教育実習体験談
2021年度に教育実習を実施した方々の体験談
① 東京都内 私立中高一貫校 実習教科(数学)
最初の2日間は授業見学を行い、実際に授業をし始めたのは4日目からでした。アルバイトで塾講師をやっていたり、担当の先生に事前に模擬授業を見てもらっていたこともあり、授業はあまり緊張せずスムーズに行うことができました。 私は、「生徒にわかりやすい授業展開」を意識して授業を行っていましたが、「生徒を伸ばす授業展開」に視点を変え、どうすれば生徒の実力を引き出せるのかを3週間の教育実習の目標にしました。発問の内容や扱う問題のレベルをクラスごとに考えて授業を作ることで、同じ内容でも生徒に合った授業を届けることができました。実習中に体育祭があり、体育祭の翌日に授業がありましたが、生徒の疲れを予想して授業内で数学に関するクイズを行いました。生徒の様子を確認し、その状況に合わせて生徒を惹きつける工夫をすることで、自分にとっても生徒にとってより良い授業ができました。
・HRについて
3週間の教育実習で一番力を入れていたのが、HR活動です。実習が始まった頃は伝達事項のみのHRでしたが、担当の先生から「“HRは生徒を理想の姿に導ける場”だから、生徒に伝えたい事は沢山伝えよう。」とお言葉をいただきました。それから予めHRで話すネタを考えておき、朝と帰りのHRで話をしました。3週間という短い期間で、生徒に何を伝えたいのか、そして生徒にどのように成長してほしいかを考え、話をした結果、生徒はしっかり前を向いて話を聞いてくれました。時には長い時間話をしてしまうこともありましたが、生徒は飽きずに最後まで聞いてくれていたので、短い期間でも生徒の成長に少しでも繋がった話ができたと思います。教育実習を得て、HR活動も授業と同じぐらい大切な教員の仕事だと学びました。
教育実習はあっという間で、実習が終わった後も学校に行きたくなるぐらい充実した教育実習でした。初めてのことが多く戸惑いもありましたが、担当の先生や実習生、生徒など多くの人に助けられ、3週間終えることができました。
私は実習生の中で唯一HRクラスを2クラス担当しました。また、その他にも担当した授業の生徒もいて、多くの生徒と均等に接することができるか不安でした。そのため、授業内や休み時間、放課後など多くの時間を利用して、生徒とコミュニケーションを取りました。自分から積極的に生徒に話しかけると、生徒の方からも話しかけてきてくれ、担当クラス以外の多くの生徒とも接することができました。日々生徒とコミュニケーションを取った結果、多くの生徒から元気をもらい楽しい1日を過ごせました。
② 静岡県 公立中学校 実習教科(社会)
私は4週間の実習を行う中で、2年生5クラスの社会を担当し、20時間以上の授業をさせて頂いたのですが、生徒の様子をしっかり見ると、クラスによって同じ内容の授業でも反応や理解度が全く異なっていることに気付きました。そのため授業を作る際は各クラスの良さが出るような授業計画や、授業中もしっかりと生徒の様子を観察しながら、授業進行ができるように工夫するよう改善していきました。そういった試行錯誤をすることで、授業後の指導教諭との反省会でも評価して頂けることが増えていき、少しずつではありますが、授業を行うことが楽しくなっていきました。私自身が楽しく授業をやるようになってから、生徒も授業を楽しんでくれるようになり理解度が深まっていったため、自分が納得するまで授業準備や生徒理解を深めていくのは大事であったと思います。
授業と同じくらい心配だった生徒との関りについては、すぐに杞憂であったと感じました。私が実習を行わせていただいた学校が本当に良い学校であったという所にも助けられましたが、自ら朝や休み時間等、空き時間に生徒と積極的に関わることですぐに打ち解けることができました。実習後半では、研究授業の準備や授業実習等、忙しく大変でしたが、生徒たちと関わることでまた頑張ろうと思える程、担当していたクラスの生徒と信頼関係を築くことができ、生徒と関われることに喜びを感じていました。
