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国際日本学部

シリア人留学生ヤーセルさんと語るオンラインイベント実施!

2021年03月06日
明治大学 国際日本学部

イベントちらしイベントちらし

メディア室にてハイフレックス型で実施メディア室にてハイフレックス型で実施

参加者とやりとりがしやすいようにヤーセルさんと目線が合うようにレイアウト参加者とやりとりがしやすいようにヤーセルさんと目線が合うようにレイアウト

Jamboardなどを使い参加者とインタラクティブに会話できる工夫Jamboardなどを使い参加者とインタラクティブに会話できる工夫

2021年1月13日(水)に、国際日本学部の学生を対象として、シリア人留学生ヤーセル・ジャマルさんと語る会を岸ゼミ企画のオンラインイベントとして実施しました。

ヤーセルさんは、シリア内戦が始まる前、ダマスカス大学に在籍する学生でした。内戦のため学業を続けることができず、来日。UNHCR難民高等教育プログラム(Refugee Higher Education Program – RHEP)の奨学制度を利用して、明治大学国際日本学部に入学し、2021年度に卒業する予定です。

在学中、シリアの現状や難民の現状を多くの人に知ってもらいたいと日本各地で講演をされてきました。学部では「学生としてのヤーセルさん」と関わりますが、難民として、そして家族を支える長男としてのヤーセルさんについてはなかなかこれまで話を聞くことができなかったため、ヤーセルさんと彼のゼミの仲間でオンラインイベントが実施されました。

詳細はこちら(ウェブページ)
http://allstars.m-kishi.com/with_yasser_2020/

以下、企画・実施のメンバーからの報告です。
文責:岸磨貴子


報告:ヤーセル・ジャマル(国際日本学部岸ゼミ4年生)

I am Yasser Jamal, an international student from Syria. Through this event I tried to share my experience with other students from different perspectives and points of view for the first time. I reached other students from the point of view of a student, refugee and family member. By doing so I tried to deliver a positive message to other students depending on my good and bad experiences that I have had.

My main purpose of this event was to encourage other student to be positive, be grateful for their lives and what they have, to value family more and put it in top priority, how to use their time to develop themselves during their university life, find their passion and what they want to do in the future, being patient and strong during hard times, and to never give up on reaching their dreams no matter how hard it is. These are some of the things I talked about in my videos through my 3 different identities that I wished I knew before when I was in my early 20s and that is why I was excited and super motivated to share it with other students hoping that my videos and the event will help them in their lives so they do not have to learn it the hard way and through bad experiences like I did.


報告:鈴木慶樹(国際日本学部岸ゼミ4年生)

本企画は、これまでの大学生活の中でも全く経験のない新しい取り組みに満ちたものでした。まず、昨今の新型コロナウイルスの影響で活動に制限のある中で、感染症対策を十分に行なった上で、私たちはワークショップを対面とオンラインとを融合させた形式で行いました。国際日本学部には新設されたICT機器とネットワーク環境が整ったアクティブラーニングルームが設置されています。そのため、その環境を最大限に活用して、普段では味わうことのできない多地点からの参加だからこその壮大な雰囲気で、インタラクティブに企画を運営することができました。オンライン参加のみならず対面にこだわった最大の理由は、ゼミ生のヤーセルが一番リラックスをしてプレイフルに話をできるように環境を作りたかったためです。シリアから日本に難民としてやってきた彼は、私たち岸ゼミにとって大切な仲間です。この彼の大学生活の集大成とも言える本企画では、主役であるヤーセルが、対面で直接話を聴き受け止める他のゼミ生との関わりを通して、楽しみながら話をしてほしいという私たちの想いがありました。さらに、私たちは「会話を始める」ことを本企画の一番の趣旨としました。そのため、一般的なワークショップと違い、固定されたゴールがありません。むしろ、それぞれの関心の元に話を進めた先がゴールとなるのです。参加してくれたゼミ生や外部の方々は、ヤーセルの話を受け止め、感じたことをもとに会話を進めていきました。その結果、ヤーセルやシリアのことなど多くのことに触れることができる機会となりました。最後に、本企画は私個人においても大学生活最後の企画となりました。その最後を、知らないことから作り上げられる挑戦で締めくくることができて心から嬉しく思います。ワークショップの企画・運営に関わってくれたメンバー、参加者の皆さま、ICT環境を用意してくださった岸先生と事務室の方々に深く感謝申し上げます。そしてなにより、このワークショップの主役であり岸ゼミの大切な仲間であるヤーセルに敬意を持って、感謝したいと思います。ありがとうございました。


報告:ふうこ(国際日本学部岸ゼミ3年生)

今回のワークショップは、対面とオンラインを両立させた形で挑戦しました。登壇者はマイクとカメラ、そして対面の参加者に向かって同時に話し、教室のプロジェクターにはオンライン参加者の画面が大きく映し出されていました。少人数で会話する時間も多く設け、対面とオンライン双方の参加者がリラックスして参加できる環境を作り出せたと思います。対面での活動が難しい状況下だからこそ生まれたこの開催方法を、今後もブラッシュアップして有効活用していきたいです。

また、現状を訴えかけたり、支援をお願いする目的で開催されることの多い「難民」「シリア」というテーマのワークショップを、「会話を始めること」を目的として開催できたことにも大きな意味があったと感じます。「難民」という言葉が出ると、「戦争」や「貧困」という大きく難しい問題に結びついてしまい、どうしてもマイナスなイメージがついて回ります。しかし、今回ゼミの仲間であり、普段の明るい学生としての姿を知っているヤーセルから難民としての経験を聞き、小さな疑問をぶつけていくことで、「難民」と一括りにされてしまっている人1人1人にそれぞれの人生があることに気づく機会になったのではないかと思います。まだ日本では理解の進んでいない難しい問題ではありますが、現状をただ知るだけでなく、そこに生きている1人1人に目を向けていくことで、少しずつでも理解が進んでいけば良いなと思いました。

この企画に携われたことを誇りに思うと同時に、企画メンバー、参加者のみなさん、このような機会を設けてくださった岸先生、そして何より登壇してくれたヤーセルに心から感謝しています。様々な経験をしてきたからこそ紡ぎ出されるヤーセルの言葉に、私自身も今を楽しみながら将来に向かって前向きに生きる勇気をもらいました。今回の経験を生かし、残り1年間のゼミ活動でも後悔のないよう、様々な企画に関わっていきたいです。


報告:戸澤月(国際日本学部岸ゼミ2年生)

私は「さぽうと21」という団体で難民の子どもたちの学習支援に携わっています。今回はこの企画でヤーセルの個人レベルの話を聞くことで、私自身恥ずかしながら無意識に抱いていた「シリア」「難民」といった言葉に抱く固定観念を見直すきっかけとなりました。このような気付きを与えてくれるといった点において、「難民」「人種差別」といった一見繊細なトピックについての問題や事実を知り、感じたことを話し合うといった行為は非常に重要です。日本はまだまだ難民の存在を見えないものとしていたり、社会の制度、人々の意識を含め多様性のある社会とは言い難いです。全ての人にとって生きやすい社会を目指すうえで、まずみんなが関心を持つという小さなことからスタートし、他人事としない姿勢が大きな第一歩です。私も本企画で感じ、学んだことを大事にして、日々成長していけるように頑張りたいです。