古来、数学はさまざまな学問と密接に関わってきました。しかし現代の数学は、他の学問と切り離されつつあります。本来、数学は物理学や生物学、経済学などを考える際に土台となる学問です。
生物は自らの利益を得るために、日々試行錯誤を繰り広げており、これを説明するのが「進化ゲーム理論」です。例えばニホンザルのグルーミング(毛繕い)の場合。あるサルがほかのサルに毛繕いをする行為を見たことがあるでしょう。ゲーム理論では、一見すると他者への利益の提供、つまりグルーミングが何らかの見返りを期待した行動であると仮定して、本当にそうなのかを数理モデルを使って証明していきます。
この理論を活用した例に、環境問題があります。例えば湖の美化を呼びかけても、「私は関係ない」とみんなが非協力的だと美化は実現しません。では、協力すると金銭的に得をする制度を作ってみると、人や国はどう行動するのでしょうか。これが「公共財ゲーム」の考え方です。そしてこの「公共財ゲーム」を実際に制度化したのが、二酸化炭素の排出権取引です。自国のCO2排出量を少なく抑えて、余った枠を他国に売る仕組みです。
数学は完璧な論理を持った「言語」です。数学というコトバを使って社会に貢献するための研究の場として、現象数理学科は最善の選択となるでしょう。