Go Forward

授業紹介

ドイツ文学専攻の代表的な授業を紹介します。
ドイツ文化演習 (担当:冨重 与志生 教授)
この演習では、古典的芸術から近代芸術への転換過程の諸相を、作家・作品から理論家・理論も含め、同時代の社会・文化全体の動きも視野に入れて探し考察しようと思います。
ルネッサンス芸術以降、対象の「模倣」がさまざまに試みられたのです。解剖学に依拠した人体の自然な表現や「遠近法」の開発は最もめざましい成果でした。また、芸術が教会への奉仕から独立し、「自律性」獲得に乗り出したのもこの時期でした。しかしヨーロッパの芸術が、模倣と自律を調和させながら展開できたのは印象派までです。これが古典的芸術。以降は、芸術の「自律性」が先鋭化し、「模倣」を押しのけます。対象と「似て」なくて結構という近代芸術の始まりです。この転換過程がここでの問題です。
いくつかヒントを与えてくれそうなテキストを手がかりに、参加者は転換の諸相を自分なりに探します。これらの文章を読むと、近代芸術を考える上で不可欠の諸概念について理解を深めることができます。「模倣」と「創造」、「線」と「色彩」、「作品」と「オブジェ」、「タイトル」などの概念は、近代芸術を考える上で不可欠なのです。
参加者には、上記のテキスト理解を踏まえて、各自の興味を引くテーマを設定して研究発表をしてもらいます。対象は絵画でも建築でも、ファッションでもかまいません。