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国際日本学部

新潟県で開かれた国際理解ワークショップのキックオフセレモニーに山脇ゼミが招かれ、やさしい日本語のワークショップを実施しました

2023年08月29日
明治大学 国際日本学部

新潟県内の小中高校で国際理解ワークショップを実施する大学生が交流することをめざして、新潟県国際交流協会が8月5日に朱鷺メッセ(新潟市)で開催した国際交流ファシリテーター・キックオフセレモニーに山脇ゼミが招かれ、やさしい日本語のワークショップを実施しました。

新潟県では、2005年に始まった新潟県国際交流協会と新潟国際情報大学の協働企画「国際交流インストラクター」の実施を契機に、同協会が県内大学の学生を小中高校に派遣し、国際理解ワークショップを毎年実施してきました。ワークショップの具体的テーマは、「SDGs」「世界の不平等」「多文化共生」など様々です。すでに20年近い歴史を有する、他県に例のない珍しい取り組みと言えます。

キックオフセレモニーには、春学期に新潟県内の5大学(新潟国際情報大学、敬和学園大学、新潟県立大学、上越教育大学、新潟大学)で国際交流ファシリテーターとしての研修を受けた学生たちが合わせて100名ほど集まり、セレモニーの冒頭に、国際交流協会から小中高校での国際理解ワークショップ実施の正式な委嘱を受けました。その後、ワークショップのセッションが2回(各回1時間)あり、参加した学生たちが実際にワークショップを実施したり、他大学のワークショップに参加したりしました。

今回、山脇ゼミは同様なワークショップを実施している団体として特別に招かれ、6名のゼミ生が1回目のセッションでは、2名ずつ分かれて他大学のワークショップに参加し、2回目のセッションでは他大学の学生たちを対象にやさしい日本語のワークショップを実施しました。

なお、山脇ゼミはキックオフセレモニーの前日に新潟市内に到着し、新潟県国際交流協会で新潟県における多文化共生事業についてお話を伺うとともに、国際交流ファシリテーター養成事業をリードしてきた佐々木寛新潟国際情報大学教授のゼミ生との交流会に参加したり、セレモニー当日のランチタイムにはセレモニー参加大学の学生有志と交流する機会を持つことができ、充実した新潟合宿となりました。

新潟合宿のショートムービー

以下、参加ゼミ生の感想です。

今回の合宿では、新潟県国際交流協会の取り組みについて伺った後、新潟県内の学生対象にワークショップを実施し、新潟の学生のワークショップに参加した。まず、新潟県国際交流協会のお話で特に印象に残ったのは、海外の学生向けのプレゼンコンテストについてである。コンテストに勝つと、新潟県を訪れる機会をもらえるというものである。このような機会が与えられるのは、コンテストを盛り上げる良いきっかけになると考える。次に、我々はやさしい日本語をテーマにしたワークショップを実施した。参加した学生からは、「言い換えを考えるのが楽しい」という声もあれば、「言い換えるのが難しい」という声もあった。私はファシリテーターとして、どう言い換えると伝わりやすいかというテクニックよりも、相手に伝わるように配慮する姿勢や気持ちが大切であるということを伝えた。最後に、私が参加した新潟国際情報大学のワークショップに関して、付箋を貼って意見を出し合った後、他の班の意見を見に行ける点が良かったと感じた。(4年 青柳壮真)

今回の合宿では、新潟県国際交流協会の取り組みを学べただけでなく、キックオフセレモニーでワークショップの改良に繋がる学びが得られた。はじめに、新潟県国際交流協会の方々から活動内容について詳しく伺うことができたが、数ある取り組みのなかでもファシリテーター養成事業が特に印象に残った。ワークショップを受けて興味を持った生徒が、今度は大学生としてファシリテーターになり、将来は多文化共生の推進に関わるというサイクルが生まれることで、県内の取り組みの進展に寄与すると考えた。セレモニーでは、佐々木教授の我々のワークショップに対する講評が勉強になった。指摘していただいた、やさしい日本語の普及に懐疑的な方々にどうアプローチするかは、今後の課題であると考えた。以前のワークショップを振り返ると、確かにやさしい日本語が日本語の言語文化を衰退させるのではと危惧する方もいた。今後のワークショップでは、やさしい日本語の有効性や必要性を説明し、懐疑的な方々にも納得していただけるよう挑戦してみたい。(4年 竹内健人)

