Go Forward

国際日本学部

山脇ゼミが韓国で開催されたインターカルチュラル・シティ国際シンポジウムに参加しました

2025年10月20日
明治大学 国際日本学部

 山脇啓造ゼミ(多文化共生論)のゼミ生4名は、2025年9月17日から19日にかけて韓国・安山市で開催された「インターカルチュラル・シティ国際シンポジウム」に、山脇教授と一緒に参加しました。インターカルチュラル・シティとは、欧州評議会が2008年に始めた国際的な都市のネットワークで、文化的多様性を生かしたまちづくりを推進することを目的としています。欧州を中心に約160の都市が参加し、日本からは浜松市と静岡県、韓国からは安山市、ソウル市九老区、牙山市、金浦市が加入しています。今回の会議は安山市がこのプログラムに加入して5周年を記念するイベントとして開催され、山脇教授はインターカルチュラル・シティの専門家として、浜松市の中野祐介市長とともに日本から招待されました。

1日目は、漢陽大学ERICAキャンパスにて、「インターカルチュラル・シティと大学」をテーマに、欧州評議会の担当課長や漢陽大学教授、山脇教授らによるプレゼンテーションとパネル討論が行われました。山脇教授は、中野区における多文化共生のまちづくりをめざした山脇ゼミの活動について報告しました。その後、漢陽大学の学生と食堂で夕食を食べながら交流し、学園祭のプログラムであるKポップのステージも楽しみ、1日目を締めくくりました。

2日目は、外国ルーツの学生たちのダンスチームのオープニング・パフォーマンスを皮切りに、欧州評議会、韓国・移民政策研究院、山脇教授、安山市長、浜松市長などによる、インターカルチュラル政策に関するプレゼンテーションやパネル討論が行われました。山脇教授は日本におけるインターカルチュラル・シティの受容と多文化共生について報告しました。会議の中で共同声明も発表され、多様で包摂的な都市づくりへの誓いが登壇者によって共有されました。会議は音楽や照明、ダンスやコーラスなどが効果的に用いられ、印象深い5周年記念イベントとなりました。

最終日には、安山市の外国人住民支援本部やグローバル多文化センターなどを見学するツアーに参加しました。外国人住民の定着を支える先進的なサービスについて学ぶ貴重な機会となりました。

115か国からの外国人住民が人口の約15%を占める安山市を訪れ、多文化が息づく都市を視察する中で、韓国における多文化共生政策やインターカルチュラル・シティの取り組みについて理解を深めることができました。この経験は、中野区で「多文化共生のまちづくり」をテーマに地域密着で実践的な活動を行う山脇ゼミにとって、非常に意義深いものとなりました。

以下は参加学生の感想です。

これまで多文化共生は基本的に国内のテーマだと思っていましたが、国際的な枠組みで自治体同士が経験や課題を共有することで、国際的な視野と現場の視座を組み合わせることの重要性を実感しました。特に印象的だったのは、日本では自治体に多文化共生の課題が重くのしかかる現状がある一方、韓国では、国の研究院がデータや市民意識調査を活用して課題を可視化し、改善を進めている点です。また、そうした国の研究機関に加え、行政だけでは対応が難しい課題についても、市内の多様な団体と連携してワンストップサービスで対応している点は先進的だと感じました。さらに、国や自治体、企業だけでなく、大学も教育サービスの観点から重要な役割を担っていることを知りました。漢陽大学が運営するグローバル青少年センターを訪れた際、外国につながりのある子どもに向けた言語支援に加え、キャリア形成や資格取得の支援も行っており、産官学がそれぞれの強みを生かしてネットワークを構築している点が非常に興味深かったです。歴史や現状を振り返ると、どの国や地域も共生に関する共通の課題に直面していることに気づきました。こうした課題を一面的にとらえず、世界の事例に目を向けながら、今後も自分にできることを模索していきたいと思います。学生として、このような機会に参加できたことを大変ありがたく思います。(4年 田路さくら)

