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外国人留学生の方へ

座談会「1・2年生をどう過ごす?」留学生の先輩達にお訊きしてみました

2025年01月28日
明治大学 国際教育事務室


 3人の留学生の先輩が真摯に答えてくださいました

「4年間という限られた学生生活を有意義にするために、どう過ごすといいのだろう?」。きっと誰もが一度は考えることではないでしょうか。

その答えの手がかりを探るべく、中国と韓国から留学生として来日し、明治大で4年間を学び、今春からは日本の会社で就職予定の3名の方にインタビューをお願いしました。

協力してくださったのは、中国出身のチョウカミンさん(商4年・商社内定)、韓国出身のキムウジュンさん(政経4年・商社内定)そして同じく韓国出身のイエリムさん(商4年・IT企業内定)の3名。
 

長期的な視点を持ちつつ、学びにフルコミットの日々

—みなさんは、どのような学生生活を過ごされましたか。1・2年生の頃を中心にお話しくださいますか?

<チョウさん・中国出身>
 中国の東北部出身で、18歳の時に来日しました。2021年に大学生活がスタートし、1年目は「子どもの頃の厳しかった体験を大学生活に活かす」ことを行動の軸にし、様々なことにチャレンジしました。
 まず、授業にはとにかく一生懸命取り組み、4年間、フル単(註:履修登録したすべての単位の修得)を達成しました。そして学内の4つのサークルに入り、日本人の学生との関係構築に力を入れました。さらに、早稲田と慶応の学生が合同で運営する団体にも関わり、素晴らしい学生リーダー達と出逢い、彼らのお陰で自身のやるべき軸を意識できるようになりました。日本語能力については、父親が経営する飲食店の手伝いをすることで、実践的な日本語力を身に着けてゆきました。
 そして2年生になった時には、「リーダーとして自己成長すること」を目標に掲げ、様々なことに挑戦しました。例えば、2つのゼミに入り、一つのゼミでは、ゼミ長を、もう一つのゼミでは副ゼミ長を務めました。それから、廃部になりかけていた中国語部の活動にも積極的に関わるようになり、幹事長を務めました。中国語部の幹事長として、日中韓交流会を開催したり、明大祭の団体賞に取り組んだりと、忙殺されながらも、様々なことに挑戦しました。


 
インタビューに応じるチョウさん


明大祭での一コマ


<キムさん(韓国出身)>

私は2018年に明治大学に入学し、3年次が修了した段階で、母国での兵役のために3年間休学しました。そして昨年4月に復学をしています。明治大学に入学した頃、日本語力不足を痛感しました。このため、「日本語でのコミュニケーションの頻度が高そうな場所はどこだろうか」と考え、客の回転率の高いカフェをアルバイト先に選びました。そこで、多くの日本人のアルバイト仲間に巡り会うことができ、彼らと一緒に遊びに行くなど充実した時間を過ごすことができました。
 また、日本語だけでなく、英語も上達させたかったので、米国交換留学生との交流会やACEプログラム*に参加するなど、英語力の向上にも取り組みました。その後、英語圏への留学を考えていましたが、パンデミックのために断念せざるを得なかったのが心残りです。
(註:*ACEは政治経済学部独自の英語実践力特別強化プログラム)
 3
年次終了後、母国での兵役を務めたのですが、その際に政府の管轄にある工場に配属となりました。その時の同僚の一人が、南アジアから韓国に出稼ぎに来ていた方で、母国でエリート教育を受けていたにもかかわらず、母国には仕事がないため工場で働いていました。また、以前、私の祖母から戦争のために学業を断念せざるを得なかったと聴いていました。このため、この同僚との出逢いを機に「努力したい人が努力することができる、機会が平等な社会を創るために、自分はどのような貢献ができるだろうか」ということを意識するようになったと思います。


 
インタビュー中のキムさん


アルバイト先での一コマ

<イさん(韓国出身)>
 私は2018年に高校卒業後にすぐに来日。そして日本語学校で学んだ後に、2020年に明治大学に入学しました。入学当初はパンデミックの影響で全てオンライン授業という状況。1年次は学業とアルバイトにとにかく集中しました。2年次になってからは、講義の半分が対面授業となったので、サークル、アルバイト、ゼミなど自分のコミュニティをどんどん広げてゆきました。この2年間でなんでも挑戦することが習慣となり、3年次以降もダブルコアで2つのゼミに所属し、卒論の準備に打ち込みました。

 4年間全体のエネルギー配分を振り返ると、学業40%、アルバイト30%、ゼミ20%そして就活に10%といった感じでした。学業では外国人留学生がいないゼミを選び、ゼミ長に挑戦したり、専門外の教養科目を受講したり、日本語以外の外国語を学んだり、発表のリーダーを経験しました。また、いろんなアルバイトに挑戦したり、サークル活動でストレスを発散したり、留学生向けのイベントを企画したり。こうした一つひとつの経験が「自分」を形成したのだなと思いますし、私の学生生活は全てが「自分探し」だったと言えるのかもしれません。自分を探す過程で自信がついたら、無敵になれると思いますので、低学年のうちに様々な機会をつかみ取ることが大事だなと改めて思います。



