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国際日本学部

山脇ゼミが韓国視察旅行を実施しました

2022年11月17日
明治大学 国際日本学部

韓国法務省出入国・外国人政策本部韓国法務省出入国・外国人政策本部

安山市外国人住民支援本部安山市外国人住民支援本部

安山グローバル多文化センター(安山市多文化家族支援センター)安山グローバル多文化センター(安山市多文化家族支援センター)

クムチョン・グローバルビレッジセンタークムチョン・グローバルビレッジセンター

ソウルグローバルセンターソウルグローバルセンター

自治体国際化協会ソウル事務所自治体国際化協会ソウル事務所

国際交流基金日本文化センター国際交流基金日本文化センター

淑明女子大学淑明女子大学

北村韓屋村北村韓屋村

山脇ゼミが3年生を中心に、2022年10月30日から三泊四日で韓国を訪問し、韓国の多文化共生施策に関する視察を行いました。当初8月末に実施予定でしたが、コロナ禍のため延期し、ようやく実施することができました。

視察を行ったのは、ソウル市にある法務省出入国・外国人政策本部、ソウルグローバルセンター、クムチョン・グローバルビレッジセンター、京畿道安山市にある安山市外国人住民支援本部と安山市多文化家族支援センターです。その他、自治体国際化協会ソウル事務所、国際交流基金日本文化センター、淑明女子大学、ソウル市役所、北村韓屋村、仁寺洞(インサドン)も訪問しました。

訪問先のコーディネートは、淑明女子大学の李ユジン教授と韓城大学の呉ジョンウン教授、駐韓国日本国大使館の渡邉健太郎氏のお世話になりました。

*韓国視察旅行のショートムービー
https://www.youtube.com/watch?v=Z8-oSUnH1U0

以下、参加学生の感想です。

今回の合宿は、法務部の方から直接お話をお聞きする機会や、韓国の学生と交流する機会など、貴重な経験の連続であった。韓国は国レベルでの取り組みが多く、多文化共生政策が日本と比べて進んでいることは合宿前の事前学習で知っていたが、今回の合宿では、国の取り組みが進んでいることでどういった点で優位であるのかということを具体的に知ることができた。反省点は、訪問先で質問することをためらってしまったことである。外国人住民の割合が高い安山市のバスの車内アナウンスが韓国語のみなので、多言語対応してほしいという声がなかったのかが気になった。個人的に最も印象的だった話は、クムチョン区での「外国人支援」と言わず「住民支援」と言うことで外国人受け入れに批判的な人々の反発を避けたという話だ。言い回し一つで印象が大きく変わるため、共生社会を作るうえで、一部から反発を招くような言い回しは避けるべきだと気付いた。今後のゼミ活動で我々が企画するイベント等に使用する言葉にはより一層気を付けようと思う。(3年 青柳壮真)

様々な訪問先からお話を伺うことで、韓国では外国人に対する政策が日本よりも大きな規模で細かく行われていることがわかった。特に印象的だったのは法務部で聞いた早期適応プログラムと社会統合プログラムだ。韓国に入国する前からプログラムを受けたり、膨大な時間を韓国での生活に適応するために費やすなど、韓国に入国してから困らないシステムがあるのが、日本との大きな違いなのではないかと感じた。また社会適応プログラムの受講が永住権や国籍取得の要件になっているのが、外国人もプログラムを受け、韓国社会に溶け込むことができる要因になっていて良いと思った。訪問先での学び以外にも、日本で食べる韓国料理とは全然美味しさが違うものをみんなと食べたり、現地の大学生との交流ができたことはとても良い思い出になった。みんなで屋台のご飯を食べたり、3日目の研修後に綺麗な景色が見えるところにいったり、普段のゼミではできないことができて、とても充実した合宿になった。(3年 大野晏実)

