近年,子ども達の育ちの過程に何かと大きな問題が生じ,世間を騒がせています。子ども達の健やかな育ちを支援すべく,関係方面あげての懸命の努力が続けられていますが,社会教育の世界も例外ではありません。しかし,課題も山積しています。
日本では,長いこと社会教育=成人の主体的な学習活動として捉えられがちでした。そもそも発達途上の子どもにそうしたことは不可能だという主張に押し切られ,子どもと社会教育を結び付ける理論と実践=子どもの主体的な学習活動(便宜上,「子どもの社会教育」と呼称)の研究と展開はとかく等閑視されがちでした。
こうした状況の下で,ましてや法制上は児童福祉施設と位置付けられる児童館であるにもかかわらず,それが有する教育機能に注目し,社会教育実習の対象施設として積極的に位置付けてきたのが明治大学でした。1994年度から毎年,都内の児童館に実習生を送り出し,学生の教育に力を注ぐ一方,「子どもの社会教育」を推進する拠点施設として,子育ち・子育て支援に資する児童館の存在意義を,広く世間一般に明らかにしてきたのでした。社会教育の研究にも大きな貢献を果たしています。1999年度までに,実習生の総数は19名に達しました。
また,この過程で児童館の現場で働く卒業生との結び付きも少しずつ拡大していったのです。やがて,2~3年前から,こうした卒業生の間で,児童館を縁とした同門の組織を作れないものかと俄に囁かれ始めたのでした。卒業生の一人が児童館・学童保育の教育論を講ずべく,母校の教壇に立つことが決まったことで,話は実現に向けて大きく歩み出しました。