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国際日本学部

国際日本学部山脇ゼミが中野区長と外国人留学生の懇談会を開きました

2021年07月13日
明治大学 国際日本学部

会場の様子会場の様子

Zoom参加者Zoom参加者

グラフィック・レコーディンググラフィック・レコーディング

明治大学国際日本学部の山脇ゼミは、7月7日にオンラインで中野区長と外国人留学生の懇談会「ワクチン接種から考える外国人住民への情報提供のあり方」を開催しました。今回の懇談会では、韓国、中国、香港、シリア、ロシア、日本出身の学生6名が登壇し、酒井直人中野区長に参加していただきました。進行は山脇啓造教授が務め、参加者は学内外から、ゼミ生も含めると、総勢約130名となりました。登壇者は中野キャンパスにて対面で懇談会を行い、その様子をZoomで配信するハイブリッド形式で行いました。

プログラムは こちらです。登壇者は以下のとおりです。

キム・ソリ(明治大学国際日本学部3年、韓国)、マック・クワン・タオ(明治大学国際日本学部3年、香港)、ラーマ・ジャマール・アルディーン(明治大学国際日本学部2年、シリア)、アヴドシェンコ・ダリア(イーストウエスト日本語学校、ロシア)、リ・シホウ(イーストウエスト日本語学校、中国)、日高悠希(明治大学国際日本学部3年、日本)、酒井直人(中野区長)、山脇啓造(明治大学国際日本学部教授)

懇談会の冒頭に、ゼミ生から中野区をはじめとした東京23区のワクチン接種に関する情報発信の調査報告が行われました。やさしい日本語を含めた多言語での情報発信とワクチン接種予約のサポートが求められ、役所の多文化共生担当とワクチン担当の連携が重要だと結論づけられました。

討論では、情報提供の手段として郵送物やホームページを取り上げ、外国人住民が困難を抱える点について活発な意見がありました。さまざまな郵送物が届くので重要なものかどうか分からず、ワクチンの接種券を捨てそうになったという声がありました。郵送物の中身に関しては、前置きが長く難しい上、専門用語が理解しにくいということが語られました。また、ホームページに関しては、多言語で対応しているものの、そのページにたどり着くのが大変で、機械翻訳の場合はその翻訳に間違いがあるという問題点も出されました。

その他、中野区が今年3月に発行した「外国人のための なかの生活ガイドブック」(やさしい日本語・英語・中国語・韓国語での併記)に関する意見交換がありました。困ったときに参考にできることが書いてあり、対応言語が母語の留学生にとって大変ありがたいという声があった一方、写真やイラストを増やして大事な部分を強調したほうがいい、そしてガイドブックの存在をもっと外国人住民に広める必要があるという意見もありました。

酒井区長からは、日本人でも時に読むのが大変な役所からの文書の改善や多言語翻訳に取り組んでいきたいというコメントをいただきました。また、なかの生活ガイドブックの存在を広く知ってもらうために、中野区への転入の際に必ず配布したり、日本語学校や大学の学生課で配布してもらうなどの工夫をしていきたいとのことでした。

聴講者との質疑の時間には、出入国在留管理庁の田平浩二課長から、多言語で省庁の情報をまとめた外国人生活支援ポータルサイトと生活・就労ガイドブックの紹介がありました。また、人それぞれ分からないポイントは違うことを実感したので、様々な意見をいただきながら、必要な改善を進めていきたいとのコメントをいただきました。その他、東京都のやさしい日本語担当の村田陽次課長代理やアクラス日本語教育研究所の嶋田和子代表理事、明治大学卒業後、日本で働く中国出身の孫ウカンさんやベトナム出身のドアン・レ・ハイ・ゴックからもコメントをいただきました。 

懇談会の最後に、酒井区長から、なかの生活ガイドブックのようなものを発行する際には外国人住民から事前に意見をもらうようにしたい、中野区の取り組みを少しずつ改善して、来年は進化した中野区をお見せしたいとの総括がありました。

