卒業生の声
国際日本学実践科目の履修生がユーソナー株式会社を訪問しました
2025年11月18日
明治大学 国際日本学部
2025年度秋学期の「国際日本学実践科目D」では、日本の資本主義、企業経営の特徴を浮かび上がらせるプロジェクト型の学習を進めています。そのため都内に所在する企業本社を訪問しレクチャーを受ける学外実習を5回、設けることにしました。
履修生は事前に各社の経営戦略やその実現状況について学習を重ね、それぞれの視点から質問を行えるようにしています。その1回目は10月21日午前、訪問したユーソナー株式会社(新宿区西新宿)でした。
ユーソナーは、1990年に設立されたデータベース・マーケティングの支援事業を行う、従業員数310人の企業です。日本政策投資銀行、ゼンリン、三井物産企業投資などから出資を得て事業を拡大させ、訪問の直前、さる10月17日、東京証券取引所のグロース市場に上場を果たしました。
同社は、自社保有のデータで国内最大級の法人企業データベースを構築し、様々な企業の営業活動の始まりからクロージングまで各フェーズにおける企業の課題を解決するツールを提供しています。同社と契約しているのは年間約1千社で、各業界のトップ企業が名を連ね、DX化に取り組む官公庁にも及んでいます。
同社の法人企業データベースは、「LBC」(Linkage Business Code)と呼ばれるもので、上場企業の有価証券報告書を筆頭に法人ナンバー、登記法人情報、企業の事業所や店舗、支店、工場の情報、医療法人、学校法人、宗教法人、社団や財団、官公庁、地方自治体などの情報まであまねく網羅するものです。
そのLBCでは、年間2千万もの項目についてメンテナンスが行われており、それを辞書として、企業において散在する顧客データやリードデータをクレンジング、名寄せしていきます。それによって「顧客と市場の可視化」と「顧客データメンテナンス」が同時に実現され、企業が営業活動を行う上で重点的にアプローチすべき企業群が明確に把握できるメリットが生まれてきます。それによって企業の市場戦略が明確化され、「脈のある企業」の発掘にもつながるというものです。そのために、プランソナー、ガイドソナー(ブラウザツール)、mソナー(モバイルアプリ)などを用意しています。
当日は、サポート本部総務人事グループ水田早紀さん、坂本かりんさんより事業の概要のご説明とともに、オフィス内の見学もお許しいただきました。各職場は映画作品などをモチーフにしたテーマパーク型の遊び心のあるものでした。出社して楽しめる職場の雰囲気が、若い社員のモチベーションやエンゲージメントにつながっていると感じました。会長、社長ら経営幹部すら個室を持たないオープンで自由度の高い使い方ができる職場に、参加した学生はその様子を興味深く見入っていました。
ユーソナーは、福利厚生・人事制度面でも様々な工夫を行っていて、例えば社員に「時間の余裕」を感じてもらう自由シフト制と一日の所定労働時間を7時間に変更したことや、「お金の余裕」を感じてもらうランチの無料化、技術書はじめ書籍代の購入補助、借り上げ社宅制度、「心の余裕」を感じてもらう心身の健康(面談、カウンセリングの実施、予防接種全額負担など)にも取り組んでいるとのことでした。
学生からは、「訪問前の段階では実際にどのような事業なのかイメージがつかなかったが、実際に社員の方から説明を聞き、またオフィスを見学することで、今日の企業における働き方や法人データ活用による社会課題の解決について理解が深まった」「特徴的なデザインのオフィスがある種の商材としてクライアントに強い印象を残し契約につながることが実感できた」「データベース事業の基本として、新鮮さ、深さ、幅広さの三要素が重要であり、得意な分野に集中して他社を排除することなく競争しない非競の経営戦略に驚いた」「経営ビジョンに『みんなが親孝行できる会社』を掲げ、人的資本を重視する姿勢に感銘した」などの感想があがっていました。
訪問翌週の授業では振り返りを行い、学生が改めて質問したいことなどをまとめ同社にお送りしたところ、丁寧に対応いただきました。そのなかのひとつ、新たな分野での事業の可能性について、以下のようなお答えがありました。
「今回は法人データベースを中心に説明しましたが、不動産や商品のデータベースへと対象を広げていく構想があります。またアイデアとしては、経済安全保障分野での取引リスクへの貢献や、防災分野で貢献できるサービスも考えられます。沿岸部での津波被害はじめ、災害ハザードマップを発表している自治体が数多くあります。そのエリア内に拠点がある企業が特定できますので、被害に応じてどの程度の被災リスクがある企業かが分かる、といったものです」
