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国際日本学部

山脇啓造研究室が「高校生のための多文化共生サマースクール」を開催しました

2025年08月28日
明治大学  国際日本学部

 近年、日本で暮らす外国人住民が大きく増加する中で、高校の授業や課外活動で多文化共生のテーマが取り上げられることもあり、多文化共生に関心を持つ高校生が増えています。そうした高校生を対象に、首都圏を中心に全国各地の多文化共生の地域づくりに取り組んできた山脇啓造研究室が、多文化共生をテーマにした2日間の講座を8月19日と26日に開きました。
 初日のテーマは「多文化共生入門」、2日目のテーマは「やさしい日本語入門」で、二日目は、一般社団法人やさしい日本語普及連絡会との共催で行いました。両日あわせて延べ50人の高校生が参加し、首都圏を中心としつつ、広島県や高知県、山形県からの生徒も参加しました。受講生の6割強が3年生で、3割が2年生でした。山脇ゼミの学生も延べ12名がスタッフとして参加しました。

*ショート動画




 8月19日の「多文化共生入門講座」には、31人の高校生が参加しました。まず山脇教授の講義「多文化共生社会に向けて」がありました。続いて、昼食の時間で、弁当を持参した受講生同志の交流の場となりました。午後は、まずゼミ生による山脇ゼミの活動報告とグループディスカッションがあり、続いて、通訳翻訳会社ランゲージワンのカブレホス・セサル執行役員(多文化共生ディレクター)による「多言語時代を拓く」と題した講義があり、その後に再びゼミ生によるマイクロアグレッションと第三者返答のワークショップがあり、最後に振り返りと受講生交流の時間をとり、閉会となりました。
 8月26日の「やさしい日本語入門講座」には、19人の高校生が参加しました。まず山脇教授の講義「多文化共生とやさしい日本語」があり、昼食の時間となりました。午後は、やさしい日本語普及連絡会の吉開章代表による講義「やさしい日本語ラップで学ぶやさしい日本語」とゼミ生もファシリテーターとして参加する「三文クッキング」のグループワークがありました。続いて、ゼミ生によるやさしい日本語ワークショップがあり、振り返りと参加者交流の時間の後、閉会となりました。
 サマースクール終了後の受講生アンケートでは、回答した30名全員が講座の内容に「満足」したことがわかりました。以下、受講生の感想です。

<多文化共生入門講座>

「今回の講座を通じて、日本における外国人住民の増加が加速しており、今後は人口の1割を占める可能性があるという点に大きな衝撃を受けました。単に数が増えるというだけでなく、国や地方自治体がどのように政策を整備し、またホスト社会としてどのように意識を変えていくかが重要であると理解しました。地方自治体が国へ積極的に要望を出す動きや、外国の統合政策との比較を通じて、日本における課題と可能性を考えるきっかけになりました。」

「多文化共生の現状や必要性を学ぶことができ、さらに深く探求していきたいという意欲が湧きました。とても学びの多い時間でした。また、ゼミの皆さんが温かく迎え入れてくださり、アイスブレークなどの工夫で場の雰囲気を和らげてくださったおかげで、最初は緊張していたものの、途中からは安心して講座を受けることができました!」

「思いやりに正解の形はないが、ないからこそ考え続けることが大事で、ただそれには不安が伴うはずなので、人々が様々な文化の違い(年齢・世代、性別、国籍、習慣)を超えて安心してモヤモヤできる場所を作りたいのだと、そうやって多文化共生に貢献したいのだと言語化することができた。とても貴重な機会だったと感じている。」

「私は、政府や自治体の『上からの取り組み』と、私たちが日常生活の中でできる『下からの取り組み』の両方をしていくことが、多文化共生の実現の鍵になると感じました。今日の多文化共生サマースクールで多くの人と話をしたり、お互いの考え方を共有することができ、非常に有意義な時間でした。」

「外国人労働者が増えてきてる現状で日本の対策が対応しきれていないこと、悪意のない偏見が外国人を過ごしづらくしていることがわかった。それを解決するために今自分がやらなければいけないことを見つけ出すことができた。」

「多文化共生についての国や自治体、団体の取り組みや日本にいる外国人の現状をデータを元に詳しく知ることができました。また、全国から集まった高校生たちと交流できたので、とても満足です。」

「多文化共生に曖昧なイメージしか持てていなかったが、具体的な取り組みなどをしった。また、私たちの身近にあるものが関係していて、私たち自身が関われるものだと思えた。」

「今回の講義を通して、多文化共生についての理解を深めただけでなく、多文化共生に興味を持つ高校生や、ゼミ生の方々との意見交換・交流を通して、多面的視点を得る貴重な機会となりました。」

「サマースクールに参加する前は身構えていましたが、先生方や先輩方が親身に接してくださり、更には同じ志を持つ仲間たちとも巡り合うことができ貴重な学びの機会に感謝しています。」

<やさしい日本語入門講座>

「やさしい日本語が様々な角度における多文化共生の実現に活用できることにとても影響を受けた。講義を受けるまで、私はやさしい日本語について日本語を母語とする人とそうでない人という視点しか持っていなかった。しかし、実際には聴覚障害の方と健常者との情報格差を埋める手段になると知り、多文化共生を実現するコミュニケーションとは一体どのようなものなのだろうと、改めて視点を広くしなければいけないと考えさせられた。」

「やさしい日本語について興味は持っていたが、詳しい知識やどういった日本語なのかを理解していなかったから、今回の講座を通して、前よりももっとやさしい日本語に興味をもてた。実際にグループ内でやさしい日本語を作ってみたり、名詞をやさしい日本語で説明したりする体験をすることによって、やさしい日本語にすることの難しさという自分自身の課題を見つける機会にもなった。」

「自分の学校では日本語よりも英語について学ぶ機会のが当たり前ですが多いので、初心にかえって誰にでもわかりやすく伝わるということを実践できたのがまず良かったと思うし、やはり思いやりはお互いに大事だなと思いました。また、私は中高一貫の女子校なので同年代でも違う環境にいる人たちの意見をたくさん聞けて、すごくいい刺激を貰えました。」

「講義やワークショップに参加して話を聞くだけでなく、グループワークを通して自分の意見を発信する機会があったり、相手の意見を聞いたりすることができたのでよかった。実際にやさしい日本語にしてみるという体験をすることで、普段使っている日本語とは違う難しさを実感することができた。」

「やさしい日本語は何をきっかけに、現在に至るまでどう広がってきたか、これからは誰がどうしていくべきなのかと言うことを考えることができた。」