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特定課題講座〈地域環境と人〉

2023年度特定課題講座「『難民』はいかにして、『難民』になるのか — アフガニスタン、パレスチナの現場から」



 本研究科では2023年10月18日、特定課題講座(地域環境と人)として、「『難民』はいかにして、『難民』になるのか — アフガニスタン、パレスチナの現場から」というタイトルを掲げた、シンポジウムを実施しました。企画が始まった2022年夏の時点では、さまざまな媒体で連日、ウクライナ避難民の動向が報じられていました。そのときにはあえて、西側諸国の論理に絡め取られてきた日本社会において見過ごされがちな、アフガニスタン、そしてパレスチナの現場に焦点を当てながら、難民問題について検討してみようということになったのです。
 それから1年以上を経たシンポジウム当日、事態は大きく動いていました。アフガニスタン西部は大地震にみまわれ、ハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃以降、パレスチナ情勢は混迷を極めていたのです。そのような状況下でわたしたちは、学外からご参加くださった3人の報告者から、それぞれの現場経験にもとづく貴重なお話を伺いました。
 最初の報告者をつとめてくださったアタイさんは、日本で暮らすアフガニスタン出身の難民当事者として、戦争による惨禍を生き抜いてきたご自身の経験を語ってくださいました。次に登壇された太田由香里さんは、平和構築や開発援助の第一線で、国連職員として働いてこられた経験から、現地をめぐる危機的な状況、蔑ろにされる人権問題に目を向ける必要性について語られました。最後に、パレスチナ・イスラエル研究者の早尾貴紀さんが、ガザ地区で起きていることをどう理解すべきか、そして「ナクバ(破滅)」の一九四八年はなぜ起きたのか、という二つの重要な問いかけから、歴史的な文脈を丁寧に読み解いてくださいました。その後、丸川哲史研究科長による熱のこもったコメントにつづき、会場に集まってくださった皆さんとの活発な質疑応答がおこなわれました。
 本研究科ではこうした企画を実施し、学内外の教員、大学院生、学部生、そして一般の方々と言葉を交わしながら、さまざまなことをクリティカルに考える学問の場を、これからも提供していきたいと考えています。

登壇者(報告者):アタイ、太田由香里、早尾貴紀
コーディネーター:石山徳子


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