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国際日本学部

山脇ゼミがオーストラリアへの研修旅行を行いました

2024年12月04日
明治大学

 
国際日本学部山脇ゼミ3年生5名が、2024年10月31日から11月4日にかけて、オーストラリアで多文化共生に関する研修旅行を実施しました。同研修には、浜松市国際課の職員1名と自治体国際化協会シドニー事務所の職員4名も参加しました。

研修前半はビクトリア州の州都であるメルボルン市に滞在しました。同市に到着した初日に、移民博物館を訪問し、オーストラリアの移民受け入れの歴史や現在の課題について学んだ後、スウィンバーン工科大学のグレンダ・バランタイン教授からオーストラリアの多文化主義やインターカルチュラル・シティの取り組みについて講義を受けました。

2日目には、メルボルン市から電車で90分ほど離れたバララート市に移動し、市議会や図書館、美術館を訪問しました。同市CEOから歓迎の言葉をいただいた後、市役所の複数の部署の担当者から講義を受け、先住民族の歴史や同市が行なっているインターカルチュラル政策について、理解を深めることができました。プログラムの最後には、ゼミ生が山脇ゼミの活動を報告する短いプレゼンを行いました。その後、バララット市からメルボルン市に戻り、在メルボルン日本国総領事館も訪問しました。同市在住の日本人コミュニティやオーストラリア社会への日本文化の発信などについてお話を伺いました。

3日目は、メルボルン市内の中華街を訪ね、チャイニーズ・オーストラリアン史博物館とビクトリア州立図書館を訪問した後、シドニー市に移動しました。

研修後半はニューサウスウェールズ州の州都であるシドニー市に滞在しました。到着翌日の日曜は自由時間とし、その翌日の5日目は、シドニー市郊外にあるニューサウスウエルズ州政府の多文化局を訪ね、同州政府の多文化政策について講義を受けた後、山脇ゼミの活動報告のプレゼンも行い、意見交換の時間を持ちました。

さらに、シドニー市内にある自治体国際化協会シドニー事務所を訪ね、オーストラリアの移民包摂に取り組む自治体ネットワークであるウェルカミングシティの担当者から講義を受けた後、同協会による自治体交流の講義も受け、山脇ゼミの活動報告を行いました。最後に国際交流基金シドニー事務所を訪問し、日本文化の発信や日本語教育の推進について講義を受け、すべてのプログラムが終了しました。

以下、参加学生の感想です。

私がオーストラリア合宿を通して印象に残っていることは主に二つあります。一つ目は、オーストラリアで感じた「多文化共生」の雰囲気です。街中を歩いていると、本当に多種多様な人種の方を見かけました。もちろん、私たち日本人もオーストラリアに住んでいる方から見ると外国人にあたるわけですが、外国人だからといって偏見の目を向けられることがなければ、特別な扱いを受けるということもありませんでした。観光客も街中に溶け込めるほど多文化共生が進んでいることを実際にオーストラリアへ足を運ぶことで実感することができました。二つ目は、ニューサウスウェールズ州多文化局で伺った、オーストラリアが様々な人種と文化によって構成されているので、日本のような独自文化を持っていないというお話でした。現代社会ではグローバル化が進み、日本も海外の動きに足並みを揃えたり、海外文化を取り入れる動きがある中で、その国特有の文化を持ち続けることの大切さや意義を感じました。今回の合宿を通して、新たに学んだことが本当に多く、今回蓄えた知識をゼミ活動にも生かしていきたいと思います。(3年副ゼミ長 猪飼千紗)

印象的だったことは、1週間ほど滞在している中で、街を歩いていて好奇の目を向けられなかったことです。日本では街中で外国人を見かけると、気になって必要以上に見てしまう人も多いですが、オーストラリアではどこに行っても偏見の目で見られることもなくとても過ごしやすかったです。もともと講義などで学んではいましたが、多文化共生に関する取り組みが積極的に行われていることを肌で感じることができました。また、美術館や博物館だけでなく日本総領事館や国際交流基金など普段行くことがないような場所も訪れ、さまざまな方からお話を伺うことができたため、学びの多い合宿であったと感じています。特にクレアシドニー事務所で伺ったお話で、オーストラリアでは教育の場でも多文化共生につながる内容を取り入れていることが興味深く感じました。今回の合宿での経験も踏まえ、今後も山脇ゼミで多文化共生の推進に尽力したいと思います。(3年ゼミ長 石田菜々美)

私は今回の合宿を通して、新たな取り組みに興味を持ち、社会を変えていくのは私たち若者であると改めて考えるようになりました。ニューサウスウェールズ州の多文化局を訪問した際、コミュニティや行政施策、法を担当する部門のMichael Shaw氏に対し、「もし、山脇ゼミが今現在取り組んでいる多文化共生ワークショップやイベントと同じようなことをオーストラリアで開催したとして、どのような人々が参加してくれるだろうか」という質問をしました。回答としては、やはり「若者」であるとのことでした。日本より長い期間、多民族国家としての先進的な取り組みを進めてきたオーストラリアであっても、若者が新しいムーブメントに対して積極的な姿勢を見せる点に関しては、日本もオーストラリアも変わらないと言えます。メルボルンとシドニーの2都市をめぐり、研修だからこそ訪れることのできる組織や施設に数多く足を踏み入れることができた経験とその場所で培った知見を、今後のゼミでの活動に活かしたいと感じています。(3年副ゼミ長 木内彬乃)

合宿を通じて、多文化共生社会に向けた法整備の必要性を改めて感じました。今回訪問したビクトリア州とニューサウスウェールズ州には、先進的な「多文化法(Multicultural Act)」があります。この多文化法を根拠に、多言語での通訳サポートを充実させるなど、移民にとって暮らしやすい環境が整えられていると感じました。また、オーストラリアでは、先住民に対して敬意を表す機会が多いことを実感し、先住民の文化や歴史が尊重されていることを学びました。多様性が浸透している環境へ足を運び、その環境づくりを担う州政府や自治体の方々からお話を聞くことができたため、収穫の多い合宿でした。多文化共生のまちづくりに向けて、私たち山脇ゼミだからこそできることを探して、実践していきたいという思いが強くなりました。(3年 馬場葵)

全体を通して、非常に有意義な合宿だったと思います。多文化共生施策の重要性は日本で何度も学んできたつもりでいましたが、日本を飛び出して実際に行政と市民が一体となって多文化共生に取り組む様子を目の当たりにして、学ぶところが多くありました。特に行政制度が法に基づいて体系化されているからこそ、各民間団体や行政の間で異なる取り組みを行うことが可能になり、ある種の分業のもとで多文化共生が志されているのに衝撃を受けました。制度や取り組み面だけではなく、オーストラリアの人々の意識面にも驚かされました。特に印象的だったのが、私は英語があまり得意でないし、アジア人の見た目をしているのに、滞在中一度も不快に感じる扱いを受けなかったことです。国全体で多文化社会を志すようになるまでの歴史的背景はあるにせよ、「人は多様である」ということが、無意識下に織り込まれているのだろうなあと感銘を受けました。今回得られた知見を山脇ゼミ生としてどう社会に還元していけるかは、まだ考えあぐねていますが、この知見を活かして今後も積極的に活動していこうという意欲がいっそう増した合宿でした。(3年 木村奏美)