Go Forward

国際日本学部

ネパール人学校と日本の学校の5年生間の学校間交流学習支援

2022年05月23日
明治大学 国際日本学部

岸ゼミでは、学生たちがプロジェクト単位で実践研究を行っています。そのひとつは、ICTを活用した異文化間教育の実践です。大阪の小学校と都内のネパール人学校間の交流学習などを岸研究室と岸ゼミでサポートすることになりました。今回は、岸ゼミの山下さん(4年生)、兼岡さん、浅岡さん、田口さん、そして院生の田中さんが訪問し、大阪とネパール人学校の子どもたち同士の最初の交流にあたる学校紹介と、手紙交換のサポートをしました。参加したゼミ生2名による報告です。

文責:山下 汐梨(岸ゼミ 4年生)

 私は国際日本学部で、外国にルーツを持つ日本語が母語ではない子どもたちに対する学校教育に興味を持つようになりました。そんな中、ゼミでネパール人学校「エベレストインターナショナルスクール」と関わる機会を得ることができました。
 閑静な住宅街にあるエベレストインターナショナルスクールは、活気と異国情緒にあふれており、校内では英語・ネパール語・日本語が盛んに飛び交っていました。小学生から高校生1年生まで在籍しており、自由で伸び伸びとした雰囲気でした。
 当日私たちは、エベレストインターナショナルスクールの生徒が、以前から交流のある大阪の私立小学校の生徒から届いた手紙にお返事を書く際のサポートをしました。生徒は英語・ネパール語・日本語の入り混じった手紙を一生懸命解読し、思い思いのイラスト・カラーで手紙を書きあげていました。この時、生徒それぞれのルーツやバックグラウンドがよく現れていたことが印象的でした。例えば、日本生まれでネパールにルーツを持つ生徒は、日本語中心の文章でした。両親ともにネパール人で日本に移り住んできた生徒は、ネパール語中心に書くこともあれば、英語中心に書くこともありました。アメリカ出身でネパール語が苦手な生徒は、英語中心に手紙を書きました。このように、生徒によって選択する言語が異なっていて、「ネパール人学校」という空間の中に、多様性や個性を強く感じた場面でした。
 また、自分に手紙をくれた生徒に喜んで欲しいと、積極的に相手の名前を漢字で書こうとする生徒も見られました。お互いがお互いの言語を使ってコミュニケーションをとってみようと励んでいる姿が素敵だなと感じました。
 今回の訪問を通して、外国ルーツの子どもたち対象の教育現場の実情を知ることができたうえ、エベレストインターナショナルスクールの先生方とつながることができました。今後、岸ゼミと連携して、生徒たちのキャリアや言語学習で何か交流ができたらと考えています。これから始まる新たな取り組みに期待とわくわくが膨らんでいます。


文責:兼岡 啓幸(岸ゼミ 3年生)

 私は学びの場のデザインにとても関心があります。私はゼミの活動として教育関係のプロジェクトに取り組んでいます。今回は、岸ゼミが連携しているネパールの学校ーエベレストインターナショナルスクール ジャパン(EISJ)ーを訪問しました。この学校はネパールのナショナルカリキュラムに基づいた学校です。ネパール語、英語、日本語の3カ国語が用いられ、掲示してあるプリントや校則なども2つ以上の言語で書かれていることが印象的でした。私たちは今回ネパールの文化を知ること、5年生の学生と関わるという2つの体験を行いました。
 訪問した日はこのインターナショナルスクールの創立10周年の記念の日でした。日本の厳粛な雰囲気の式典とは異なり、歌や伝統的な踊りのパフォーマンスの披露があったりと日本との文化の違いを感じることができました。
 また、EISJの5年生とも関わる機会がありました。生徒たちは、それぞれ学校内の好きな場所へ私たちを案内し、説明してくれました。休み時間に遊ぶ場所である地下のホールであったり、理科の授業が好きなため理科室であったり、生徒の個性があふれたエピソードを聞けました。
 また、彼らが交流している大阪の学校の5年生から手紙をもらい、その返事を書くお手伝いもしました。大阪の5年生の生徒も英語やネパール語などの言語で手紙を書いてくれたこともあり、EISJの生徒も積極的に相手の名前を漢字で書こうとしていたところが印象的でした。手紙の中身も、ネパールの神様の説明や好きなものの紹介、日本やネパールの国旗や富士山やエベレストを描くなど生徒が自由な発想で相手のことを想い手紙を作っていました。
 今回のEISJ訪問を通して、岸ゼミとして日本語学習や文化交流など一緒にできそうなことがたくさんでてきました。私たちのゼミには“場のデザインとICTの力を使って誰もが輝ける世界にする”という大きな目標があります。今回の訪問で見えてきた実情を踏まえ、私たちだからこそできる方法でこのプロジェクトを一緒に発展していけたらいいなと思います。