岸ゼミでは、「共生とコミュニケーション」をテーマに、ゼミ生がアートベース・リサーチに取り組んでいます。ここでいうアートとは、いわゆる美術作品に限られるものではありません。岸ゼミでは、社会構築主義の研究者であるケネス・J・ガーゲンの議論を踏まえ、アートを人と人との関係や対話を生み出し、新たな意味や理解を共創する実践として捉えています。その一環としてゼミでは、言葉と対話を通したパフォーマンスとしてのボードゲーム「ついついカード」を開発しました。本ゲームは、対話を通して新たな気づきや関係性を生み出す“アートとしての実践”です。岸ゼミでは、このカードゲームの実践を学内外で展開してきました。以下では、その実践の一例として、岸ゼミ4年生の緑川怜さんによる報告を紹介します。
報告:国際日本学部 岸ゼミ4年声 緑川 怜
2026年1月20日、長野県上田市で定期開催されている「フリースクールここまる育才アカデミー 心音ひろば」にて、明治大学国際日本学部・岸ゼミで開発したカードゲーム「ついついカード 無意識のバイアス編」の実践を行いました。
このカードゲームは、日常生活の中に潜む「当たり前」という思い込み(バイアス)に、対話を通して気づくきっかけになればという思いから開発されたものです。当日は5名の方にご参加いただき、ファシリテーターを務めた私自身にとっても、多くの学びを得る貴重な時間となりました。
特に印象的だったのは、ジェンダーと色の好みに関する対話です。ある参加者の方が、「息子には自由に生きてほしいと願っていたのに、幼稚園に通い始めてから好きな色がピンクから青に変わってしまったことに、どこか複雑な思いがあった」と話してくださいました。
それに対して別の参加者の方は、「自分の息子にも同じような変化があったが、それも成長の過程だと思う。その時々の気持ちを大切にしてあげたいので、今は青が好きな息子をそのまま受け入れたい」と語ってくださいました。
「ピンクは女の子、青は男の子」というカードのテーマから始まった対話は、参加者それぞれの経験や価値観を共有する、非常に深く豊かな話し合いへと発展しました。
ゲーム終了後、参加者の方から「バイアスは決して悪いものではない、と気づけたことが一番の収穫だった」という言葉をいただきました。これは、私たちがこの教材の開発を通して最も伝えたかったメッセージでもあります。
このゲームが、日常生活の中でふと自分の考え方に目を向けるきっかけになれば、開発者としてこれほど嬉しいことはありません。
最後になりますが、今回このような実践の機会をご提案いただき、多大なるサポートをくださった三橋さんに、心より感謝申し上げます。
▶️ついついカードのマニュアル

▶️ついついカードの一部