ソウル近郊に住む私の韓国人の友人は「安山市は外国人労働者が多いイメージ。わざわざ安山市に行く韓国人は少ない。」と言っていたが、実際に安山市を訪れ、安山市の取り組みをより多くの人に知ってもらいたいと思いました。安山市の視察を通して、「人の交わりの重要性」と「外国人にむけた場所づくりの重要性」について深く学びました。まず、インターカルチュラル・シティを構築していく上で「考える」だけではなく、人との「交流」が非常に重要であり、そこで移住者にとって一番近い組織である自治体と大学機関の連携が大きな影響力をもつことを学びました。加えて「東アジアは欧米とも文化や社会の在り方が異なるので、アジアのアプローチが必要だ」をいう意見を聞き、成功した事例をそのまま活用するのではなく、その地域に合わせた政策を外国人住民と話し合い、一緒につくりあげていく必要があると感じました。また、安山市外国人住民支援本部を訪れ、省庁の窓口と民間の多言語相談ブースが1つの施設にあることに感動しました。他にも、市として多文化共生社会を構築していくためのヒントをたくさん吸収することができました。学生でありながら様々なプログラムに参加することが認められ、この経験と学びを可能な限り社会へ還元していかなければならないと思いました。貴重な機会をいただいたことに心より感謝しています。(4年 藤田千颯)

今回の合宿ではインターカルチュラル・シティについての理解を深めることができました。日本も韓国も欧州も、大学との連携が重要であると述べていて、今私たちがゼミで行っている活動もとても意義あることだと改めて実感することができました。今回得た知見を活かしてもっと活動を広げていけたらいいなと思います。今回、韓国で日本の文化を学校で教えているという日本人の方とお話をする機会がありました。安山市では、授業として、他の国の文化を学ぶ時間が設けられているそうで、実際に体験することが文化を学ぶのに一番良いとおっしゃっていました。小学生など幼いうちから多文化共生について理解を深めることは、多文化共生社会を築くうえでもとても重要であり、日本も学校で多文化共生について学ぶ機会を作る必要があると思いました。最終日には安山グローバル青少年センターなどの施設を見学する機会がありました。多言語に対応した窓口があったり、子どもがいる方でも子どもを預けて施設のプログラムを利用できたり、就職に必要なスキルが学べたりなど、幅広いニーズに対応している点や、施設に複数のセンターがまとまっていて利用しやすい点などがとてもいいなと思いました。今回学んだことを今後のゼミの活動でも生かしていきたいです。(3年 鈴木陽南乃)

今回の合宿では、様々なプログラムを通して、多文化共生に関する世界各国の取り組みについて学び、それぞれについて比較をしながら、インターカルチュラル・シティについての理解を深めることができました。まず、一日目のプログラムでは、漢陽大学や安山市について、概要から多文化共生の取り組みまで、理解することができました。また、大学の学園祭にも参加することができ、現地の学生と学食で食べたり、コンサートに参加したり、大変貴重な機会をいただきました。二日目は、シンポジウムに参加し、安山市や浜松市、欧州評議会の方のお話を伺いました。各地域で、外国人住民の割合が増加しているなかで、多様性を活かしたまちづくりのため、理念に留まらず具体性のある実践型の取り組みを、地域に密着しながら目指しているということを感じました。そして、地域への帰属意識を感じ、社会貢献に導くために、各共同体の特徴に合わせた個別の支援が必要であるということを感じました。また、安山市の移民への意識調査で、移民を毎日見かけているにも関わらず、移民の友達や知り合いはいないと答えた人が多かったということに驚き、市民の意識を高めるためには、互いに触れ合う機会が重要なのだということを実感しました。そして、教育の場では、国籍を問わない交流の機会を設け、子どもたちが移民や人権問題について考える機会を作り、コミュニティの結束を促進させ、誰も疎外されない、一体感のある地域社会を目指すことが、インターカルチュラル・シティへの第一歩だと思いました。このような機会をいただき、安山市の皆さんに感謝しています。(3年 田嶋美緒)