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国際日本学部

ファシリテーターの実践【岸ゼミ】「せたがや会議:みんなで考える多文化共生のまち」にて

2023年02月24日
明治大学 国際日本学部

全体でのアイスブレイクを実施する様子全体でのアイスブレイクを実施する様子

国籍や言語が多様なグループでファシリテーターを行っている様子国籍や言語が多様なグループでファシリテーターを行っている様子

岸ゼミでは、多様な考えや価値観、習慣、背景を持つ人たちが対話を通して価値を想像/創造できるような学習環境のデザインを実践的に学んでいます。日々のゼミ活動でも、ゼミ生らが学習環境のデザインを行っていますが、時折、地域の取り組みのファシリテーターとして招かれることもあります。今回は、本学国際日本学研究科の博士後期課程を修了された、吉田千春先生(中央大学法学部)にお声がけいただき、ゼミ生2名が2023年2月に「せたがや会議:みんなで考える多文化共生のまち 」(外国人住民との意見交換会)で全体のアイスブレイクとグループのファシリテーターを担当しました。以下、学生らの報告です。


◯渡邊栞(国際日本学部 岸ゼミ 3年)

私は、3年ゼミで、文献の輪読のファシリテーターを担ってきました。多様な意見や考えから新しい価値を想像/創造することは簡単なことではありません。毎回のファシリテーターの経験を通して、私は、会話のきっかけになる「問い」が重要であると学びました。適切なタイミングで「問い」を投げること、そこから生まれた言葉を発展させ、共通の価値を生み出すこと。これに面白さを感じ、実際に異なる背景を持つ人との対話を通して、実践してみたいと考えました。

そして、「せたがや会議:みんなで考える多文化共生のまち」の当日。まず、参加者同士が安心して対話に参加できるようにアイスブレイクを担当しました。

アイスブレイクでは、2つのコンセプト(①体を動かし緊張をほぐす②コミュニケーションの活性化)のもと、お題に合わせてチームで1列をつくる「並べ変えゲーム」を実施しました。はじめは皆緊張していた様子でしたが、徐々に会話が生まれ、会場の雰囲気が温まっていったのを感じました。岸ゼミで学んだ「話しやすい場のデザイン」を実践でき、大きな自信につながりました。

その後は、グループディスカッションです。私が担当したグループでは、日本語のレベルにばらつきがあったため、すべて英語で話し合いをしました。外国人向けの情報発信の工夫をテーマに話し合い、私はグラフィックファシリテーションを行いました。英語でグラフィックファシリテーションを行うのは初めてだったので、難しいと感じる場面も多かったですが、自分の英語力を試す良い機会になりました。

国籍・年代・性別が様々な人々が集まり、共に話し合うことで、日本人・外国人という境界がなくなり、同じまちに住む仲間という意識が強まったと感じます。今後のゼミ活動でも、さらに多様な人たちが対話を深められるような学習環境デザインの実践と研究を積み重ねていきたいです。


◯伊藤希実香 (国際日本学部 岸ゼミ 3年)

「せたがや会議:みんなで考える多文化共生のまち」のファシリテーションでは、ファシリテーションを通して、多様な価値観を学び合う議論の進め方を経験することができました。私は3年の秋学期に輪読のファシリテーターを務めました。当初は、目的やゴールに意識を向け過ぎてしまい、あらかじめ書いた道に沿った議論をもっていってしまうことがありました。しかし、それでは多様な考えを持つ人が集まる場であるにもかかわらず、異なる考えを学ぶきっかけを失わせてしまいます。そこで議論の内容とは関係なさそうな話題でも話を展開することを意識しました。すると、話し声が絶えない空間が出来上がり、別の観点を学ぶ場になりました。このゼミの経験で、ファシリテーターの役割と多様な価値観を学ぶ議論の進め方を学ぶことができました。

グループで議論を進める際も、求められている内容に固執するのではなく、自由な発想で意見を出してもらうようにしました。自由な発想同士が結びつき、また新たな発想が生まれる、そんな議論が展開できました。また、グループ内には国の違いや年齢の差があっても、お互いを尊重するからこそ生まれる会話が見られました。例えば、年齢が若くSNSに詳しい人に対して、「ではSNSを活用したらどのようなことができるか」という点から、年齢が上の方から自分の視点を交えた意見が出ることがありました。多様な価値観を認め合い、学んでいこうとする姿勢が、最も重要だということを再認識した時間でした。

ゼミを通して学んできたファシリテーション技術を「せたがや会議」という現場で実践し、さらにファシリテーションの奥深さを知り、今後の実践や研究につながりそうだと思いました。