新潟県国際交流協会の多文化共生事業について学ぶとともに、これまで参加してきたワークショップを客観的に振り返ることができた。お話を伺って、新潟県は外国人の割合が高い方ではなく、散在地域と言われている中でも、国際交流協会が多文化共生事業に注力してきたことが分かった。特に関心を持ったことは、外国人住民だけではなく、県内の学生や地域の方々、技能実習生や外国ルーツの子どもたちを持つ親御さんなど、幅広い方への情報発信や取り組みをしていることである。これらの活動は、県民の多文化共生の意識を育むと同時に、様々な世代や立場の人々との交流を生むものであると思った。また、今回ワークショップを企画し講評を頂いたことで、ワークショップを実施する度に内容を再構成する重要性を痛感した。それは、参加者に合った内容にすることとワークショップの中で私たちの考え方を押しつけないよう気を付けることである。ワークショップを実施することに慣れてきた一方で、今後は「何を伝えたいのか」ということを今一度皆で共有しながら作っていきたいと考えた。(4年 吉留凜)

今回の新潟合宿により、地方の多文化共生施策及び外国人住民の現況だけでなく、新潟5大学の学生がどのようにファシリテーションを行なっているかに関しても知ることができた。まず、初日には新潟県国際交流協会を訪問し、新潟県内で協会による多文化共生社会づくりがどのように行われているかを聞くことができた。地方の自治体による多文化共生への取り組みを文献から探ったことはあるが、その地域を直接訪問して当事者から伺ったのは初めてだったので、地方の多文化共生に関してより深く理解することができた。次に、国際交流ファシリテーター・キックオフセレモニーでは、他大学生に対してワークショップを行うだけでなく、彼らのワークショップに参加することもでき、お互いのファシリテーションを発展させることができた。他の地域ではこのように多数の大学生が交流しながら、お互いにワークショップを行うイベントは存在しないと考えられる。新潟県の国際交流ファシリテーター・キックオフセレモニーを手本とし、良質のファシリテーターを養成するため、本プログラムを全国に広げる意義があると感じた。(3年 崔相民)

今回の合宿を通して、新潟県国際交流協会の多文化共生に向けた事業について学ぶとともに、同世代である新潟県の大学生が行っている取り組みを体験し、今後の活動に関する学びを得られた。まず、お話を伺い、資料からだけでは読み取れない新潟県民の多文化共生への意識や外国人住民との関係性、散在地域における具体的な課題を知ることができ、地域に密着した多文化共生の取り組みの必要性を改めて感じた。中でも、学生の国際交流ファシリテーター育成事業は興味深かった。実際に他大学のワークショップに参加することで、ワークショップの活動内容や進行方法などを学ぶだけではなく、自分のワークショップへの取り組みを客観視することができる貴重な機会となった。もし次回参加させていただく機会があれば、互いのワークショップに参加した後に、意見交換などをして学生同士のより密な交流をしたいと思った。また、今回のように今後も他大学の学生と積極的に交流を行い、多文化共生に向けた取り組みを広めていきたい。(3年 藤田千颯)

今回の合宿は、初日の夜から2日目の午後まで、新潟県の大学生と交流する機会が多くあり、ワークショップのテーマや大学生活、新潟のおいしいものなどについてたくさん話すことができた。また、国際交流ファシリテーター・キックオフセレモニーでは、新潟県立大学の学生によるフードロスをテーマにしたワークショップに参加することができた。他大学のワークショップに参加するのは初めてだったが、時間配分や内容がとても綿密に準備された印象があった。また、食品カードなどのワークショップで使うアイテムは私たちのワークショップでは使ったことがないが、小学生向けのワークショップに取り入れるとカードゲームをしているような感覚でより楽しんでもらえるのではないだろうかと考えた。私たちのワークショップでは、教員や区役所職員、小学生向けと比べて、同じ大学生である分、いつもよりもファシリテーターをしやすかった。実施後のアンケートでは、「学びが深まった」や「真似したいところがたくさんあった」というコメントがあり、今回、大学生らがワークショップに参加しあうことで、お互いに刺激や実りのあるいい機会であったと思う。ワークショップを経て参加大学生らともっとワークショップの感想を共有したりして交流したかったが、すぐ帰ることとなったので、次回も機会があれば、ワークショップの前後に国際理解ワークショップに取り組む大学生同士で積極的に交流していきたいと思う。(国際日本学研究科修士2年 松野有香)