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国際日本学部

中野の“好き”をつなぐABR実践ーおすすめ行き先カプセル「ポン」

2025年09月28日
明治大学

岸ゼミでは、地域と連携したアートベース・リサーチ(ABR)の実践を通して、まちの魅力を再発見する活動を行っています。今回は 「中野駅周辺エリアマネジメント協議会」 と連携し、3月22日と23日に中野をもっと楽しむきっかけづくりを目指したイベントを開催しました。その名も「おすすめ行き先カプセル『ポン』」。以下、この実践に取り組む学生からの報告です。

報告:岸ゼミ4年生 土屋志恵留ー「好き」を交換する仕組み

中野には個人経営の魅力的なお店が数多くありますが、初めて訪れる人にとっては少しハードルが高く、ついチェーン店に入ってしまうことも少なくありません。そこで私たちが考えたのは、「誰かの“好き”をきっかけに、自分も新しい場所に踏み出す」 という仕組みです。

自分のお気に入りのお店や場所を、ただ紹介するのではなく、そこでの体験やイメージ、感情を添えて表現する。口コミサイトや検索では伝わらない、その人ならではの“痕跡”を共有することで、新しい出会いが生まれるのではないかと考えました。

その具体的な方法として取り入れたのがコラージュ。ゼミで取り組んできたコラージュ表現の手法を応用し(写真1)、今回は中野区役所の「ナカノバ」で試験的に実施。企画側だけでなく地域の人々にも気軽に参加してもらえるようにしました。当日は酒井区長も参加し、それぞれが「好きなお店」とともに、そのお店への思いを表現しました(写真2)

さて、イベント当日。午前中は人通りが少なかったのですが、駅前に展示していた「おすすめカプセル」に足を止めて見てくれる人が次第に増えていきました。ガチャを回して「誰かの好き」を受け取った人が、自分の好きも表現して残していってくれる(写真3)。子どもから大人まで、世代を超えて参加が広がりました。

私が印象に残ったことは、同じお店を紹介していても、そこに込められる思いやイメージが一人ひとり違うことでした。表現のプロセスを通じて自然に会話が生まれ、「そこに一緒にいること」からつながりが広がっていく。その瞬間が、まちづくりにおけるABRの魅力そのものだと感じました。まさに、口コミや情報検索では得られない、人の思いや感覚をきっかけにしてまちを歩くことができる。中野に住んでいる間に、もっと素敵な場所に出会える可能性を感じました(写真4)。

「中野駅周辺エリアマネジメント協議会」 と連携した地域づくりのためのABR実践は第2回目でしたが、この挑戦も前回を超える新しい発見と交流が生まれ、特別な体験となりました。