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金ゼミ(3年)が韓国遠征を行いました

高麗大学にて 歴史地区北村にて 高麗大学の学生・教授との写真

金ゼンマ・ゼミ(以下、金ゼミ)の3年生16名は12月上旬、ゼミ活動として韓国ソウルにある高麗大学を訪問しました。この韓国遠征では、現地学生に対し日韓関係に関わるテーマについて発表し、そのフィードバックをもらうことを通じて交流を深めました。今回の交流は、まず金ゼミ生4班がプレゼンテーションを行い、それに対して感想やコメントをいただくという形で進行しました。プレゼンの内容としては1.歴史班「日本統治が現代の日韓関係にもたらす影響」2.社会班「メディアの情報操作」3.文化班「日韓文化研究」4.政治経済班「日韓の政治経済」といった、日韓関係に関わる広い分野について扱いました。以下がそれぞれの発表内容の内容をまとめたものです。
磯野藍加(3年・金ゼミ)
歴史班は現在の冷え切った日韓関係を踏まえた上で、この度の貴重な機会に根本にある問題についての意見交換をしたいと考え、あえて、両国の歴史認識の差異、なぜ対立を深めてしまうのかなど、センシティブな話題について発表しました。私たちが韓国の国定教科書の日本に対する過激な言い回しに驚いたことに、それが当たり前として教育を受けてきた現地の学生は驚いたようで、認識の差を意外な点からも気づかされました。双方の学生から、過去よりもこれからどうしていくかが大切ではないかという、前向きな意見を聞くことができ、今回の交流が関係改善の小さな一歩につながるのではないかと感じています。
菅崚斗(3年・金ゼミ)
私たち社会班では「メディアの情報操作」というテーマに焦点を当て、情報操作の概要や手段、そして実際になされた報道をいくつかとりあげてプレゼンを行いました。まずは情報操作の用語解説、目的、歴史、最近のメディアによる情報操作の例を簡単なイラストと共に説明しました。次に情報操作で主に使われる7つの方法を取り上げ、その中の何点かが実際にワイドショーの報道で使われたということについて提示しました。後半では、スポーツ界における「嫌韓」報道と日本側からみる不買運動といった二つの例を、写真や新聞記事と共にとりあげました。最後のまとめとして、情報操作を行うメディアの報道と人々の実際の認識にはズレがあるということを、独自におこなったアンケートの結果と共に示唆しました。
史カエイ(金ゼミ・3年)
私たち文化班は日韓文化研究というテーマでお互いの文化を考察しました。韓流、コリアンタウンそして食文化の3つのポイントに分け、日中韓の文化的交流や相違点を考えました。文化交流は遡ると主に明治期から始まり、何世紀にもわたって私たちの歴史が構築されてきたことがわかります。韓国の学生と交流していくと文化的な話題は豊富に出てきます。このように、私たちも食文化や音楽文化などを通して韓国に接する機会が増えていくことは日韓友好の第一歩になるのではないかと考えています。
田中瑞樹(3年・金ゼミ)
政治経済班は、政治分野として近年の日韓の外交関係について、経済分野として日本でも最近注目度が高まり、かつ日本と韓国で顕著な差が出るキャッシュレスについてプレゼンしました。GSOMIAやホワイト国など最近のセンシティブな話題について考えるきっかけとなり、またキャッシュレスに関しては普及率が非常に高い韓国の方々に、日本でキャッシュレスが浸透していない状況や理由に興味を抱いていただきました。繊細な話題だからこそ、韓国の方の意見を聞くことが大事だと感じました。 
高田大地(3年・金ゼミ長)
高麗大学の学生からは、「(韓国国定)教科書の記述に慣れていたため、日本についての表現が激しいものであるとは思っていなかった」「日本と韓国のキャッシュレス事情が興味深い」など多くの意見をいただきました。また、高麗大学の教授からもお褒めの言葉をいただくことができました。より良い発表にするための反省点はありつつも、準備した成果を遺憾なく発揮しました。
大学での発表だけでなく、朝鮮王朝の王宮であった景福宮や伝統的家屋の韓屋が立ち並ぶ北村を訪問し韓国文化への造詣を深めました。また、滞在の別日には、韓国の歴史をリアルに展示した大韓民国歴史博物館を訪れました。現在に至るまでに韓国が経てきた歴史をリアルな映像・展示を通じて学習しました。特に日本と深く関わっていた独立時期の展示からは、当時の韓国国民の強い思いを感じ取りました。さらに歴史の認識は教育の観点からお互いに齟齬が生まれているというということを強く感じました。ここでの経験は、国際政治経済、特にアジア地域情勢を研究している金ゼミにとって貴重な経験でした。
中島沙織(3年・金ゼミ長)
韓国遠征に向けて、秋学期から準備を重ねました。調査したいテーマごとに班を作り、膨大な量の新聞記事や文献を参照し、プレゼンテーションに必要な情報を集めていきました。また、アンケート調査を行うなど日韓関係を形作っている当事者の声を聴いてプレゼンを作っていくことができました。プレゼンテーションとディスカッションの後には、日韓の学生が参加する食事会が開かれました。双方ともに、素の自分が出せるリラックスした環境で本音を話し合うことができたと感じています。多くのゼミ生にとって韓国の学生と直接交流する機会は貴重なものでした。日本で相手国に抱いていた印象と、実際に現地で感じたことの相違が、実際に自分自身が体験することの大切さを教えてくれました。
 日韓関係が不安定な中、私たちの韓国遠征は実施が危ぶまれるほどでした。しかし、実施出来る運びとなり、このような貴重な機会をいただきました。関係悪化の一途をたどる中で学生が交流することは大変意義があることだったと考えています。この遠征で学んだことは、これから国際関係を考えていく際に重要な軸になるだろうと感じます。このようなことを活かして、今後も一同ゼミ活動に臨む所存です。