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岸ゼミの学生が国際学会にて研究発表を行いました!



発表中の様子

2020年8月17日、18日にオンラインで開催された国際学会、 ICoME 2020 (International Conference for Media in Education) の学生セッションにて研究発表を行いました。岸ゼミ3年生と4年生が合同で、研究のテーマごとに文献調査、実践、データ収集、結果と考察を行い、英語で原稿執筆、発表を行いました。新型コロナ拡大防止のため、オンラインで実施されました。世界24か国からの参加者と出会い、議論し、とても良い時間となりました。

岸ゼミからは次の6件の研究が発表されました。

・鈴木慶樹、安田舜、原田燎、山本耀介
Developing a Workshop on Online facilitation
・堀田栞奈、楠本幸生、橋本里菜
How online ice breaking benefits collaborative learning
・岡崎梨菜、鄭ミンユ、岩井耀平
Designing Student-led English Activities as a Learning Experience
・山藤優花、佐藤大輔、内田美涼
Factors that Hinder Students’ Active Participation for Online Classes
・松木響子、山田峻輔、田ジウン、寺部佑歩
The factors that may hinder/ promote students’ motivation on online classes in a higher education
・柴田恒、川嶋智史、朝倉民
Developing a Game-Based Educational Material focusing on English Communication in Primary Schools

学生セッションでは56件の発表が行われ、全ての発表に対して各国の研究者2名が、発表原稿、研究内容、発表方法、発表スライド、質疑応答の5つの観点のルーブリックで評価を行いました。その結果に基づき、最も優れた発表に対してYoung cholar Awardが送られ上記のうち3件がYoung cholar Awardの対象となりました。

以下、発表を行った学生たちからの報告です。
(文責:岸磨貴子)

The study of facilitator's body language which works to develop learning community on online student-led activity in higher education

鈴木慶樹、安田舜、原田燎、山本耀介
 今回のICoME参加にあたって、自分の意気込みの変化を見たとき、最初と最後では明らかに変わっていました。最初は、「チームで研究ってなんか楽しそう」と言う軽い気持ちで入りましたが、最後には、「この研究はどうしたら意義のあるものになるか」と試行錯誤するようになっていました。

 試行錯誤を繰り返すなかで、たくさんの困難を経験しました。とくに、多くの時間を費やして提出したアブストラクト初稿で多くの欠点を指摘されたときは心が折れそうになりました。しかし、私たちはめげませんでした。いま思えば、欠点を真剣に指摘してもらったからこそ、研究の意義を真剣に考えるようになっていきました。
それらの困難を乗り越えていく中で、同じ研究を進めた4人だけでなく、岸先生をはじめ学会に参加した他のチームと共に切磋琢磨し高め合っていく大切さを学びました。助け合い、そして時には刺激し合いながら研究を進めたことで、苦しい中でも折れることなく前へ進むことができました。

 これまでの4ヶ月間を通して、「研究」というものをとても深められたと思います。泥臭く、もがき、苦しみ、そうした過程の中で新しいものを生み出す喜びや達成感を、僕たちは学ぶことができました。この学会発表を通して、サポートをしてくれた岸磨貴子先生をはじめ、事前の発表練習の機会をくださった日本福祉大の院生のみなさま、参考文献の書き方を丁寧に教えていただいたICoME運営委員の山本良太先生に深く感謝致します。そして、お互いに切磋琢磨し会えた岸ゼミの他のグループのみんな全てに感謝します。ありがとうございました。

How online icebreaking benefits collaborative learning

堀田栞奈、楠本幸生、橋本里菜
 私たちのグループは、オンライン協働学習におけるアイスブレイクの働きについて研究しました。研究の動機は、完全オンラインで始まったゼミナール活動において、ゼミ生同士の協働をスムーズに進めることができた理由の一つにアイスブレイクがあるのではないかと考えたことがきっかけです。

 私たちの研究活動も、全てzoomを使ったオンラインで行われたので不安はありましたが、話し合いを重ねる中で課題を共有して一緒に解決することで一体感が芽生え、グループワーク自体を楽しめるようになりました。加えて、オンラインでの共有ツールを使う機会が圧倒的に増え、話し合いのスケジュールやオフラインでも綿密な連携を取るためのコミュニケーションツールを前よりも使いこなせるようになったと感じます。前より引き出しが増えて、どんな状況でもグループワークができるという適応力がつき、自信になっています。

 研究活動を通じて、ますますアイスブレイクに関心を持ちました。今後は協働学習外でのアイスブレイクの作用についてさらに研究を深めたり、私たち自身がアイスブレイクを開発したりと活動を広げていきたいと考えています。貴重な機会をいただき、ありがとうございました。

Developing a Game-Based Educational Material focusing on English Communication in Primary Schools

柴田恒、朝倉民、川嶋智史
 私たちのグループでは「小学校におけるコミュニケーションを通したカードゲーム学習教材の開発」について研究しました。2020年度から新学習指導要領に基づいた新しい小学校教育が始まります。外国語活動、英語科の授業では特に大きな変更がなされ、学校の先生たちの負担が増えている現状です。そこで子供たちの英語学習においてより対話的な学習を促すために学習教材を開発しました。