こうした事業の展開は、わが国の成長戦略や経済安全保障、企業の事業継続計画(BCP)策定などを見据えたものであり、注目していく必要があるでしょう。
国際日本学部兼任講師 井上 洋
履修生は事前に各社の経営戦略やその実現状況について学習を重ね、それぞれの視点から質問を行えるようにしています。その1回目は10月21日午前、訪問したユーソナー株式会社(新宿区西新宿)でした。
ユーソナーは、1990年に設立されたデータベース・マーケティングの支援事業を行う、従業員数310人の企業です。日本政策投資銀行、ゼンリン、三井物産企業投資などから出資を得て事業を拡大させ、訪問の直前、さる10月17日、東京証券取引所のグロース市場に上場を果たしました。
同社は、自社保有のデータで国内最大級の法人企業データベースを構築し、様々な企業の営業活動の始まりからクロージングまで各フェーズにおける企業の課題を解決するツールを提供しています。同社と契約しているのは年間約1千社で、各業界のトップ企業が名を連ね、DX化に取り組む官公庁にも及んでいます。
同社の法人企業データベースは、「LBC」(Linkage Business Code)と呼ばれるもので、上場企業の有価証券報告書を筆頭に法人ナンバー、登記法人情報、企業の事業所や店舗、支店、工場の情報、医療法人、学校法人、宗教法人、社団や財団、官公庁、地方自治体などの情報まであまねく網羅するものです。
そのLBCでは、年間2千万もの項目についてメンテナンスが行われており、それを辞書として、企業において散在する顧客データやリードデータをクレンジング、名寄せしていきます。それによって「顧客と市場の可視化」と「顧客データメンテナンス」が同時に実現され、企業が営業活動を行う上で重点的にアプローチすべき企業群が明確に把握できるメリットが生まれてきます。それによって企業の市場戦略が明確化され、「脈のある企業」の発掘にもつながるというものです。そのために、プランソナー、ガイドソナー(ブラウザツール)、mソナー(モバイルアプリ)などを用意しています。
当日は、サポート本部総務人事グループ水田早紀さん、坂本かりんさんより事業の概要のご説明とともに、オフィス内の見学もお許しいただきました。各職場は映画作品などをモチーフにしたテーマパーク型の遊び心のあるものでした。出社して楽しめる職場の雰囲気が、若い社員のモチベーションやエンゲージメントにつながっていると感じました。会長、社長ら経営幹部すら個室を持たないオープンで自由度の高い使い方ができる職場に、参加した学生はその様子を興味深く見入っていました。
ユーソナーは、福利厚生・人事制度面でも様々な工夫を行っていて、例えば社員に「時間の余裕」を感じてもらう自由シフト制と一日の所定労働時間を7時間に変更したことや、「お金の余裕」を感じてもらうランチの無料化、技術書はじめ書籍代の購入補助、借り上げ社宅制度、「心の余裕」を感じてもらう心身の健康(面談、カウンセリングの実施、予防接種全額負担など)にも取り組んでいるとのことでした。
学生からは、「訪問前の段階では実際にどのような事業なのかイメージがつかなかったが、実際に社員の方から説明を聞き、またオフィスを見学することで、今日の企業における働き方や法人データ活用による社会課題の解決について理解が深まった」「特徴的なデザインのオフィスがある種の商材としてクライアントに強い印象を残し契約につながることが実感できた」「データベース事業の基本として、新鮮さ、深さ、幅広さの三要素が重要であり、得意な分野に集中して他社を排除することなく競争しない非競の経営戦略に驚いた」「経営ビジョンに『みんなが親孝行できる会社』を掲げ、人的資本を重視する姿勢に感銘した」などの感想があがっていました。
訪問翌週の授業では振り返りを行い、学生が改めて質問したいことなどをまとめ同社にお送りしたところ、丁寧に対応いただきました。そのなかのひとつ、新たな分野での事業の可能性について、以下のようなお答えがありました。
「今回は法人データベースを中心に説明しましたが、不動産や商品のデータベースへと対象を広げていく構想があります。またアイデアとしては、経済安全保障分野での取引リスクへの貢献や、防災分野で貢献できるサービスも考えられます。沿岸部での津波被害はじめ、災害ハザードマップを発表している自治体が数多くあります。そのエリア内に拠点がある企業が特定できますので、被害に応じてどの程度の被災リスクがある企業かが分かる、といったものです」
こうした事業の展開は、わが国の成長戦略や経済安全保障、企業の事業継続計画(BCP)策定などを見据えたものであり、注目していく必要があるでしょう。
国際日本学部兼任講師 井上 洋