また共に教育実習を行う実習生にも大変助けられました。担当教科は異なりましたが、より近い立場で授業づくりや板書、生徒との接し方等多くのことで相談することができたため、非常に心強い存在でした。他愛もない話をすることや気軽に相談できる環境があったことで、私自身心の余裕を保つことができ、よりよい実習になったと感じました。教員になりたいという同じ志を持ち、共に実習を行う実習生と良い関係を築くことは非常に大事だと思います。
③ 青森県青森市 公立中学校 実習教科(英語)
1. 授業について
私は母校の中学2年生の英語を担当しました。教育実習の授業で模擬授業を数回行いましたが、オーディエンスが大学生だったため、実際に中学生の前で授業を行うことに不安を感じていました。教科の担当の先生の授業を最初の5日間は見学しました。この5日間で授業の流れや各クラスの生徒の雰囲気の特徴、自分でも取り入れたい指導法などをメモに取りながら学ばせて頂きました。初回の授業の前までに指導案を作成し、何度も先生にアドバイスを頂きました。驚いたことに、私に授業の裁量権を大きく与えて頂きました。自分のパソコンで授業用スライドを作ってそれを授業に導入することを提案したところ是非そうして欲しいと言って頂き、私のスタイルの授業を作っていくことを勧められました。ただ担当の先生の授業を手本に授業を行うのではなく、私がやりたいことを後押しして頂き、それに対するアドバイスをくださったので大変嬉しかったです。自分が授業をした初日はやはり反省点が多く、時間配分の誤算や説明不足、逆に説明を一気にしすぎてしまった部分があったりと、課題が沢山ありました。以降は、これらの課題を1つずつ解決していくことに努めました。 私はご指導頂いた先生だけでなく、生徒にも本当に恵まれたと思っています。実習生の私の授業を真剣に聞いてくれる生徒ばかりで、ほとんどのクラスでは積極的に発言をしてくれました。発言に消極的なクラスの授業運営には悩みましたが、こちらから誰かを指名し、その生徒が解答に困っていたらヒントを出しながら解答に導くなど、工夫をしました。2週間目に差し掛かった頃には生徒との距離も近づき、授業中や授業外の時間に生徒から質問をしてくれることが増え、生徒1人1人とコミュニケーションする機会も増えました。
2.部活動について
私は中学時代合唱部に入っていたため、実習中も合唱部の練習に何度かお邪魔させて頂き、部員と一緒に歌ったりおしゃべりをしたりと楽しい時間を過ごしました。一番はじめに部活を見学したとき、部員のみんなの演奏や歌の歌詞に感動し、恥ずかしながら泣いてしまいました。実習中は就職活動も並行して行っており、精神的に少し辛かったことと、部員全員がひたむきに練習している姿がとても輝いて見えたからだと思います。彼らの演奏に実習中は何度も励まされましたし、部員たちも私を慕ってくれて、本当に幸せな思い出です。
3.まとめ
実習を振り返ってみると、研究授業の細案作成や、やる気のない生徒のモチベーションの上げ方など大変だったこともありますが、素敵なことの方が圧倒的に多かったです。授業運営を研究していく中で、生徒にとってよりわかりやすくなるような伝え方やプリント作成、タイムマネジメントなどを学ぶことができました。それに加えて、生徒から学ぶものが多かったです。部活に勉強に一生懸命取り組む姿を見たときは「自分ももっと頑張ろう」と思いましたし、休み時間の何気無い生徒同士の会話で「ありがとう」や「ごめんね」をしっかり相手に伝えていた場面を見たときは、自分も他者にありがとうやごめんなさいという言葉をちゃんと言えていただろうか?と自分の言動を見直すきっかけになりました。先生方も私のことを全力でサポートしてくださり、感謝しています。これから実習に臨む皆さんには、実習は困難も沢山あると思いますがそれ以上の学びや素敵な経験が積めるということをお伝えしたいです。