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国際日本学部

山脇ゼミが群馬県の多文化共生の取り組みの視察を行いました

2022年09月05日
明治大学 国際日本学部

2022年8月4日から5日にかけて、山脇ゼミの学生有志が群馬県の多文化共生の取り組みの視察を行いました。3年生4名と大学院生1名、大学院OB1名と日暮トモ子日本大学教授、そして山脇啓造教授の8名が参加しました。<群馬合宿報告書>

初日は群馬県大泉町と太田市、伊勢崎市を訪問しました。大泉町は住民の2割が外国人で、ブラジルタウンとして全国に知られる町です。大泉町役場と大泉国際交流協会の方のご案内で、日本定住資料館、大泉町多文化共生コミュニティセンター、大泉町立図書館を訪ね、大泉町の過去30年間の取り組みの歴史を伺いました。太田市では、ブラジル出身で10歳で日本に移住し、大泉町で育った平野パウロさんの会社を訪ね、日本に移住してから今日までのご経験、特にブラジルと日本の間で揺れたアイデンティティにまつわるお話を伺いました。その後、伊勢崎市に移動し、ベトナム難民として来日した山本雄次さんの会社を訪ね、群馬県を多文化共生の地域にする山本さんのビジョンについて伺い、夜は山本さんが経営するベトナム料理店で食事しました。

2日目は、まず前橋市に移動し、群馬県庁を訪ね、ぐんま外国人総合相談ワンストップセンターを見学した後、ぐんまくらし・外国人活躍推進課で多文化共生の取り組みについてお話を伺いました。その後、高崎市に移動し、外国人が活躍する企業として、群馬県から「多文化共創カンパニー」の認証を受けたグローリーハイグレイス有限会社が経営するイタリアンレストランでランチをとった後、JICAの髙﨑オフィスに海老原周子さんを訪ねました。海老原さんは長年、東京で外国ルーツの若者のアート活動に取り組んできた方で、現在は、JICAで群馬県の多文化共生に取り組んでいます。そして、最後は、グリーリーハイグレースの相京恵社長を訪ね、外国人が活躍する企業そして社会づくりや「英語で学童」の取り組みについてお話を伺った後、小学生のための英語で学ぶサマースクールを見学しました。そこでは、フィリピン、ブラジル、ジンバブエのスタッフが元気に働いていました。

以下、参加学生の感想です。

「今までのゼミ活動では、多文化共生に関して本で学んだり、イベント等を企画運営していた。今回の合宿は、山脇ゼミに入って初めて多文化共生事業を現在進行形で行なっている地へ赴く機会であった。したがって、ゼミのテーマである多文化共生が社会に広まっていることを肌で実感した。これから私達がさらに多文化共生を世に広めることに貢献できると思うと、ゼミ活動のモチベーションがさらに上がった。(青柳壮真)

「今回の合宿では、群馬県の多文化共生に対する取り組みが全国的に進んでいることに驚いた。もともと、群馬県が外国人住民比率の高さで全国3位を誇っていることやその中で永住者・定住者の割合が高いことを知らず、県・市町・現場間の風通しの良さや当事者に寄り添った様々なサポートを知ったことで、群馬県の印象が変わった。二日間という短期間ではあったが、全体的に行政、現場でサポートする人々・当事者など様々な角度から多文化共生への取り組みを学ぶことができ、大変有意義で充実した時間を過ごすことができた。今回の学びをこれからのゼミ活動で活かしていきたい。また、群馬県の事例を参考に日本の多文化共生への取り組みが加速することを期待したい。」(岡野瑠璃)

「多くのゼミ生から、群馬県が、東京都、愛知県に続いて日本で3番目に外国人住民比率が高いこと、そして、多様で先駆的な多文化共生の取組が行政や企業など幅広い領域でなされていることに驚いたという声があった。これは、群馬県に外国人住民が多く住んでいることにあわせて、国籍に関係なくこれからも群馬で共に暮らしていきたいという住民らの思いも大いに影響しており、取組が広まっていく今後、外国人にとって、群馬県はますます住みよい魅力的な地域になっていくのではという可能性を感じた。そして、その多文化共生・共創の流れが群馬に留まらず、群馬から全国に波及していってほしいと思う。」(松野有香)

「今回の合宿で群馬の新しい一面を知った。外国人は日本人と関わりたいと思っている人が多いこと、外国人のキーパーソンよりも日本人のキーパーソンが必要というお話を聞き、マジョリティ側の意識改革が求められると思った。平野さんが、学校の先生が熱心に支えてくれたとおっしゃっていたように、支えてくれる人の存在は大きいと思う。また、海老原さんから高校レベルの支援がまだ足りないというお話を聞いて、高校はその後のキャリア形成に関わる重要な時期であり、外国籍の子ども達が増えることが予想される中でサポート体制の見直しを早急にしていくべきだと思った。短期間に様々な方々から貴重なお話を聞くことができ、充実した二日間だった。」(柳沢未羽)

「2日間を通して、外国人住民を支える方や平野さんや山本さんといった当事者の方など様々な立場の方から直接お話を伺うことができ、複数の角度から町の多文化共生について考えることができた。実際にお会いしたり食文化を体験したりすることで、より身近に、より自分ごととして受けとめることができた。また、普段では関われないような社会人の方と接する機会でもあり、自分の視野や考え方が広まった。」(吉留凛)