インタビュー中のイさん

日本での経験と学びを活かすために日本での就職を選択

—皆さん、大学での勉強だけではなく、日本語を学んだり、ネットワークを広げたりと本当にエネルギッシュに時間を過ごしておられたのですね。ところで「日本での就職」を意識され始めたのはいつ頃ですか?また、なぜ日本での就職を考えるようになりましたか。

<チョウさん・中国出身>
2年生の冬(12月)頃です。⽇本で生活する中で、多くの⽇本の⽅々から応援していただき、この恩返しをしたいと思ったからです。

<キムさん(韓国出身)>
 韓国のいろんな友人や知人に相談をした結果、2023年の秋頃から意識するようになりました。日本には母校とは違う新卒の一括採用制度があり、日本で就職をするなら「就活」というのはチャンスだと思いました。また、将来設計を考えると日本政府の高度人材制度の活用が魅力的に映りました。

<イさん(韓国出身)>
日本滞在で培った日本語力と専門知識を活かしたいと思い、また、日本の就職市場が有利だと判断しました。若手登用に積極的で、人材育成制度や職場環境が良い企業を選びました。仕事への意欲と決意を伝え、第一志望の企業から内定をいただきました。
 

就活はまず自分をよく知ることから

—就職活動はまず何から始めましたか?

<チョウさん・中国出身>
 まず、自分の将来の夢や目標を考え直し、自己分析に取り組みました。そして、中国と日本で成長してきた経験から、将来は世界中で活躍したいと考え、商社に情報を集めました。例えば、会社のIR情報、企業説明会、関連書籍、OB社員の訪問など、様々な方法で情報を集めました。

<キムさん(韓国出身)>
 私も、同じように取り組んでゆきました。実際の面接や試験の経験からのフィードバックを次の機会に活かすことを常に心掛けていました。また、希望する企業で実際に勤務されている先輩に実際にお話を伺ったり、就活の関連動画やサイトを見たりすることに特に時間を割いていたと思います。

<イさん(韓国出身)>
 私は自己分析を行う時に、まず自分の性格・適性にあいそうな職業と職種を探索しました。その後、「自分のライフスタイル」と「将来像」を合わせて、「なりたい姿」を自分なりに掘り下げてゆきました。そして「他人からは自分がどう映っているのか」を理解することで、自己分析を進めました。
 また、様々な企業や説明会に関する情報を集め、自分がエントリーする企業のリストや選考のロードマップを作成し、取り組んでゆきました。

 

悔いのないように迷わずチャレンジを。そして日々の経験を振り返り「自分」の理解を深めてゆく

—それでは今、1・2年生の後輩の留学生達にメッセージをお願いします。

<チョウさん・中国出身>
⼤学⽣活は⼈⽣の中で⼀回しか経験できないので、⼤学⽣としてどんな4年間を過ごしたいのかを⻑期視点で考えるべきだと思っています。もちろん答えは⼈それぞれ違うと思いますが、卒業するまでに悔いのない4年間を過ごして、将来社会⼈になって学生時代を振り返ったときに「よかった!」と 思えるように頑張って欲しいなと思います。

<キムさん(韓国出身)>
私の場合、パンデミックという予期せぬ事態のために、海外留学を諦めざるを得なかったことが今なお心残りです。予想外の事態は起こりうるもの。だからこそ、皆さんにはやりたいことがあれば迷わずチャレンジして欲しいなと思います。

<イさん(韓国出身)>
日本での就職希望であれば、とにかく自己分析を大事にしてください。自分の強みや弱み、価値観を理解することで、適した仕事を見つけやすくなります。自己分析のために、日々の生活や経験を振り返り、メモにまとめる習慣を身につけると良いと思います。

また、就職活動では長期間にわたってチームで協力をして成果を出すという経験がとても重要です。ゼミ、サークル活動、アルバイト等、学生生活を見渡せばいろんな機会が見つかると思います。自信を持って「やり遂げた」と言えるようにぜひチーム活動に取り組んで欲しいなと思います。


—最後にどんな社会人になりたいなと思いますか?

<チョウさん(中国出身)>
他の人の幸せに貢献できるような、魅力的な人になりたいです。

<キムさん(韓国出身)>
自分がここまで来れたのは、家族や様々な人々のお陰だと思っています。だから、今度は自分が仕事を通じて、誰かの力になれるような、そんな社会人になりたいです。

<イさん(韓国出身)>
自分の周りの人々とともに、より高みを目指し、成長してゆけるような人になってゆきたいです。

—本日はありがとうございました。ますますのご活躍をお祈りしています。 

 

 
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