韓国の進んだ多文化共生への取り組みを、今回の訪問で強く実感した。全体を通して、韓国政府や自治体が主体的に、柔軟・迅速に外国人対応を行っている印象を受けた。例えば、法務部ではヨーロッパ諸国を参考に社会統合プログラムをつくり、元は結婚移民向けであった同プログラムは対象を拡大させ、後に時間も400時間から515時間に拡大し、コロナ禍でオンラインでも受講できるようにしていた。このように、全ての段階で柔軟に迅速に対応したことで、充実したプログラムを提供することを可能にしている。また、韓国政府や自治体がとても積極的な印象を受けた。相談を受けるだけでなく、様々なサポートを提供していた。韓国語クラスに加え、料理教室、交流の場となるイベントも設けていた。外国人が安心して定住できるように、きめ細やかにサポートしていることが伝わった。3日間多くの場所を訪問し、学び、たくさんの出会いがあった。合宿終了時の満足感と達成感がとても大きかったことが印象深い。勉強だけではなく、皆と美味しい韓国料理を食べたことや数え切れないほどの写真を撮り合ったのも良い思い出だ。(3年 片桐小海)

今回の視察は、韓国政府や自治体の多文化共生の取り組みや背景、課題などを深く知る貴重な機会になった。訪問全体を通して、韓国の自治体では多くの予算や人材を活用して、外国人住民やその家族へ充実したサポートを行っていると感じた。特に安山市では、生活相談や言語学習、子どもの進学、医療など多岐にわたるサポートを行っており、それらが無料で受けられることに驚いた。また、多文化村特区の指定や相談窓口での外国人住民の活躍など、住民の多様性を住みやすいまちづくりや経済活性化に活かしている点は、日本でも取り入れるべきである特徴であると考えた。そして、今回の経験は私にとって10年ぶりの海外渡航であり、非英語圏への渡航は初めてであった。実際に現地に赴いて、異なる文化に触れられた点や言語が分からない外国人観光客や外国人住民の視点を理解できた点など、私にとって大きな刺激になった。今回得た学びや経験をこれからのゼミ活動に繋げていきたい。(3年 竹内健人)
 
今回の韓国合宿は、韓国政府や自治体の多文化共生について知るよい機会となり、韓国が多文化共生のためにどれだけ多様な政策を設けているか知ることができた。一番印象に残ったところはクムチョン区だった。そこで、韓国人は「外国人」という単語を好まないため、施設の名前から外国人を外して、家族という単語を使い始め、外国人と国民を区別せず、施設を運営しているということに驚いた。いつも外国人と国民は違う人たちだと思っていた自分には驚きだったし、大きな気づきだった。また、日本人と一緒に参加する初めての合宿だったため、韓国国内に意外と英語で書いてないところが多いなど、日本人と一緒だから感じられることがあったため、自分にとっても貴重な時間となった。今回の合宿を通じて、多文化共生についての知識を得て、自分の視野を広げるいい機会になった。(3年 クォン・アヒョン)

韓国の法務部や自治体、グローバルセンターなどの様々な場所を訪問したことで、韓国と日本の多文化共生に対する取り組みの違いに改めて気付かされた。特に印象に残ったのはクムチョン区だ。同区では、人口約24万人のうち、1割を超える2万8千人ほどが外国人住民であり、外国人住民の増加に伴い、積極的な政策や対応をするようになったという。そして、外国人住民を支援の対象とみなすのではなく、共生する区民として扱っているという。韓国人とその他の国出身の人々が、国籍や年齢に関わりなく平等に医療サービスや家族センターを利用できるようにしたり、多文化家族センターの名称を多文化センターと改めたりしていた。これらのことから、日本の多文化共生社会を考える上でクムチョン区の方針や取り組みから学び、外国人を支援するだけでなく、元々住んでいる住民と彼らが共に心地よく生活し、働き、活躍できる社会を目指すことが重要だと考える。(3年 森田美玖)

日本は主に自治体で多文化共生を推進しているのに対し、韓国は国が統合プログラムを実施しているということは事前知識としてあったが、どのように国で取り組んでいるのかについて、今回の合宿で詳しく知ることができた。レベル別の講義、決められたテキストを使用しており、政策と密に連携したプログラムになっていることを学んだ。これから日本が、統合プログラムを作り、国が主体となって政策を進めていく法律を作る上で、韓国は大いに参考になると感じた。日本には排他的な風潮が少なからずあるが、クムチョン区での、韓国にも同じく多文化を受け入れることに不満を持っている人がいるというお話が特に印象に残った。多文化共生を推進していく上では、ホスト社会、受け入れる側の意識改革も求められる。外国人住民にとって暮らしやすい生活環境づくりだけではなく、ホスト社会との関係性も考慮してこそ、本当の意味での多文化共生の実現と言えるのだろう。(3年 栁沢未羽)

