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数理のチカラ − 小川 知之

方程式は日常生活に隠れている

明治大学 総合数理学部 現象数理学科 小川 知之

化学反応と電子回路の意外な共通点とは?



水槽に水を張って温めます。一定の温度差になると対流があちこちで同時に生まれ、さまざまなパターンを作ります。これがどのように競合するか計算すると最終的なパターンが導かれます。世の中のさまざまなパターンは、この分岐理論を使って解析することができます。

2次方程式なんて役に立たないと言われる方もあります。しかし皆さんもきっと自然界の美しい模様に目を奪われたことがあるでしょう。これらのうちいくつかは2次方程式の解の正負と密接に関係しています。数学的な構造は本来とても身近な存在なのです。例えば微分方程式は物理的にどんな意味があるのかという問題意識を養うため、現象数理学科では化学反応や電子ホタルを作って実験を行います。化学反応でも電子ホタルでも数学的には非常に似通った原理で振動を発生させることができます。したがって同じような原理で周期や明滅パターンを調整させることもできます。この解析に使われるのが微分方程式です。

下敷きに力を加えるとどのような形に曲がるのでしょう。この学科では数学の基礎を学びつつ、他分野の現象を数学的に理解することに主眼を置きます。大切なのは数学も物理も身の回りで起きている現象であるという現実感を持つことです。

小川 知之 - 微分方程式の分岐理論とパターンダイナミクス
自然現象の中に潜む基本的な原理(からくり)を明らかにすることを目標にしています。熱対流、化学反応、生理現象、生態学など中身もスケールも異なる現象が実は同じ数学的な構造に支配されていることがわかると非常に楽しいものです。主に微分方程式系の解構造・ダイナミクスを分岐理論や勾配系、保存系などの力学系の理論を使用・構築しながら研究しています。


数理のチカラ : 現象数理学科

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