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国際日本学部

山脇ゼミが台湾視察旅行を実施しました

2023年10月11日
明治大学 国際日本学部

山脇ゼミが2023年9月15日から四泊五日で台湾を訪問し、台湾の多文化共生施策に関する視察を行いました。

視察を行ったのは、台北市にある移民署台北市サービスセンター、台北市万華新移民会館、台北市立図書館多元文化資料センター、台北駅大ホールや、新北市の東南アジア専門貸本店「燦爛時光」と華新街(ミャンマー街)です。また、新北市にある淡江大学も訪ね、同大の鄧建邦教授のコーディネートの元、学生たちと交流しました。自由時間には、中正紀念堂や台北市の人気繁華街である西町や夜市も訪問しました。

以下、参加学生の感想です。

 台湾の移民政策についてユニークだと思った点が2点ある。1点目は、子育て支援が充実している点だ。外国人配偶者の割合が高いこともあり、子供を持つ家庭への支援が充実しており、移民署の中にもおむつ替え台が置いてあったことに驚いた。高齢化が進行するにつれて、こんどは高齢者福祉にシフトしていくだろうと考えた。2点目は、外国人支援が外国人住民のみならず、我々のような外国人観光客にも行き届いている点だ。移民署には、「外国人相談ダイヤルサービス1990」というものがあり、また、台北市立図書館の本も、パスポートがあれば外国人観光客でも借りることができる。今回の合宿は、人の暖かさに触れることの多い合宿であった。淡江大学の学生はおもてなしの精神が旺盛で、キャンパスツアーから夜市の案内まで丁寧に行ってくれた。全体的に日本文化に興味のある学生が多く、日本のアニメの話もかなり通じた。中にはこれまで何度か日本に来たことがある学生もおり、今後も日本に来たいと言う声が多かった。淡江大学の学生が日本に来た時には、自分たちが全力でもてなそうと思う。(4年ゼミ長 青柳壮真)

台湾を訪れ、次の二つが印象に残った。一つ目は、ミャンマー街に位置する「GOLDEN EAGLE」という店だ。店には台湾の食べ物に限らず、ミャンマー・インドネシア・日本・韓国など、数え切れないほどの国の商品が並んでいた。そこからは、店に多様な文化が凝縮されているように感じた。また、店そして街が、他国から移住してきた人々が自国の食文化に触れたり、コミュニティを作ったりできる憩いの場になっていると思った。二つ目は、移民署だ。署内は、他国から台湾にやってきた誰もが利用しやすいように環境が整えられていた。例えば、数多くのボランティアが多言語で手続きの対応をサポートしたり、番号や図・写真を用いて書類の申請場所や書き方を一目でわかりやすいように工夫したりしていた。これらの街の様子や取り組みが、新しく入ってきた人を受け入れる風潮につながっていると考える。また移民たち自らは、母国を大切にしながらも台湾に住む一住民として、台湾で暮らす住民とともに台湾社会でくらし、まちを作っていると感じた。(4年副ゼミ長 森田美玖)

今回の合宿で特に印象に残っている点は2点ある。1点目は、台湾の移民政策は、日本と比較した際により実践的な制度が整っている点である。新移民会館では、移民がより良い職に就くことができるよう、美容や介護の講座が用意されているそうだ。特に、介護の講座については、中国語で200時間という本格的なもので、受講した移民のうち半数が就職できているとのことで驚いた。また、移民署では、移民が提出する申込表本体と提出場所に対応する数字をふるなどの工夫や、郵送が必要な書類をすぐ提出するために郵便局を署内に設置するなど、移民のことをよく考え、利用しやすくなるような工夫が随所に見られた。他の視察先でも同様に、表面的ではなく、職員の方々が移民のことを考え、試行錯誤されているのではないかと感じることが多々あり、まさに多文化共生社会実現に必要とされている姿勢なのではないかと考えた。2点目は、台湾がとても親切で温かい国であるということである。淡江大学の学生をはじめ、街中でも日本語で話しかけられるなど、人の温かさに多く触れる5日間となった。東南亞主題書店で日本と台湾の歴史についての話があった際や、中正記念堂を訪れた際などに、日本と台湾の歴史と、現在の日台関係について考えさせられる機会も多かった。様々な面で学ぶ点が多くあり、大変充実した合宿となった。(4年 片桐小海)

今回の合宿を通じて、台湾は政府と自治体で外国人の受け入れ、支援に力を入れていると感じた。一番印象に残っているのは、移民署サービスセンターでのホットラインの話である。ホットラインでは、7ヶ国語で相談対応を行なっている。特に中国語、英語、日本語に関しては、24時間で相談を受け付けている。外国人住民の他に観光客も利用可能という点が印象的だった。まだ認知度の面では課題があるとおっしゃっていたが、いつでも気軽に相談できる環境があることは、安心して暮らすことができる要因になるだろう。韓国合宿に行った際には、多文化や外国人支援に不満を持っている人が多いことから施設の名称を変更したという話があったが、台北駅大ホールの様子などから台湾の人々は新移民を受け入れている印象を受けた。一方、淡江大学の学生達や移民署のボランティアをしている方に現地のおすすめの食べ物など案内をしていただき、台湾の魅力を知ることができた。親日的な国であることを身に染みて感じ、再度訪れたいと思った。(4年 柳沢未羽)

