Go Forward

【文学部独自のキャリア支援】海外現地研修(ベトナム)を実施しました

2024年度海外現地研修A(ベトナム)

文学部では教員引率による海外での現地研修を奨励しており、夏季休業期間等を利用して、世界各国(主にヨーロッパ、アジア)にて集中授業科目「海外現地研修」を実施しています。各国の様々な大学や地域を訪れるだけでなく、海外の協定校での学びや、学生との交流を実施しているプログラムもあります。
2024年度には、参加学生のキャリア支援を目的としたベトナム・ホーチミン市での現地研修を実施しました。詳細は以下のとおりです。
研修名 海外現地研修A(ベトナム)
事前研修 5月25日
7月6日
8月23日
派遣期間 9月2日~9月8日
参加学生 27名(うち1年生8名、2年生9名、3年生5名、4年生5名)
引率・協力 明治大学文学部教員1名及び職員2名
ライトハウス・キャリアエンカレッジ株式会社(プログラム設計)
G.A.コンサルタンツ株式会社(現地案内)
ホーチミン市経済財政大学(UEF)
明治大学サイゴン紫紺会

【プログラムの目的】
参加学生それぞれが、ベトナムでのフィールドワークや現地人との交流を通じて日本人とベトナム人の労働への価値観の違いを認識し、自身のキャリア形成や労働の意義について考える。

【概要】
参加学生は4~6名で一つのチームとなり、事前研修の一環として、身近な社会人を対象とした働くことの意義についての調査を実施します。現地到着後はベトナム人にとっての働くことの意義についてチーム毎にリサーチ活動を行い、日本人とベトナム人の考え方の違いを把握した上で、自分たちが定義する働くことの意義について、チーム単位・個人単位でそれぞれプレゼンテーションを行います。
また、現地在住の社会人、明治大学OBとの交流イベントも実施され、参加者それぞれが自身のキャリア形成について考えるための機会を提供します。


▼事前研修

現地研修の準備のため、日本出発前、3回にわたり事前研修を行いました。ベトナムの歴史や環境についての基礎知識の習得、海外生活での危機管理のオリエンテーションをはじめ、身近な社会人を対象とした労働に関する意識調査及びその結果の報告、現地でのリサーチ活動に使用するアンケートの作成等を実施しました。

意識調査やアンケート作成は4~6名単位で振り分けられたチーム毎に行い、現地研修では、このチームに交流先大学であるホーチミン市経済財政大学(以下、UEF)の学生1~2名を加えたメンバーで活動をすることになります。

▼現地研修

9月2日(1日目)

ホーチミン像前での集合写真

成田国際空港を出発し、現地時間午後15時頃にベトナム・タンソンニャット国際空港に到着しました。

その後、本研修における現地の案内や各種サポートを担うG.A.コンサルタントの担当者と合流し、滞在先となるホテルに向かいました。
 
9月3日(2日目)

サイゴン中央郵便局内部の様子 サイゴン紫紺会との懇親会の様子

ホーチミン市内及びその近郊にあるサイゴン中央郵便局、聖母マリア教会、ベンタイン市場、イオンモール等の視察に加え、戦争証跡博物館を訪問し、ベトナム戦争の被害及び現代まで続くその影響について学びました。

夜にはホーチミン市近郊在住の明治大学OBで構成された組織「サイゴン紫紺会」との懇親会が行われました。実際に明治大学を卒業して現地で働いている方の生の声を聞くことで、学生にとって、日本国内に留まらないキャリア形成を自分事として考える貴重な機会となりました。 
9月4日(3日目)

大学紹介プレゼンテーションの様子 リサーチ活動に向けたチームでの準備の様子 Mirai Humanでの授業見学、リサーチ活動

本研修で活動を共にするUEFとの交流プログラムが実施されました。明治大学及びUEFのスタッフによる挨拶と記念品の交換に加え、各大学の学生より、大学紹介のプレゼンテーションが行われました。交流プログラム後、UEF学生が各チームに合流し、リサーチ活動に向けた準備に取り掛かりました。

午後には日本語学校(Mirai Human)を訪問し、教室での授業見学及び技能実習生候補者との質疑応答、リサーチ活動を行いました。

Mirai Humanでは、2015年の創立以来、累計4,000名以上の技能実習生を日本に送り出しています。リサーチ活動終了後、Mirai Humanのマネージャーより、技能実習生制度の概要やMirai Humanの役割及びその実績について、講話をいただきました。
 
