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国際日本学部

音でつなぐ、中野のまちと人—岸ゼミABRで見つける新たな風景

2025年02月21日
明治大学

 岸ゼミでは、アートベース・リサーチ(Arts-Based Research:ABR)に取り組んでいます。今回は、新渡戸文化学園VIVISTOP、JTBコミュニケーションデザイン、音楽家のシーナアキコさん、映像探究学習コンビビなどさまざまな個人および団体と共同で、中野の町を音を通して探究(再発見)することを目的に「うごくおと~中野のまちの音をあつめて映像をつくろう~」を実施しました。

本企画は、2024年11月にスタートし、約2ヶ月の準備・制作を経て、2025年1月19日の「ナカノギオンマツリ」として中野区役所1階イベントスペース「ナカノバ」で展示・発信しました。

「ナカノギオンマツリ」では、① まちを歩きギオンをつくる活動、② アートワークショップの2つを行いました。

「うごくおと~中野のまちの音をあつめて映像をつくろう~」は、2024年11月から約2か月間かけて、実施したプロジェクトです。小学生〜大人までが、まちを歩き、ギオンを見つけ、デザインし、ギオンを動かし、音をのせて、アニメーションにする作業を行いました。音楽制作や映像制作のプロの方が編集を加えた映像を「ナカノバ」で上映しました。

以下、本実践に参加したメンバーのうち、4名の報告を紹介します。

報告①鈴木あやみ(岸ゼミ 3年生)
中野の街を歩き、なんとなく気になった場所の様子に合わせてギオンを考え、表現しました。この企画において一番面白かったことは、人によって興味を持つ場所もそこから連想するギオンも全く異なるということです。そのため、完成した作品のシェアを通して、参加者の方々が何を考えどんな意図があるのかを知ることができ、他者理解が深まった気がしました。

報告②土屋志恵留(岸ゼミ 3年生)
うごくおとの活動では中野を歩くところから始まりましたが、普段通っている道でも意外と気になるものがたくさんあって驚いたことを覚えています。また大学の行き帰りなどは大抵目的地まで一直線で、なんとなく歩いてみたり周りを見てみたりすることが少なくなっていることに気がつきました。そして、撮った写真からどんなギオンが聞こえてきそうかデザインして参加者内で共有した時に、同じような道を辿ってきたはずなのに自分が見つけられなかったものや思いつかなかったギオンがたくさんあって子どもから大人まで参加しているワークショップならではの多様さだと感じました。みんなで頑張ろう、すごいものを作ろうという雰囲気ではなく、それぞれが思い描いているものを、どう表現できるか考えながら夢中になる空間が、とても心地よかったです。

報告③花咲ひなた(岸ゼミ 3年生)
参加していた人たちは、それぞれ切り貼りに夢中で直接的に交流することはありませんでした。しかしどんどんギオンや絵で窓ガラスが彩られ、まるで窓ガラスを通して間接的に交流しているようで、とても温かい場になりました。参加者の1人は「ハハ」というギオンを作っていました。お話を聞いてみると、この場の温かさと楽しさを表しているとおっしゃっていました。

報告④岡部美鈴(岸ゼミ 3年生)
ギオンマツリ当日は、多くの方にご来場いただき、皆さんと一緒にギオンを文字にしていく過程を楽しみました。その過程で色々なアイデアや工夫を知ることができて、面白かったです。例えば、色紙を重ねてギオンを作る方、色紙に絵を描いて表現する方など、想像していなかったような方法でギオンを表現していました。参加者と一緒にイベントを作っていく楽しさを体感しました。また、すでにあるギオンに、他の方々が付け足していく様子を見て、アートを通じた間接的な交流を感じました。



 参加者の方からは「中野の町のみかたが変わった」「町を歩いていると楽しい音が聞こえるように感じる」といった意見もあり、中野の町の再発見につながったと思います。

 本実践は、2025年4月に明治大学中野キャンパス1階でも実施予定です。こちらにつきましても詳細は、ウェブにてご案内します。