今回の合宿を通して、台湾の移民政策についてよく知ることができた。新移民会館では、移民のためのプログラムが多く設置されており、移民が台湾の言語や文化を知るためのプログラムだけではなく、ヨガやパン教室などのプログラムもあることを知った。このようなプログラムに参加することで、台湾での生活に順応するだけでなく、コミュニティに入ることにもなり、困った時に頼れる人ができるので、様々なプログラムが用意されていることは、移民にとってありがたいことになると感じた。また今回の合宿では、淡江大学の学生と交流する機会があった。学生と交流した際には大学近くの街や西門の街を案内してもらい、とても充実した台湾合宿になった。(4年 大野晏実)

今回の合宿は学習面と楽しみの面の二つの面において、非常に満足のいく合宿となった。まず初めに学習面についてだが、台湾は移民の受け入れが日本に比べてとても進んでいると感じ、それと同時に私たちも見習うべき点が多くあると感じた。新移民会館や移民署の見学を通じ、台湾における移民の人々に対する対応が非常に丁寧で素晴らしいものであると感じた。外部から多くの人々を移民として受け入れるということは、その地域、その国全体に負の影響を及ぼす可能性があるが、それらを理由に彼らを排除するのではなく、彼らの呼び方を新住民と変えるなど、より身近な存在として優しく受け入れている姿勢に私たちが学ぶべき点があると感じた。また、台北市立図書館や東南亞主題書店など、移民の人々が自国の本も読めるようにと、各国から多くの本を集めている姿勢に、移民の受け入れが台湾政府によるものだけではなく、市民も参加しているのだと実感した。楽しみ面では、個人的に淡江大の学生ととても仲良くなれたことが今回の合宿において一番の収穫であったと感じた。彼らには台湾の街をとても親切に紹介してもらったので、今度は逆に彼らが日本にきた際に、自分たちが倍以上の親切心で日本の街を紹介したいと思った。(3年ゼミ長 千葉亮伍)

楽しむことができたのはもちろん、日本にいては見ることのできない移民大国の実態をこの目で見ることができ、非常に満足度の高い5日間だった。特に印象的だったのは移民署で、24時間ホットラインを多言語対応で受け付けていることや、国を渡っても過去の犯罪履歴を隠せないようにする対策がしっかりとなされていることがわかり、もし自分が移民として台湾に渡ったとしても、安心して生活ができるだろうと感じた。東南亞主題書店では、日本の本もあると聞いて興味を持ったのだが、恐らくすべてが歴史に関する本で、その点では日本と台湾の間にある歴史が思い起こされた。生活面でとても印象的だったのは、公共交通についてである。自由行動の際は主にバスを使っていたのだが、車間距離が異常に狭く、正直恐ろしかった。しかし、最終的には何事もなく楽しい合宿となり、行ってよかったと心から思った。(3年 小沼明日香)

私は今回の合宿を通じて最高の思い出を作ることができたうえに、台湾の文化について身をもって体感することができた。私にとっては4年ぶり2度目の海外渡航で不安もあったが、それ以上に台湾の人々の温かさや新鮮な体験を通してその不安は払拭された。また、事前学習で学んだ台湾の移民政策への取り組み方について様々な施設を訪問したことによって、よりリアルかつ鮮明な理解へと深めることができた。特に、移民署では中国、香港やマカオなど出国した地域によって場所を分け、手続きがし易くなるような工夫がなされているのがとても印象的だった。(3年 藤井美吹)

実際に訪問してみて感じたのは、台湾は移民に対して比較的寛容であるということである。例えば、観光客も利用できる24時間のコールセンターや図書館、新住民向けの多様なカリキュラムなど充実した支援の取組、移民署主催の各種啓発イベント、移民署内の写真スポット、台北駅のホールで多くの外国人たちが座り、ご飯を食べたりおしゃべりしたり自由に過ごしている様子などからは、そういったことを不快に感じる台湾人が少ないということではないだろうか。その一方で、9割が好意的ではないというアンケート調査結果や、淡江大学の教授の台湾人の優しさは表面的なところもあるという意見もあり、台湾人や新住民の方たちが実際のところお互いのことをどのように感じているのか気になった。また、多文化共生の各種取組は、東南アジアとの友好な関係を構築維持する上でも意味があるという意見もあるというのは興味深かった。実際に、淡江大学の学生らが以前インドネシアに訪問した際、学生が東南アジアに行くことを推奨している政府から全額補助があったと聞き、外国人住民の多くを東南アジア出身者が占める台湾では、東南アジアを対象とする幅広い多文化共生の取組が、外交に寄与するという台湾政府の考えを垣間見ることができた。(研究科2年 松野有香)