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国際日本学部

国際日本学部山脇ゼミが豊島区と中野区の職員研修でやさしい日本語のワークショップを担当しました

2022年01月18日
明治大学 国際日本学部

山脇ゼミは、2021年12月20日に豊島区職員を、2022年1月7日に中野区職員を対象とした多文化共生研修会の講師を担当しました。両日ともに、研修の前半に山脇啓造教授が多文化共生についての講義を行い、後半にゼミ生が「やさしい日本語」の活用についてのワークショップを行いました。豊島区では2回あわせて45名、中野区では24名の職員にご参加いただきました。

「多文化共生のまちづくり」を研究テーマとする山脇ゼミでは、2018年度からやさしい日本語の普及活動をしています。やさしい日本語とは、誰にとってもわかりやすいように、敬語や熟語を避けて簡単に表記したり、話したりする日本語のことです。山脇ゼミは、豊島区では2020年12月に、中野区では2021年8月に、出入国在留管理庁と文化庁が策定した「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」(2020年8月)を参考に、やさしい日本語のワークショップを担当しました。今回のワークショップでも、ゼミ生が作成したオリジナルの練習問題プリントを使用し、難しい日本語を簡単に言い換えていくワークショップを行いました。

今回のワークショップは、前回の書き言葉編とは異なり、話し言葉に関するものでした。身近な場面(道案内やゴミ出し、災害対応)から、実際の区役所の業務内容に近い実践的な場面(在留カードの氏名変更や国民健康保険の申請)を想定し、外国人役と日本人役に分かれてロールプレイ演習を行いました。書き言葉編のとき以上の活発な意見交換がみられ、職員とゼミ生が一緒になって、場面に適したより良い言い換えを考えることができました。コロナ禍で、多様な背景を持つ住民への区役所の窓口対応も大きな課題となっており、「多言語化」だけでなく「やさしい日本語」も必要なツールとなってきていることを感じました。

これまでにも山脇ゼミは、中野区の商店街や株式会社丸井グループの社員に向けて「やさしい日本語」のワークショップを開催してきており、自治体職員対象のワークショップは、2020年度の豊島区の研修から継続して担当させていただいています。2009年度から自治体と連携した活動を積み重ねてきた山脇ゼミが、自治体の信頼を得て、多文化共生研修を担当させていただいていることは意義深いものだと感じています。

やさしい日本語を使う際には、「易しく」言い換えるテクニックだけでなく、相手に寄り添おうとする「優しい」気持ちがとても重要になります。日々住民と接する自治体職員の方々が、「優しい」気持ちで、積極的にコミュニケーションをとろうとする姿勢を見せることで、外国人住民にとって住みやすいまちづくりは促進されていくと考えます。この研修が、より多くの行政関係者に「やさしい日本語」が広まるきっかけとなり、優しさや思いやりに溢れた社会の実現へとつながっていけば嬉しいです。
(国際日本学部3年 松村有理惠)

*中野区での研修の様子は中野経済新聞でも紹介されました。「明治大学の山脇ゼミが中野区職員向けに多文化共生研修 「やさしい日本語」講座も」(2022年1月12日)