9月5日(4日目)

孤児院の代表による講話及び質疑応答の様子 孤児院の子どもたちとの交流の様子

ホーチミン市を代表する孤児院であるKy Quang Pagoda孤児院を訪問し、代表からの講和及び質疑応答の後、実際にそこで暮らしている小学生以下の子どもたちとの交流及びリサーチ活動を行いました。

事前研修段階からチーム毎に準備を進めていた折り紙等のアクティビティで子どもたちと交流し、言葉が通じない中でも、次第に打ち解けていく様子が見られました。
 
9月6日(5日目)

プレゼンテーションの様子 プレゼンテーション終了後の集合写真

午前中にUEF学生を対象とした最終リサーチを行い、チーム毎に収集した情報を集約して資料を作成した上で、午後に最終プレゼンテーションを実施しました。プレゼンテーションは各チーム10分間で行われ、リサーチ活動の内容と結果、それにより得た発見の共有に加え、チーム毎に結論を出した「働くことの意義」について発表されました。

また、チーム発表と並行して個人発表も行われ、自分自身にとっての働くことの意義と帰国後の目標について、1人1分でプレゼンテーションを実施しました。チーム発表・個人発表ともに、英語で作成された資料をもとに行われました。

明治大学・UEFの双方の教員から各チーム発表へフィードバックが行われるとともに、教員・学生の投票のもと、最も優秀なチーム発表に送られる「ベスト働く意義賞」が決定し、記念品が贈られました。
9月7日(6日目)

キャリアフォーラムの様子

現地企業で働く邦人ビジネスパーソン5名によるキャリアフォーラムを実施しました。
 
各チームに1人ずつ時間交代制でビジネスパーソンが配置され、終始和やかな雰囲気のもと、現地で働く上でのやりがいや苦労、海外で働くことを決意したきっかけ等、キャリア形成に関して学生との質疑応答が行われました。

午後には、チームで共に活動をしたUEFの学生と再合流し、チーム毎に市内を観光しました。市内観光後、ホテルにてフェアウェルパーティーを実施し、20時頃、タンソンニャット国際空港に向けて出発しました。
 
9月8日(7日目)
15時頃成田国際空港に到着し、解散しました。

▼参加学生の声

ベトナム研修から数ヶ月経ち、今でも特に深く心に残っているのは、このプログラムの成果発表のための発表資料作りをしていた時間です。制限時間に追われながら、ああでもないこうでもないと、日本語と英語を交えて皆で議論した時間はとても有意義で充実したものでした。

この研修で学んだことは数え切れないくらいありますが、一つに絞るなら、国や言語、文化が異なっていても人はコミュニケーションを取れるし、相手の気持を考えることができるということです。もちろん伝えるため・読み取るためのアプローチはしなければなりませんし、両国とも母国語が英語ではない分、大変なことも少なくありませんでした。しかしその過程の中で、異国の文化を知り、考えを知り、その人について知り、あるいは自分自身への理解も深めることができました。

またこの研修で得た成果は、自分自身を広い視点で見つめ直すことができたことです。このプログラムの目的である、自分の今後のキャリアについて考えることを達成でき、参加した甲斐がありました。成果発表では、「ベスト働く意義賞」に選出され、目に見える成果を残せたことも大きな喜びでした。

たった1週間の研修でしたが、そこから得たものは大きく、今後の人生に影響を与えることは間違いないと思います。自分と他者の相互理解というのはコミュニティに欠かせない要素であるため、この学びを今後の学生生活、そしてその先の進路にも活かしていきたいと思います。
(考古学専攻/2年生)

▼研修を終えて

入学直後の1年生から就職内定済みの4年生まで幅広い年次の学生が参加をする中で、プログラム終了後に実施をしたアンケートでは、参加学生全員からポジティブな感想が寄せられました。

プレゼンテーションでは、現地の方たちの柔軟なキャリア形成意識、就職をゴールではなく過程として捉える考え方に刺激を受けた意見が複数見受けられました。終了後のアンケートでは研修を通じて伸びた自身の能力として「主体性」を挙げる声が多く、今後の大学生活や社会人生活においても、新たな環境に飛び込んで行く積極性や姿勢を大事にしたい旨コメントがありました。

文学部では、2025年度以降も引き続き海外現地研修を実施予定です。