Go Forward

国際日本学部

『進撃の巨人』担当編集者・川窪慎太郎氏を招き、「漫画文化論」講義を実施

2022年03月03日
明治大学 国際日本学部

 『漫画文化論』(藤本由香里教授)では、2021年11月18日、世界的なヒットを記録した『進撃の巨人』の立ち上げから完結までを伴走した担当編集者・川窪慎太郎さんをお招きしてリクエスト講義を行った。川窪さんはまず、現在「マガジンデビュー」に掲載されている、『進撃の巨人』の原型になった諌山さんの最初の持ち込み作を提示した上で、「諌山さんの絵を下手だと思ったことはない。マンガの絵のうまさとは写実的な絵が描けることではなくて、いかに絵に感情を載せられるか」だと語り、具体的な場面にふれて、いかに諌山さんが複雑な感情の表現にたけているかを示してくれた。
 また、最初の持ち込みから連載にいたるまでにさまざまな案を諌山さんが出してきた中で、最終的に、「最初の原稿を連載作品にしていきましょう」と提案したのは川窪さんだ、ということが明かされた。
 ネット上でもたいへんな話題になった伏線回収だが、伏線はメモを取らず、ネット上の考察をメモ代わりにしていたこともあるという意外な発言も。打ち合わせは常に川窪さんがとにかく質問をぶつけるという形で進み、かなり早い時期から必ず最初にした質問は「最終回はどうしましょうか」。
 それが、これだけ長い作品が一本筋が通ったものとなり、見事な伏線回収がなされたことに繋がったのだと感じさせられた。加えて「死は平等に」「ユーモアを入れる」など、諌山さんが常に作品との距離を取る、「大人な」作家であることが、言葉の端々から感じられた。質問は次の時間にもおよび、たっぷり2コマを使ったたいへん充実した講義となった。

【学生の感想】
「一生の思い出になる講義になりました」という感想がいくつもあったくらい、終始、学生の興奮が伝わってくる講義だった。具体的には「『進撃の巨人』の魅力を再確認した」「好きな作品の裏話を知ることができて感激した」「そうだったんだ!という驚きがあった」「伏線回収に、読者のネット上の意見も参考にするというのが意外だった。だとすれば読者も作品に参加しているのだ、という気になった」「マンガ編集者の仕事の内容がよくわかった」「イベントも含めてこれだけ担当の方がプロデュースした作品はないのではないか」というような感想があり、書ききれないほどの熱い思いがコメントにあふれていた。

*このゲスト講義の内容を踏まえた藤本由香里教授の論考を含む書籍が、3月4日に出版されます。
https://realsound.jp/book/2022/02/post-975705.html