 研究を進める中で「対話を生み出すことの難しさ」に直面しながらも、教材を開発していく過程では細かいルールや使い方といった面で試行錯誤していきました。実際に子どもたちを前に実践すると、できた部分とできなかった部分が明らかになりました。どのような点に気をつけて教材製作をするのかという点や、開発した教材の改善点は実践を通した研究だからこそ深められた部分でした。英語は言語であり、座学だけでは学びきれないことが多いです。生徒同士、および生徒-教師間でコミュニケーションを取りながら学習する機会を増やす方法を模索するという面で今回の研究は有意義だったと感じます。

 今回の研究を通してまた新たな課題も見えました。今回の研究発表を新たなスタートとしてより一層研究に励んでいきたいと思います。また、1人ではこの研究をここまで深めることができませんでした。改めて共に研究を進めてくれた研究のメンバーに感謝します。今回の貴重な発表の舞台は自分にとって大きな成長になりました。ありがとうございました。

Factors that Hinder Students’ Active Participation for Online Classes

佐藤大輔、内田美涼、山藤優花
 私たちのグループはオンライン授業における学生の主体的参加を妨げる要因について研究を行いました。今年度より多くの教育機関で開始したオンライン授業。その中でもビデオ会議システムを活用した同時双方向型の授業では、対面授業時より主体的に授業に取り組めるようになった学生とそうでない学生が混在している現状です。私たちはその状況に疑問をもち、オンライン授業において主体的な参加を妨げているものは何かを明らかにすることを目指しました。

 研究では、授業への主体的参加を「授業内発言」、「話の聞き方」、また「グループワークへの参加」の3つの行動面で考え、それぞれについて学生へのインタビューより対面授業とオンライン授業でどう変化したか、またその変化の理由を調査しました。主体的参加とはどのような状態であるか、学生の経験を引き出すにはどう尋ねればよいかという点に関して難しさがありましたが、話し合いを重ねるなかで乗り越えました。最終的に、実際に学生が語ってくれた困難から、授業への主体的参加に対する阻害要因をまとめることができました。

 全てオンライン上で進めてきたこの研究を通して、改めてオンライン環境の可能性を感じることができました。今回の研究ではオンライン授業への主体的参加の阻害要因を明らかにしたため、今後はその阻害要因をどう乗り越えるかという部分に焦点をあてて研究を続けていきたいです。オンライン授業をより学びあるものにするために、少しでもこの研究がお役に立てると嬉しいです。貴重な機会をいただきありがとうございました。

Factors that may Promote First-Year-Student Motivation in Online Classes in Higher Education

松木響子、山田峻輔、田ジウン、寺部佑歩
 私たちは「オンライン授業における学生の学習意欲向上要因」について研究・発表しました。研究活動を通して、今までの与えられた内容を勉強する学習とは違う、自ら問いを持ち、その問いを解決する「学び」を経験することができました。また、この研究から、学生が積極的に授業に参加することはもちろん、学生自身も授業を構成する意識を持って取り組むことの重要性を学ぶことができました。これまでとは異なる授業形態になっていく過渡期に、この学びを得たことは、学習者としての私たちにとって今後の財産になると思います。

 当日は、普段の大学での講義と全く違う学会の雰囲気を肌で感じるところから始まりました。緊張もありましたが、国籍・研究内容共に多様な発表と、参加者との意見交換の中で、教育工学研究の多様性、自身の研究に対する課題など、多くの気づきを得ました。また、アジアトップクラスの大学の学生の発表を聞く機会にも恵まれました。発表者の方々の姿勢を通じて、環境は関係なく自分次第で新たな知見を得られると感じました。

 現在の状況下で全ての作業をオンライン上で行わざるを得ず、難しさを感じることもありましたが、最終的にYoung Scholar Award を受賞することができました。この結果に喜びを感じるとともに、オンライン授業の研究に期待が寄せられていると実感しました。今後、さらにこの研究を発展させ、学生という立場から新たな研究成果を提供していきたいです。

 最後になりますが、研究に協力してくださった皆さまと、ICoMEという学びの機会を与えてくださった先生方に感謝申し上げます。

Designing Students-led English Activities as an Learning Experience

岡崎梨菜、岩井耀平、鄭ミンユ
 私たちは、学生が主体となって英語を遊びながら学ぶことは、日本人学生の英語に対する苦手意識を無くす事ができるのではないかと考え、そのための研究と英語の遊びの開発を行いました。この研究を通して、現在の日本の英語教育のおいての課題や、学生の英語に際する意識を調査することで、新しい気付きを得ました。また、私たち発表者のそれぞれの受けてきた英語教育の違いや、共通点を生かし、多面的な視点より、問題解決に向けた解決策を考え、研究を進めてきました。学生主体で、遊びながら学ぶ英語のアクティビティが実際の英語教育の現場で導入されることは日本の英語を学ぶ学生のより身のある教育になると考えます。

 当日の学会発表は、日本、韓国、中国、ハワイにいる学生とオンライン上で学生同士と研究内容への知識を深めあうことは、とても刺激的で、学ぶ姿勢や物事においての探究心が高まりました。熱心に研究する姿勢はどの国の学生も同じであり、研究したその先にある、将来の教育に素敵な未来が待っていると感じることもできました。私たちも、今回研究した学生主体になって楽しく学ぶ英語への研究を深め、より学生に学ぶ面白さを分かってもらい、日本社会においても、教育を通じて、輝かしい未来の実現に貢献したいと思いました。

 最後に、研究に協力してくださった、学生のみなさんと教員の皆様に心から感謝申し上げます。