山脇教授からは、ワクチン接種において優れた取り組みを行っている自治体では、それ以前から地道な多文化共生の取り組みが行われてきたとのコメントがありました。また、外国人住民と日本人住民の情報格差を生まないためにも、区市町村、都道府県、そして国における多文化共生担当とワクチン担当の連携が重要であることが強調されました。

こうして、今回の懇談会は中野区をはじめとする全国の自治体職員、日本語学校、NPO、企業関係者など様々な立場の方の参加があり、情報提供のあり方について、有意義な意見交換の場となりました。

懇談会の企画運営を担当した3年ゼミ生の感想は以下の通りです。

「たくさんの人の協力を得ながらこの会を開催してみて、地元自治体と外国人住民が直接対話するという機会は本当に貴重で有意義なことだと思ったし、日本人だけで話していても気づかないポイントがたくさん出てきて、私自身もとても勉強になった。どんどん進化する中野区にこの懇談会が少しでも貢献できていたら、また、zoomで参加してくださった大勢の方々の新しい気付きに繋がっていたらとても嬉しい。このような機会が他の自治体でも開催されると、皆が住み良い街に近づくと思う。」(大島沙也)

「今回の懇談会は、ワクチン接種および情報収集など現在自分の不安を解消することはもちろん、区の対応に関して改善してほしい点を直接提案することができて、非常に貴重な時間だった。山脇ゼミ12期の初めての企画であり、当日には多くの方々が参加してくださって緊張したところもあったが、大きなトラブルなく、イベントが終わって嬉しかった。今回の経験と反省点をもとに、今後も国籍に関係なく、誰もが住みやすい多文化共生のまちづくりのための活動に力を注ぎたい。」(キム・ソリ)
「ワクチン接種という、多くの人に関わる議題で外国人留学生の意見を聞けたことで、どのような部分が難しいのか知ることができ、情報提供のあり方を考え直すきっかけになった。情報を提供する側は分かりやすく伝えられるよう心がけていても、受け取る側の意見を聞いたり直接話したりする機会はあまりないと思うので、とても有意義な時間となったと感じている。今回の懇談会を通じて、必要な情報がより分かりやすく提供されるようになることを期待する。」(古賀朝子)
「ハイブリッド型の配信でトラブルも起きてしまったが、外国人住民への情報提供を中野区や他の特別区から考え、現在の区市町村での情報共有における問題点を、聴講して頂いた自治体の方々に伝えることができたのではないかと思う。来年度以降も、この懇談会で中野区に住む外国人の抱える問題にフォーカスし、改善策を模索することで、全ての人が暮らしやすい中野のまちづくりへの一歩となることを願う。また、今回の調査で得た知見を元に、今後もゼミ活動を通して多文化共生を推進していきたい。」(日高悠希)

「この懇談会は、12期にとって初めてのイベントであったことに加え、対面とオンラインのハイブリッド方式を試みたため、無事にやり遂げることができるか不安なこともあった。しかし、当日は懇談会担当の6人をはじめ、ゼミ生のみんな、山脇教授、酒井区長や登壇者の皆様、そして約100名の聴講者の皆様の協力があって、有意義な懇談会にすることができたと思う。今回の企画準備、当日準備で学んだことはもちろん、登壇者の方々の生の声を今後の活動に生かし、多文化共生のまちづくりに尽力したい。」(松村有理惠)

「今回の懇談会は、ワクチン接種というタイムリーな話題を通して、外国人への情報提供のあり方について今一度考えるきっかけになった。外国人からの率直な意見を聞くことで、具体的にどのような点で困難を抱えていて、どうやって改善していけば良いのかが分かり、とても有意義な意見交換が行われたと思う。今後は、今回の懇談会を踏まえて、外国人に対してはもちろん、日本人に対しても分かりやすい情報発信の在り方を模索していきたい。」(矢野良那)


(古賀朝子、矢野良那)