今回の訪問先で共通していたことは、文化を学び言語を習得するために、実際にその文化に触れることに力を入れている点だと考えた。インターネットやSNSが普及した現在では、自分で情報収集して学ぶことも可能ではあるが、今回の研修の訪問先では、日本語講座を実施している機関や日本を初め多くの国の本を所蔵する図書館のコーナーや料理教室を開催できるキッチンなどがいくつかの場所で設けられていたことに気が付いた。そのような場所で実際に文化に触れ、職員の方や集まった人との交流を通して、移民が言語を習得し韓国社会に加われるように国や自治体として推進しているのではないかと感じた。一方で、日本と共通する課題としては、移民が社会に溶け込むだけでなく活躍することまで想定することや、受け入れ社会側の意識を変化させるきっかけとなる機会を作り出すことではないかと思う。今後もクムチョン区が加入を計画している「インターカルチュルシティプログラム」について学んでいきたいと強く感じた。国の政策に加え、自治体や地域で取り組まれている移民支援や文化交流支援について学ぶことができ、大変貴重な機会であった。(3年 吉留凛)

訪問先で学んだことの中で特に衝撃を受けたのは、韓国では外国人を受け入れ、共に暮らしていく体制を国レベルで整えているということだ。韓国では、外国人移住者への対応として、早期適応プログラムと社会統合プログラムの二段階のプログラムを整えている。まず、早期適応プログラムでは、韓国で生活していく上で最低限必要な情報を多言語で提供している。もし自分が韓国に来たばかりで、右も左もわからないとしたら、このプログラムはすごく有難いと思った。次に、社会適応プログラムでは、これはさらに韓国での生活をより快適にするためのもので、約515時間という長い時間をかけてじっくりと学ぶ。それだけ長い時間をかけることで、移住者は、「社会の一員と認められている」と感じることができるのではないだろうか。また、このプログラムを受けると滞在期間が延長される等のメリットもあり、プログラムの受講を自然と促しているところが良いと思った。現在日本では、外国人移住者に対して上記のようなプログラムは行なっていない。今後、韓国をお手本に、移住者や移民を受け入れ、共に暮らしていく体制を整えていくことができれば、多文化共生社会へのさらなる一歩を踏み出すことができると考える。また、私にとって初めての韓国、初めてのゼミ合宿であったため、大変思い出に残るものとなった。本場の韓国料理や現地の大学生との交流はすごく刺激的で、もっと韓国語を学びたいと強く思った。これからも今回の経験、学びを大切にしていきたい。(4年 大後里咲)

今回の訪問を通して印象に残ったことをひとつに絞るのは難しいが、強いて一つ挙げると、韓国政府と自治体が設置する施設や実施する事業の充実度である。予算や運営の割合はそれぞれ異なるものの、それなりの予算や人手が政府と自治体に必要となるにもかかわらず、双方が積極的にそれらの資源を投入している印象を受けた。また、今回訪問した多文化家族支援センターやグローバルセンター、グローバルビレッジセンターは、国や自治体が設置・運営する施設であるが、その多くが新しくきれいな施設であった。さらに、その施設の内部も充実しており、相談コーナーや講義を受ける教室を中心に、キッズルーム、図書コーナー、PCルーム、各国の伝統工芸品の展示コーナーがあったり、また、施設によっては無料医療コーナーや自動車免許更新コーナーがあったりと、外国人が利用しやすい、利用したいと思える工夫がなされていた。訪問先で対応してくれた人で特に印象に残ったのは、大学のキャンパスを案内してもらった後、韓国料理を食べながら韓国の言葉や文化から最近の若者の生活や流行などについて教えてくれた淑明女子大学の学生と、質問に対して詳細に回答し、多文化施策に反対する韓国人の存在といった現状について率直に教えてくださったクムチョン区の職員の方である。渡航直前に発生した事故により、梨泰院グローバルビレッジセンターの訪問が叶わなかったことは残念であったが、多くのことを学び、考えたり、人と出会ったりすることのできた、実りある視察旅行となった。(修士課程1年 松野有香)