに対しては、89%が「大変分かりやすかった」、11%が「分かりやすかった」と答えており、全体として非常に高い満足度と理解度が得られたことがわかりました。
以下は参加した生徒の感想です。
「かるたを通して、マイアグが自分の身近にあって、これまで自分もしてしまっていたと自覚することができたので、今回の例などを踏まえて、これからは話す前に少し考えてから相手に伝えようと考えるきっかけになりました。」
「かるたの中で、実際に受けたことのあるマイアグの例があった。確かに少し思うことはあったけど、それに慣れてしまっている部分が自分にはあったので、これからはしっかりと相手にやめるよう伝えようと思った。」
「マイクロアグレッションは日常でよく起こっていることだと知って、人とコミュニケーションをとる時は気を付けていきたいと思いました。このワークショップで学んだことを家族や友達にも話したいです。」
「第三者返答という言葉について、私たちは外国人に対して気を使っていると思っていても、その思いやりにトゲが含まれていることに気づき、これから気を付けていきたいと思いました。」
「マイアグや第三者返答では、自分たちが相手にとって嬉しいことだと無意識に考え、起こってしまっていることだとも思うので、自分がコミュニケーションを取る際は、自分の言動を客観的に見てから発言することが大切だと考えた。」
「自分でこれは偏見的な思考だなと理解していながらも、実際に心の中にそういった思いが浮かんでしまうのをどう変えていけるかと考えたときに、自分から馴染みのないことに足を踏み入れていくしかないと考えた。他国の人と関わり、互いに思っていることを交換し、受け入れてみたい。」
鷺宮高校や明治大学中野キャンパスがある中野区では、外国人住民が人口の7%以上を占めています。今後、誰もが暮らしやすい社会を実現するためにも、日常に潜むマイクロアグレッションや第三者返答といった事例について考え、外見や立場、国籍などによって相手を決めつけることのない、より良い関係性の構築を目指して、山脇ゼミも活動を続けていきたいと思います。(山脇ゼミ4年 田路さくら)